ん?
私が東京の大学に進学するのを知っているのは。
亜季に志帆に岡田。
先生やクラスメイト。
家族に親戚くらい。
だよ。
その中の誰かが。
ラブレターの送り主が。
彼だとしても。
話したか。
教えたか。
頬を膨らまして。
手紙とにらめっこ。
?
どうして明日なんだろ?
ん?
私が週末に東京に引っ越すのも知っている?
って。
こと?
ですか?
そうなると。
範囲は狭くなる。
幼馴染み3人と家族に親戚くらい。
だと思う。
でも。
なんで。
ラブレターにしたのかな?
直接言ってればくれたら……
いや。
私の場合。
言われても……
ね。
うじうじしそう。
それに。
差出人も。
直接言えない小心者って。
わざわざ書いてるし。
「はぁ……」
3月10日――
日付自体には。
全く心当たりがない。
でも。
私のことだから。
忘れている可能性大なんだけどね。
どっちにしろ差出人は。
私のことを知っている。
だから。
靴箱に手紙を入れた。
ん?
靴箱に入れたということは。
やっぱり高校の関係者?
だよね。
でも。
卒業式だから。
人の出入りはあったのか……
あー。
もう誰ですかー。
髪の毛をわさわさとかきむしる。
普通。
アニメや映画だと。
こんな時に閃くよね。
私は……
閃かなーい。
バンザイをして。
そのまま床に寝そべった。
夢が暗示してるのは実らない恋。
ラブレターの文字の跳ねの部分の共通点。
あの小瓶の匂い。
ダメだ。
ぐるぐるループしてる、
?
ラブレターにもそんな文句があったっけ。
彼だとしても。
想い出はテニスをしたこと。
あれ?
彼とはどうやって出逢ったんだっけ?
「よっ!」
体を起こして。
亜季たちにメッセージを送る。
「私が小学校の頃、テニスをして遊んでいた男の子。どこで知り合ったか知ってたら教えて」
文字を打ち込んでて。
これ。
私って大丈夫?
って。
情けなくなったよ。
なんかさ。
もうダメな子だよね。
はあ……
でも。
送りました。
ピコン。
誰かな。
志帆だ。
『知らないよ。でも、あの頃、よく遊んでたよね菫。もしかして、その子なの? 例のラブレター?』
「うーん。分かんないけど。ちょっと気になったんだ」
『とにかく、明日になったら分かるよ。11時に菫の家に行くからね!』
「分かった。待ってるね」
ふーん。
志帆は楽観的だね。
ピコン。
はい。
次は。
亜季。
『菫。大丈夫? なんかラブレターに憑りつかれてない?』
『さすがに分からないけど、おばさんとかのが知ってるんじゃない?』
『とにかく。菫は考え過ぎるからね。まあ、言っても考えちゃうけどね』
「ありがとう亜季。おかげ様で沼ってるよ。そうだねお母さんに聞いてみる」
ふぅ。
さすがに亜季だね。
子供の頃なら。
お母さんが知ってる可能性もあるわけか。
よし。
「あのさ、私が小学校の頃、運動公園でテニスをしてた男の子のこと覚えてる?」
『なに? もう降りてきなさいよ』
ははは。
そうだよね。
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