↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2章完結】記憶喪失勇者 ~最強の勇者は、自分が何者なのかを知らない~  作者: さいらす
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/136

1-23 灼熱の騎士

 橋から離れた場所で、サイラスは川を覗き込んでみた。確かに水は透明で、泳いでいる魚が見える。


(すこし小さいけど、夕食用に何匹か捕まえておこうかな)


 エミルが美味しく料理してくれるに違いない。そう考えただけで、サイラスの口のなかにつばが湧いてきた。上着の袖を肘までまくり、ブーツもズボンも濡れるのを気にせず、サイラスはそのまま川に入った。


 水の深さは膝よりすこし上。冷たかったが、日差しが強かったので、むしろ気持ちがいいくらいだった。


 さすがにサイラスが入っていくと魚は逃げたが、しばらくじっとしていると近くまで戻ってくる。


(のんびりした魚だな。この辺りじゃ誰も捕らないのかな?)


 サイラスは素早く手を動かして、二十センチほどの魚を立て続けに二匹捕まえた。袋に入れて、さて頭でも洗おうかと思ったとき――。


「きゃぁああああああっ!」


 エミルの悲鳴だった。


(エミル!?)


 サイラスは急いで川から上がり、銅の剣を握ってエミルが入っていった森に向かって走り出した。


 橋の前を飛ぶような勢いで通り過ぎ、森に駆け込む。すこし先の川のほとりに、白い腕で自分の身体を隠すようにして、エミルがうずくまっていた。


「エミル!!」


「サイラスくん!」


 こちらを見て、エミルが叫ぶ。彼女までは、まだ距離がある。その後ろにふたりの見知らぬ男女が立っていた。


(野盗か? でも、ひとりは女の子みたいに見えるけど……)


「おまえたち、何者だ!」


 問いかけには答えず、黒い服を着た小柄な少女は右腕を伸ばし、手のひらをサイラスに向けた。


「……《氷結の女王》。いでよ《灼熱の騎士》」


「ん!?」


 足元にめきめきと氷の柱があらわれ、サイラスの下半身を一瞬で凍りつかせた。


 次の瞬間、身動きのとれなくなったサイラスに向かって、上空から白い巨大な塊が凄まじい勢いで迫ってきた。反射的に右手の剣を構え、その一撃を受け止める。


 ――じゅぅううううううううっ!


(なんだ、この音!?)


 塊は止まらなかった。


「うおっ!」


 とっさに頭をそらしたが、髪の焦げる臭いがした。強烈な熱気が顔の前を通り過ぎる。見ると、握っていた銅の剣の刀身が溶けてなくなっていた。


(剣が、溶けた……!?)


 目の前を通り過ぎた物体は、サイラスの左斜め上の空でぴたりと静止した。


 それは、白い大理石のような素材で彫られた、二メートルを優に超える馬の胸像だった。


 サイラスには巨大な“チェスの駒”に見えた。額から鋭く尖ったドリル状の長い角が伸びている。一角馬――ユニコーンだ。口や鼻、目、たてがみからは紅蓮の炎が噴き出している。


 ふっ、と鏡に映したかのように、サイラスの右斜め上の空にも、まったく同じ物体がもうひとつあらわれた。


 たとえ銅を溶かすほどの高温ではなかったとしても、この質量の物体が人の上に落ちたら無事ではすまない。


 上空に浮かぶ、ふたつの巨大な胸像が、同時に動き出した。鋭いユニコーンの角が左右からサイラスを狙って迫ってくる。サイラスの下半身はまだ氷に囚われたまま――逃げ場はどこにもなかった。


「さ、サイラスくん……っ!!」


 森のなかに、エミルの悲痛な声が響いた。


 ――じゅぅううううっ!


 耳をふさぎたくなるような不快な音とともに、辺りに充満する肉の焦げる臭い。


 サイラスは、両方の手でそれぞれのユニコーンの角をつかみ、白熱した巨像をなんとか空中で押しとどめていた。しかし、左右から強い力で鋭い角が、こめかみに向かってぎりぎりと迫ってくる。


「ぐうぅっ!」


 握った手から、炎と白い煙が立ちのぼった。


(手が焼ける。このままじゃ……まずい……!)


 突然、サイラスの頭のなかに、機械のような女性の声が響いた――。


『スキル《灼熱の騎士》、スキル《氷結の女王》を確認。解析します……』


『休眠していたスキル《燃焼耐性》、スキル《凍結耐性》を有効化。それぞれ、スキル《燃焼無効》、スキル《凍結無効》に進化しました……』


『スキル《灼熱の騎士》、スキル《氷結の女王》の解析完了。相手のスキルを無効化します……』


『スキル《灼熱の騎士》、スキル《氷結の女王》を複製して保存しました……』


 頭のなかの声とともに、サイラスがつかんでいたふたつのユニコーンが消えた。同時に、下半身を包んでいた氷塊も砕け散っていた。


(消えた? なにが起きた?)


 サイラスは、銅をも溶かす高温の塊をつかんだ手のひらを確かめた。さっきまでの痛みが消えている。あれほど肉の焦げる臭いをさせていたのに、傷ひとつ残っていなかった。


(また傷が治ってる。いったい僕の身体はどうなってるんだ……)


 黒い服の少女のほうを見ると、口をパクパクさせながら、こちらに向かって何度も右手を突き出していた。……が、なにも起こらなかった。


(もしかして、あの攻撃はもう使えなくなったのか?)


 いまならできるような気がして、サイラスは少女のほうに右手を向け、先ほどのユニコーンをイメージしてみた。想像したとおり、少女の頭上に燃え盛る巨大な一角馬の胸像が出現した。


(出た。僕にも使える!?)


 ユニコーンはぐぐっと空中で角度を変えると、その角が少女の額に狙いをつけた。


 そのとき、少女の背後にいた黒ずくめの男が、矢のような速さでこちらに肉薄してくるのが見えた。


 サイラスは身構えた――。


「記憶喪失勇者」1-23を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

さいらすと申します。


もし、この小説を読んで、すこしでも面白いと思っていただけたら

【☆☆☆☆☆】をタップして、★をいただけると嬉しいです!


ブックマークで応援していただけると、とてもとても嬉しいです!!

あなた様の応援が、何よりの原動力です。よろしくお願いいたします!!


※『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』という小説も書いています。

※本編の800年前のお話です。

※リンクはあとがきの下にあります!


挿絵をChatGPTに描いてもらいました!


挿絵(By みてみん)




※この小説は執筆に一部、AIを使用しています。

・自身で執筆した文章をAIに改変させているが、再度全て自分で編集・改稿

・自身で執筆した文章の誤字・脱字チェック

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければ、こちらの作品もお読みください。
『勇者レギウス ~最弱勇者と最強従者~』はこちら 本編の800年前のお話です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。