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想いの行方  作者: ぽんこつ


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落ちる

――

視野が明るくなる。

あれ?

昼間だ……

この景色は……

運動公園!?

「菫、どうしたの?」

ん?

お母さんの声。

どして?

「ベンチにいた、お姉ちゃんが

泣いてたの。だからね、飴をあげてきたの」

「そっか。偉いね菫」

私の頭を撫でるお母さん。

「バイバイする時、笑ってくれたよ、だから、元気になってくれたかな」

「そうだね。きっと、大丈夫だよ」

「ふふふ」

あれ?

これって?

子供の頃の私?

「じゃあ、鯉のみけちゃんのとこ行ってくる」

駆け出す私。

「菫、危ないから走らないのよ」

「平気、平気」

私は林の中にある。

双子池に向かう。

そこにいる。

大きな鯉のみけちゃんに。

公園に来たら必ず会いに行く。

白い体に。

赤や黒の模様があるのが。

とってもきれいなんだ。

池に近づくと。

木陰になって涼しくて。

土の匂いが強くなる。

池に架かる。

小さな橋があって。

私がそこで待っていると。

みけちゃんは。

ゆらゆら尻尾を振って。

会いに来てくれるの。


池のほとりで。

立ち止まって。

息を整えて。

橋へと向かう。

ふわふわと。

紋白蝶が飛んでいて。

散らばった。

お日様の光が。

池の上でゆらゆらしてる。

橋の真ん中辺りで。

しゃがみこむ。

「みけちゃん来たよ」

膝の上にアゴを乗せて。

ウキウキ気分。

「マサシ待てよ!」

大きな声がして。

タッタッタッ……

足音が近づいてくる。

「待たないよー!」

ドン!

痛い!

体の横に。

誰かがぶつかってきて。

その勢いに。

押されるように。

体が倒れて。

あっ。

落ちる――


次の瞬間。

ぐっと。

二の腕を引っ張られて。

腰が引き寄せられた。

ドン。

と。

何かにぶつかって。

あっ。

同じ匂いがした。

「相川さん、大丈夫?」

ん?

頭の上から。

一色くんの声がして。

!?

これって……

抱きしめられてる……!?


私……?


頭に血が昇る。

駆け出す鼓動。

この状況から。

抜け出そうと。

体を動かす。


けど。

え……?


ぐっと。

腰にある腕が。

私を逃がさない。

「危ないよ、こっち来て」

ただ。

うなずく私。


一色くんは。

抱擁を解くと。

腰に添えた手はそのままに。

私を鳥居の脇に連れていく。

「ごめんね、そんなつもりはなかったんだけど。ああするしかなくて」

私に向き直ると。

一色くんの手は離れた。

「あ、ううん。全然いいの、ちょっと、自分でも、その、あの……」

頭が回らない。

口も回らない。

落ち着け菫。


えっと……

ああ。

そうだ。

誰かがぶつかってきて。

階段を踏み外して。

「あ、ありがとう、一色くん」

「あ、いや、どこか痛む?」

両手でズボンの腰辺りを。

さすっている一色くん。

「ううん。大丈夫だよ」

「じゃあ、行こっか」

「あ、はい」


男の人に抱きしめられたのって。

お父さん。

拓兄ちゃん。

以外で。

初めて……

あっ。

沢田くんに。

お姫様抱っこされたし。

岡田も。

子供の頃は。

しょっちゅう抱きついてたっけ……

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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