1-43 また会いましょう
隣に立っていた綺麗な金髪をショートカットにした少女が、サイラスの前に歩み出た。陽だまりのような笑顔を浮かべて、右手を差し出してくる。
サイラスは、いまさらながら少女の顔をしっかりと見た。まだ幼さが残るが、美しく気品を感じさせる顔立ちをしている。
「あ、あらためて、お礼を言わせてくださひ……た、助けていただき、ありがとうございます。勇者サイラス」
(また噛んだ。でも、一生懸命お礼を言おうとしてくれてるんだな)
噛んで恥ずかしそうにうつむく少女の紅玉色の瞳を見つめながら、サイラスはその手を握った。
「僕のことを勇者だと認めてしまって、いいのですか?」
「ええ、目の前であんな化け物を倒されてしまっては、信じないわけにはいかないじゃないですか。それにあのような猛毒を短時間で解毒してしまうなんて、神聖術の実力もすごい。貴方は本物の勇者です」
ソフィアは女騎士キーラに目配せをしてから、言葉を続けた。
「わたしたちは、リーンに勇者の盾の紛失を知らせにいきますが、貴方たちのことは伏せようと思います。貴方たちは、三種の神器を集めているのですよね?」
「はい。そのつもりです」
「三種の神器を集めることができたら、王都に向かってください。そして、現ガリウス国王レオン・マクシム・ガリウス陛下に本物の勇者だと認めてもらい、庇護を求めてください。でなければ、サイラス……貴方は生命を狙われることになるでしょう」
「えっ!? どうして、サイラスくんが生命を狙われるんですか?」
エミルが青い顔になった。ソフィアは真剣な目でエミルを見つめる。
「勇者が亡くなったら、すぐに新たな勇者が選ばれる。それをサイラス、貴方と貴方の父上が四百年前に明らかにしてしまいました。そして、勇者が魔王を倒したなら、この国の次の王になれるのです。その地位を狙っている者もいるのですよ」
(勇者を殺してまで、王になりたいのか……)
話し終えると紺色のローブの辺境伯は、女騎士とともに馬に戻っていった。馬にまたがると、サイラスに向かって言う。
「最後にもうひとつだけ。この先のトロワール大公国は、神聖アルジュナ皇国に次いで創造神ソラさまへの信仰が厚く、魔族に厳しい土地柄です。絶対に仲間が魔族だとバレないように気をつけてください」
「あなたは魔族を見逃すんですか?」
サイラスが驚いた顔で金髪の少女に尋ねた。
「シスレート公国は八百年前に勇者レギウスが建てた公国です。これは七支族の人間以外知らない秘密ですが、レギウスの七人の仲間のひとりは魔族だったといわれているのです。だから、わたしは魔族を連れた勇者がいても、不思議だとは思いません。まあ、レギウスの出身であるトロワール大公国が魔族に厳しいのは皮肉のようにも思いますけどね」
(昔にも、魔族を仲間にした勇者がいたのか。それを教えてくれたってことは、ラツィたちのことも受け入れてくれたのかな)
「また、会いましょう!」
ソフィアは爽やかに叫ぶと、キーラとともに二騎で街道に駆け出していった。サイラスたちはその背中を見送る。
(ソフィアさん、いい人だったな。また会えるといいけど)
「……あいつ、レギウスの子孫だったのですか……」
いつの間にか水色の髪を赤に戻したラツィが、ぽつりとつぶやいた。
「記憶喪失勇者」1-43を読んでいただき、本当にありがとうございます!!
さいらすと申します。
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※『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』という小説も書いています。
※本編の800年前のお話です。
※リンクはあとがきの下にあります!
挿絵をChatGPTに描いてもらいました!
※この小説は執筆に一部、AIを使用しています。
・自身で執筆した文章をAIに改変させているが、再度全て自分で編集・改稿
・自身で執筆した文章の誤字・脱字チェック




