↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
想いの行方  作者: ぽんこつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/52

整えても  

私は家に帰るや否や。

べとついた体と。

あくせく心を。

宥めるために。

シャワーを浴びた。

でも。

落ち着くどころか。

むしろ。

やんややんや。

あーでも。

こーでも。

妄想演劇が始まって。

頭の中は騒々しく創造する。

ん?

騒々しく創造。

上手いじゃん私。


けどでも。

スッキリしないことも。

あるわけで……

ラブレターのことも。

土岐くんのことも。

自室に戻った私は。

クローゼットの棚の上。

収納ボックスを引っ張り出す。

中にあるのは。

水色の浴衣。

黄色や赤や青。

色とりどりの花火を模した柄。

志帆は春でも着て行きな。

とは。

言ってたけど。

さすがに……

寒いよねまだ。

どうしよう。

服は荷造りしちゃってるし。

クローゼットを引っ掻き回す。

これにしよ。

って。

選んだのは。

数えることしか着たことのない。

水色のニットと。

淡いベージュのフレアスカート。

よし。

せっかくシャワーを浴びたのに。

おかげで少し。

汗ばんだ。


まあ。

まず。

ほぼ。

ないと想うけど。

一番お気に入りの下着を。

スーツケースから。

わざわざ身に着けている。

私って……


やばっ。

もうすぐ17時になる。

赤山八幡神社までは。

さすがに自転車だとしんどいから。

バスで行くんだけど。

もろもろの時間を含めると。

最寄りのバス停を。

17時28分に出るバスに乗らないと。

神楽が始まる。

18時には間に合わない。

寝坊した時のような早さで。

着替えを済ませて。

鏡と向き合って。

ヘアゴムをくわえて。

後ろ髪をサイドで低い位置でまとめる。

くるくると毛先を巻き込む。


急がないと……

化粧ポーチの中を引っくり返す。

ファンデーションは薄く。

ビューラー始動。

マスカラ……パス。

アイライン丁寧に……

チークは……軽く。

桜色のリップを塗って。

唇を擦り合わせる。

どうだろ。

前髪を斜めに流して。

ヘアピンで留める。


時刻は17時10分。


メイク道具をかき集めて。

ポーチにしまって。

ショルダーバッグに押し込んだ。

えっと……

スマホ。

財布。

ポーチ。

タオル。

そして。

ラブレター……

よし。

電気を消して。

部屋を飛び出した。


タッ、タッ……

両手でバランスを取りながら。

階段を駆け下りる。

廊下を抜けて。

玄関で靴を履く。

「菫、出掛けるの?」

「あ、うん、赤山八幡神社まで」

「赤山八幡様? 何しに?」

「あ、お祭りなんだって」

ハーフコートに袖を通す。

ん?

何故かニヤニヤしているお母さん。

「ふーん誰と?」

「あ、志帆と……」

視線を逸らして。

コートの襟元を直す。

「夕食は?」

「帰ったら食べる、ごめんね急に」

そそくさと。

バッグを肩にかける。

「まあ、いいけど、菫もとうとうデートか」

「へ……?」

お母さんは。

両手を腰に当てて。

仁王立ち。

「ほら、行っといで、くれぐれも気をつけて」

お母さんは。

追いやるように。

両手をひらつかせた。

「あ、はい。行ってくる」

「頑張れ菫」

背中でお母さんの声援を受けて。

玄関扉を開けた。


宵の帳に包まれた。

どこかしめやかな空気。

そう言えば。

夜に出歩くことなんて。

ほぼなかったな……

あっ。

いけない。

ショルダーバッグのベルトを握りしめて。

駆け出した。

バス停へと向かって。

耳に届く風切る音が。

どこか。

心地よかった。

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。