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【2章完結】記憶喪失勇者 ~最強の勇者は、自分が何者なのかを知らない~  作者: さいらす
第1章

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1-34 魔導人形VS魔族

「とにかく、ニーナは勇者サイラスが消えた後、勇者の盾を持ち帰り、この地に隠した。そして、故郷のシスレート公国に戻り、国の魔導人形技師たちとともに盾の番人として私を造った。盾を持ち帰ったことは誰にも知らせずに」


「なんで、盾のことを誰にも知らせなかったんだろう?」


 ルナは慈愛に満ちた顔で、サイラスの瞳をじっと覗き込むようにして言った。


「四百年後にあらわれるおまえに、盾をわたすためだよ、サイラス。四百年後のおまえは、もう王族扱いはされない。誰もおまえを勇者とは認めないかもしれない。王城のなかに隠されてしまったら、おまえが盾を手に入れることができなくなる、とニーナは考えた」


(四百年後の僕のことを心配して、盾を隠してくれたのか……)


 マルバンが、なるほどなるほど、と大袈裟にうなずく。


「ニーナはとても心配性だった。自分が亡くなった後に、盾を守りつづける者が必要だと言って、私を造った。選ばれた者以外には持ち上げることもできないというのにな」


 ルナは肩をすくめて、でもどこか嬉しそうに笑った。


「それにしても、あなたは魔導人形でありますのに、なぜ神聖術まで使えるのでありますか?」


 マルバンの好奇心は止まらない。


「私には、ぜんぶではないけれど、ニーナの記憶が与えられている。ただ盾を守り、勇者があらわれるのを待つだけでなく、私自身が勇者の盾になるように、そして勇者の傷を癒やせるように、そう造られた」


「……記憶があるということは、あのちっこい娘がさらわれて、それを我が主さまが助けにいっている間に、ベガリス城が魔王ギリヨンの軍に滅ぼされたことも覚えているのですか?」


 ラツィは悪戯っ子のような笑みを浮かべて、精巧に造られた人形を見つめた。ルナは一瞬だけ目を見開いた後、唇を噛んでラツィをにらんだ。


「ニーナはずっと後悔していた。自分のせいで、サイラスが大切に想っていたベガリアの王女が死んだと……なぜ、おまえは四百年前のことを知っている? おまえ、魔族だな! サイラス、なぜ魔族を連れている!? 騙されているのか? 魔族は敵だ!」


 叫ぶのと同時に、ルナがラツィに殴りかかった。人間の目では追えない速さで、超硬質の魔導セラミックでできた拳が繰り出される。


 だが、魔将と呼ばれる存在のラツィには届かない。難なくルナの攻撃をかわし、涼しい顔で言った。


「……もう、勇者の盾は手に入れました。おまけの骨董品の魔導人形はいりません。マルバン、壊してしまいなさい」


「せっかくの芸術品ではありますが、姫さまのご命令なら仕方ないであります。分解して仕組みを確かめるとしましょう」


(ちょっと待って。壊すのも分解するのもダメだ。止めないと!)


 マルバンがルナに向かって黒い疾風のように突進する。夜の森で戦った魔獣とは比べものにならない速度。さすがは魔将と言うべきか。


「おまえたち、やめろ!」


 サイラスは左手に盾を持ったまま、右手をマルバンとルナのほうに向けた。


『ユニークスキル《神の盾(アイギス)》を発動します……』


 するとルナの前に目に見えない障壁が発生し、突っ込んだマルバンは後方へと大きく弾き飛ばされた。


「……あらあら、盾のスキルを思い出されたのですね。我が主さま」


 ラツィはくすりと笑うとサイラスの後ろに隠れ、甘えた仕草で背中に寄り添った。


「……でしたら、わたくしのことも守ってください」


「ラツィ、ルナに意地悪をするなよ」


 背中にくっつく魔族の美少女にサイラスは注意する。ラツィは悪戯っぽく、小さな赤い舌を出した。


「さすがは我らのご主人さまであります。完璧な防御でありますね」


 マルバンはよろよろと立ち上がると、優雅に服の汚れをはらい、頭の後ろをかきながらこちらに歩いてくる。もう戦うつもりはないようだ。


(すごい勢いだったけど、怪我はしてないみたいだ。魔将って、やっぱ頑丈なんだな)


「ルナも落ち着いて。これでもラツィたちは悪い魔族じゃないんだ」


「サイラス。本当に騙されていないのか?」


 ルナは怒った顔のまま、大股でこちらにやってくる。


(まあ、ラツィの態度を見てたら、色仕掛けで騙されてると思われても仕方ないよな)


「……わたくしたちは、我が主さまの言いつけを守って、四百年も人族を殺していません。“人族”は」


 ラツィは楽しそうにサイラスの後ろで、くすくすと笑う。ルナはそんなラツィを殺気のこもった目でにらみつけた。だが、ラツィは動じない。


「……あなたも知っているのでしょう? 我が主さまのスキルの前では、わたくしが嘘をつくことなどできないことを」


 ルナはあきらめたように、サイラスの前で両手を広げてみせた。


(ルナとラツィ、この先うまくやっていけるのかな……)


 サイラスは深く大きなため息をついた。


「記憶喪失勇者」1-34を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

さいらすと申します。


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※『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』という小説も書いています。

※本編の800年前のお話です。

※リンクはあとがきの下にあります!


挿絵をChatGPTに描いてもらいました!


挿絵(By みてみん)




※この小説は執筆に一部、AIを使用しています。

・自身で執筆した文章をAIに改変させているが、再度全て自分で編集・改稿

・自身で執筆した文章の誤字・脱字チェック

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『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』はこちら 本編の800年前のお話です。
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