私が?
昼食を食べ終わって。
帰るという岡田を玄関まで見送る。
「まあ。上手く言えないけど、ラブレターの送り主、変わったやつだよな」
「確かに」
「何かあったら連絡しろよ。俺もまた、聞いてみる」
「ありがとう」
岡田は小刻みにうなずいて。
思い出したかのように笑った。
首をかしげる私。
「何か。あれだな。志帆や亜季は変わったけど。菫は変わんないな」
「ん? それどういう意味?」
両手を腰に。
眉間にしわを寄せて。
じっと睨む。
「何で睨む? 別に悪いことじゃないと思うけどな」
「だから、どういう意味なの?」
「分かったから、んな恐い顔すんなよ」
苦笑いの岡田。
口を尖らせて。
腕を組んだ私。
「上手く言葉に出来るか、語彙力ないからな俺」
「ちゃんと聞くよ」
「俺が言う変わらないっていうのは、菫の心根のことだよ」
「ん? なんて?」
「ああ、心の根っこの部分っていうのかな」
「それで?」
「明るさだよ」
「ん?」
「あ、むずいな。いつだったかな亜季とさ話したことがあったんだ、俺ら四人のこと」
「そうなの?」
「うん。亜季が珍しいよねって。いくら幼馴染みでも女三人の中に男一人って」
「まあ、そう」
私の声に。
笑いながら。
うなずいた岡田。
「で、亜季がこう言ったんだ。女三人幼馴染みでも、続かない関係もある。女は色々あるからって」
「そうなのかな」
「まあまあ、聞けよ」
「はいはい」
「で。菫。お前が居るから、この関係が続いてる。そう亜季が言って、それ聞いて、俺もそうだなって思った」
「え? なんで?」
「亜季の言葉を借りれば、菫といると安心する」
「ん?」
「それは、俺もそう。志帆もそう言ってた。何でかわからんけどな」
「そうなの? 私もみんなといたらそうだけど」
「だからさ、何でかなって思ってたんだ。その答えがさっきの変わらないからかなって」
「ん? 結局戻ってきた?」
「あれ? そうか? でも、Tシャツにパンツ姿でいたろ? それ見た時に。そういうことかなって」
「ん? それ遠回しに子供みたいってこと言ってない?」
「そうか、そう聞こえちゃうよな。俺には無理だな説明するの」
「はあ?」
「じゃ、またな」
「え? このまま置いてくの? その答え聞けないまま」
玄関のノブに。
手をかけていた岡田は振り向いて。
「要するに、みんな菫を大切に想ってるってことだ」
バタン。
ドアが閉まって。
「私だって。みんなのこと大切に想ってるよ!」
姿が見えないけど。
岡田の背中に向けて。
投げつけた。
そんなの。
大切に決まってるじゃん。
私が想うのと。
何が違うんだろ?
全く。
何しに来たんだか。
肩をすくめて。
くるりと向き直る。
トン、トン……
階段を駆け上がる。
でも。
そだね……
私のことを。
気にかけてくれているからだよね。
そのあと。
私はシャワーを浴びた。
べとついていたのと。
悲しい夢を洗い流したくて。
忘れちゃいけないような。
気もするけど。
ちょっと。
しんどいから。
でも。
ある意味。
岡田が来てくれて。
助かったのかもね。
さっぱりした私は。
ベッドでごろごろ。
そっか。
夢の中のさよは。
ちゃんと想いを伝えたんだね。
慣れない歌に認めて。
あの。
お姫様は。
間接的だけど想いを口にした。
私は……
すっと。
息と一緒にこぼれた微笑み。
出来ない。
だよね~。
大の字で横になる。
結ばれない恋の暗示で。
でも。
今の私に。
好きな人はいない。
で。
なに考えてたんだっけ?
ん?
むくむくっと。
体を起こす。
スマホを取って。
メモをする。
「私の好きだった人」
打ち込んで。
思い返してみる。
何人か想い浮かんだけど。
なんか。
瞬間的に好き?
になって。
いつの間にか。
ときめきはしぼんでいく。
感じ?
その原因は。
テニスだったり。
相手に好きな子がいたり。
それこそ。
彼女ができたり。
好きというより。
気になるくらいだったのかな。
志帆や亜季と話すときも。
誰それがいいなぁ。
みたいなことは言ってたけど。
私が一歩。
踏み出せないからなんだろうけど。
もし?
でも?
っていう。
頭の中のおしゃべりが。
止めとこう。
どうせ。
なんていう結論を出す。
頬を膨らませて。
肩を落とす。
あれなのかな。
そのときめきに恋してるのかな。
私って。
でも……
そう思うと。
一色くんは。
少し違ったよね。
だって。
覚えてるもんね。
ピコン。
ん?
岡田だ。
なんだろ?
『聞き忘れたけど、お前さ告白されたことないの?』
ん?
告白……?
あっ。
お読み下さりありがとうございます。
感謝しております。




