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想いの行方  作者: ぽんこつ


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ため息をつきながら

一色くんの車が。

角を曲がって。

ぼんやりとした外灯が照らす。

静まり返った夜道。

一色くんとの時間を噛みしめて。

緩む口元。

恋人……

できちゃったんだ。

私。

ひゅるると。

頬を風が冷ましていく。

「さむっ…」

肩を寄せて。

玄関へ駆け寄った。


「ただいまー」

「あれ? 帰ってきた」

廊下の奥から。

顔を出したお母さん。

「デートだったんだって」

その後ろから。

顔を覗かせたお父さん。

「まあ……ね」

「そうかそうか、相手は誰なんだ」

「もう、父さん、そう言うのは聞かないの」

「そうか。まあ、でも、紹介してくれるんだろ?」

「あのね、菫は初デートよ。どうなるかは、これからよね?」

意味ありげに。

ジーっと見てくる。

お母さん。


もう……

なんで。

二人が盛り上がってるの?

「はいはい」

私は笑顔を振りまいて。

洗面所へ逃げ込んだ。

鏡に映る。

私の顔を見てるのに。

一色くんの笑顔が。

被さってきて。

「はぁ……」

さっきまで。

一緒だったのに。

もう。

会いたくなってて。

心がつかえてるみたいで。

「はぁ……」

もやもやして。

胸をさする。

なんでだろ。

苦しい。

ん……?

視線を上げると。

鏡にお父さんとお母さんが。

映り込んでいた。

眉間にシワを寄せると。

わざと。

驚いたように。

お互いを見合って。

ニヤニヤしながら。

去って行った。

「……もう」

肩で息を落として。

頬を膨らました。

ピコン。

あっ!

口を結んで。

2階の部屋に。

小走りに向かった。


扉を閉めて。

ベッドに腰かけて。

バッグからスマホを取り出した。

『今、家に着きました。明日もよろしくね』

文字を見ただけで。

心が跳ねて。

ニヤけてる私。

「連絡ありがとう。明日も楽しみにしてるね」

文字を打ってるだけなのに。

心が踊って。

一色くんの微笑みが甦る。

『僕も楽しみ。じゃあ、おやすみ』

「うん。おやすみなさい」

心拍数が上がったり。

下がったり。

「んーっ」

両手を伸ばして。

背中から。

ベッドに倒れ込む。

まさかね。

こんな展開……


そっか。

みんなに報告しなきゃね。

えっと……

「遅くにごめんね。あのね、一色くんと付き合うことになった」

文字で見ると。

いっそう。

むず痒い。


せーの……

送信ボタンを押す指が。

心なしか震えてた。

「ふぅ……」

不思議なことって。

あるんだな。

そもそも。

発端のラブレター。

誰が書いたのかは。

謎のままだけど。

一色くんと。

出会っちゃうなんて……


運命かなぁ……


夢のこともあるし。

あれ?


そうだ……

一色くんの上のおばあさん。

土岐って名前だった。

土岐くんと関係あるのかな。

一色くんからも。

上のおばあさんからも。

同じ匂いがした。

そう。

あの時。

土岐くんがくれた小瓶の香り。

うーん。

人差し指をあごに当て。

眉をしかめる。

ダメだ。

分かんない……


ピコン。

ん。

誰が一番乗りかな……

ピコン。

ピコン。

「ハハハ……」

『え? なんだ? その展開。まあ、明日、ゆっくり話聞くわ』

『そっかあ。良かったね菫。私も嬉しい。明日、話聞かせてね』

『菫おめでとう! 私も恋したーい。明日、根掘り葉掘り聞くからねん』

岡田に。

亜季。

志帆の順番。

なんか面白い。

「みんな、ありがとう。明日、お手柔らかに」

明日も忙しくなりそう。

お風呂入って。

寝よっかな。

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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