2-20 勇者の従者
ラツィとサイラスがハレンダイトを倒したのとほぼ同じころ、カレラとウルスも残りの魔族たちを片付けていた。
サイラスは女魔将の魔晶石を拾い、倒れているシリウスのほうへと戻る。
『ユニークスキル《超高速自己治癒》、ユニークスキル《超治癒術》を発動します……』
サイラスはひざまずいて、シリウスの顔に手をかざした。白い柔らかい光がシリウスを包み、しばらくすると、金髪の青年がゆっくりと目を開いた。
「相変わらず、すごい神聖術ですね、勇者サイラス」
ソフィアが嬉しそうにサイラスを見つめる。その目には、憧れとも尊敬ともつかない感情が浮かんでいた。
そこにカレラとウルスが、ヴァレリアを抱えてやってきた。ヴァレリアは両足からひどく出血している。サイラスは急いで、ヴァレリアの傷も《超治癒術》でふさいだ。
「傷はふさがっても、失った血までは戻っていないから気をつけて」
(マルバンもこの前の大怪我の後、しばらくふらついてたらしいからね)
サイラスが微笑みかけると、豪華な金髪の女騎士は、ぼおっとした顔でサイラスの顔を見つめるだけだった。
(大丈夫かな? かなり出血してるみたいだけど……)
プレートメイルの上に真っ赤なサーコートを羽織った、くせっ毛の金髪の騎士が立ち上がって、サイラスに近づいてきた。
「私は、シリウス・ティグエル・ユヌリス。先ほどは危ないところを助けていただいて、ありがとうございました。私とヴァレリアを神聖術で治していただいたことにも、感謝します」
(金髪紅眼。それに、ユヌリス……。確か、七支族のひとつだったっけ)
赤いサーコートの騎士は、屈託のない笑顔をサイラスに向ける。サイラスも立ち上がって、シリウスに向き直った。
「僕はサイラスです。魔族と戦っている音に仲間が気づいて、ここまで急いできたんですが、なんとか間に合ってよかったです」
サイラスも金髪の青年に笑顔を返した。
「彼は“あの”勇者サイラスなんです。わたしの生命の恩人で……助けていただいたのは、これで二度目になります」
ソフィアがすこし気まずそうに、シリウスにサイラスを紹介する。
「……実は、彼が勇者の盾を持ち出したことは知っていたのです。でも、魔族に襲われたところを助けていただいて……わたしは、彼が本物の勇者だと確信しました。神聖術だって、わたしよりもずっとすごいですし」
ソフィアは一度言葉を切って、すこしうつむいた。
「それで、そのことをおじいさまに知らせたら、いろいろと面倒なことになりそうだと思いまして……黙っていたのです。ごめんなさい」
ヴァレリアあたりに怒鳴られるかと思って、ソフィアは首をすくめた。だが、誰もソフィアを咎める者はいなかった。
「大丈夫ですよ、ソフィア殿。私も彼が本物の勇者だと思います。勇者の盾に選ばれたのですから」
シリウスが穏やかに言った。
「恥ずかしながら、私はあの女魔族に手も足も出なかった。勇者サイラスが助けにきてくれなかったら、私たちは全員殺されていたでしょう」
「シリウスさま……」
「正直に言って、私は、私かウルリックのどちらかが次の勇者に選ばれるのではないかと自惚れていました。でも、今日ここで本物の勇者と出会って、自分の実力不足を痛感しました」
(この人が王国でたったひとりのランク10の剣術士……)
シリウスがサイラスの手を取り、真剣な眼差しで見つめてくる。
「今日はお恥ずかしいところをお見せしましたが、私はこれでも剣にはすこし自信があるのです。あなたが魔王を倒しにいくときには、ぜひ、その仲間に私も加えていただきたい。勇者とともに魔王を倒す――その栄誉に、私もあずからせてはもらえないだろうか?」
「わ、わたしも連れていってほしいですっ! こ、これでも神聖術は使えるほうなんです。すこしはお役に立てると思います!」
ソフィアもサイラスを見つめて、熱烈にアピールしてくる。
(ふたりとも、すごく真剣だ)
サイラスはすこし戸惑ったが、ふたりの気持ちは嬉しかった。
魔王と戦うのに味方はどれだけ多くても困らないだろう。そもそも、ふたりは勇者候補と呼ばれるような実力者なのだ。
「わかりました。そのときは、ぜひ力を貸してください」
サイラスの言葉にソフィアは、ぱあっと花が咲いたような笑顔になった。
「記憶喪失勇者」2-20を読んでいただき、本当にありがとうございます!!
さいらすと申します。
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※『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』という小説も書いています。
※本編の800年前のお話です。
※リンクはあとがきの下にあります!
挿絵をChatGPTに描いてもらいました!
※この小説は執筆に一部、AIを使用しています。
・自身で執筆した文章をAIに改変させているが、再度全て自分で編集・改稿
・自身で執筆した文章の誤字・脱字チェック




