↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想いの行方  作者: ぽんこつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/72

執念

来世で会おう……

とても純粋で。

高尚な想い。


願い。

祈り。

むしろ……

叫びに近いものがあるように。

感じた。


仙次郎が。

自決した場所は。

土岐家の墓前、

盛り塩にお札で。

結界のようなものを作り。

自らの体に。

お経か呪文のような文字を記し。

儀式めいていたから。

土岐さんは。

遺書に書いた通り。

輪廻での再会を。

祈願したように想えたという。


それなりに。

分かっていたし。

覚悟していた内容でも。


部屋の空気は。

当たり前のように。

重く。

沈む。

カチッ。

カチッ……

時を刻む。

無機質な音が。

平常心を保させてくれているようにさえ感じる。


「上のばあちゃん。相川さんの話に出てきたオルゴールって。これのこと?」

一色くんは。

おもむろに。

テーブルの上に。

あのオルゴールを置いた。


「ええ。兄が美鈴さんに贈った物ですよ。兄の物は私が形見として、それは妹が貰い受けました」

「でも、美鈴さんは、東京の空襲で亡くなったのに、どうして残ってるの?」

「それはね……兄の執念の結果ね」


土岐さんが話してくれた、

オルゴールの物語。


仙次郎は。

焼け野腹の東京の。

どこをどう探して見つけたのか。

美鈴に渡したオルゴールを持ち帰っていたのだと。


仙次郎に。

どのようにして。

見つけたのか尋ねたら。

「このオルゴールが……いや、美鈴さんが、僕を見つけてくれたんだよ」

そう答え。

笑っていたという。


「あの……美鈴さんの香袋の香りが、一色くんや土岐さんからするのは、何故なのですか?」

「ん? ああ、よく気づかれましたね」

土岐さんは。

衿元から。

紺地の香袋を引き抜いて。

テーブルの上に置いた。

「理由はね簡単よ、美鈴さんから、私と妹の美代子が作り方を教わったからよ」

「ああ、なるほど……」

「ふーん。相川さんすごいね。そんなとこ気づくんだ」

「なんか、ほっとする匂いだからかも」

「それはあるかもね、気持ちを落ち着ける効果があるんだよね確か」

「それって、土岐さん以外にも作れたり出来るんですか?」

「そうね。レシピがあれば同じものは作れますよ。まあ、多少配合の分配が変わっても。使ってる材料が同じなら、大差はありません」

「なるほど……」

もう一人。

この匂いがした人がいる。

実際のところ。

その人。

土岐くんから貰った。

小瓶に詰まっていたもの。

それが。

夢で見たより遥かに前に。

知っていた。


どうしよう……

土岐くんのこと。

聞いてみたいけど……

なんて聞いたらいいのかな。

苗字が同じだから。

関係あるように想うんだけど……

「でも、相川さんと透が知り合いなのは、本当に驚きましたよ」

「そんな話を聞くと、昨日、相川さんと、2年振りに会ったのも、偶然じゃない気がしてくるよ」

「うん。そうだね」

「あら? そうだったの?」

「まあね、運動公園で偶然」

「はい。その後で、私は友達と『土岐庵』に伺ったんです」

「あらまぁ」

土岐さんは。

顎を引いて。

目を見張った。


お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。