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想いの行方  作者: ぽんこつ


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みんなの想い

画面に表示された名前に。

志帆は。

隣でため息をついていた。

私も吐息がこぼれたけど。

どこか。

ホッとしていた。

『どうだった? 会えたのか? 会えなかったのか?』

『メッセージ返せるようなら、連絡くれ』

「志帆。ちょっと、岡田に返事するね」

「オーケー」

志帆もスマホを取り出して。

指を動かし始めた。


えーと。

「話すと長くなるけど。一色くんには会えたけど、ラブレターを書いたのは、誰だか分からない感じ」

『なんだそれ? 今、平気なのか?』

「うん。志帆と一緒だよ」

『そっか。まあ、状況よく分かんないけど。会えたのは良かったな』

「うん。謎はあるけどね。岡田ありがとう。色々」

『礼はいい。それで? 付き合うのか?』

「なんでそうなるの? まだ、会っただけだし、一色くんがラブレター書いた訳じゃないから」

『あ、そう言うことか。お前はどうなの? 一色のこと好きなのか?』

「たぶん……」

『ハハハ、菫らしい。迷うのも全然ありだが、機を逃すなよ』

「なにそれ?」

『考えるより、感じろってこと』

ん?

どっかで聞いたことある台詞……

ああ。

3年生の時の担任。

稲葉先生の口癖だ。

「洋子先生の受け売りだ」

『はいはい。そうだが? じゃあまた、連絡する』

「はぁい」

はぁ……

もう。

簡単に言うけどさ……

まあ。

応援してくれてるのは。

分かるけど。

ね。


「亜季にもお知らせしといたよ」

志帆は。

スマホを振りながら。

にこりと笑う。

「ああ、何か言ってた?」

「直接、菫にメッセージ送るって」

ピコン。

「亜季でしょ?」

「ふん」

「なんて?」

「えっと……」

『色々、考えるところもあるだろうけど、運命的な巡り合わせって、そうないと想う』

「同感ー!」

両足も伸ばして。

万歳する志帆。

「もう……」

「それから?」

「え、ああ……」

『菫の気持ちはどうなの? 一色くんのこと、気になってるのなら、私はその想いを消化させてあげたいかな』

「うん。珍しく亜季と同意見だね」

志帆は腕組みをして。

満足気に微笑んでいる。

『夜会ったら、頑張って、想いを伝えてごらん』

「だね。菫。ここは攻めあるのみ」

パン!

私の肩を軽くはたいた志帆。

「もう……」

みんなの想いは。

分かる。

志帆は恋愛に積極的だから。

普段と変わらないけど。

慎重な亜季や。

あまり口出ししない岡田までが。

志帆を後押しするようなことを言う。

「おーい。菫さん。また、妄想迷宮、さまよってますね」

「だって……」

「それよりさ、返事来ないね」

「ん? あ、なんかお墓参りとか、準備とかあるって言ってたから、忙しいのかも」

「ふーん。お盆でもないのにね」

「あ、2年ぶりに岐阜に帰ってきたって言ってたから」

「なら、なおさら、私なら運命感じちゃうなぁ」

「そう……かな」

「だってさ、菫が見た夢のこともあるし、時を越えて想いが交錯する。きゃー」

志帆は。

頬に両手を添えて。

体を揺すっている。

「もう、志帆ってば」

どっちが当事者か。

分からない。

苦笑いを落として。

どこを見る訳でもなく。

視線を泳がした。


元気に飛び回る子供たち。

木の根元で。

あくびをしている野良猫。

乳母車を押している女性。

お散歩しているお年寄り。

長閑な時が流れている。

すーっと。

息を吸う。

木々の青々とした匂いがする。

でもさ。

あの夢たちは……


ピコン。

びくりと。

肩が跳ねた。


お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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