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想いの行方  作者: ぽんこつ


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19/34

余韻

しばらく動けずに。

ただ。

泣いていた。

指先と上着の袖で涙を拭う。

ずるずると。

鼻をすすった。

そうだ。

あの通春という人が書いた字。

私はゆっくりとベッドから起き上がる。

汗を吸った肌着が冷たい。

スウェットの上下と肌着を脱ぐ。

結局。

朝から着替えずにいた。

シャワーを浴びたい気もするけど。

軽く上着で汗を拭って。

汗拭きシートで肌を拭く。

新しいスウェットを頭から被る。

爽やかな匂い。

あれ?

少しだるさが抜けている。

汗かいたからかな?

むくっと頭を出して。

片方ずつ。

袖を通す。

首元から髪を引き抜いた。

そうだ。

上着の裾を直して。

テーブルの前にぺたんと座る。

ティッシュで鼻をかんだ。

そして。

ラブレターを手に取る。

文面にゆっくりと視線を這わす。

うん。

やっぱり。

似てる。

字体の違いはある。

だけど。

はねの特徴は。

瓜二つ。

どういうことなのだろう?

ご先祖かなにかなのか?

でも。

以前のお姫様と今回のさよという子。

声は私だった。

時代的なものも。

さよの夢の方が古いように感じた。

「ふぅー」

大きなため息を一つ。

そっと。

ラブレターを置いた。


二つの夢に。

共通しているのは。

夢の中の女性の声は私。

恋をして。

でも結ばれない恋。

あとは……

笛!

龍笛という高く澄んだ音色の。

それから。

手紙と文字も共通しているような気もする。

あとは……

眉間にシワを寄せて。

トントントン……

おでこをげんこつで叩く。

んー……

こんなところかな。

何せ姫様の夢の方は。

よく覚えていない。

でも。

立て続けて。

こんな夢を見るのは。

なんでなの?

うーん。

しゅんと。

肩が落ちる。

もしかして。

結ばれない恋の暗示?

ってこと?

え!?

私はラブレターを手に取った。

この送り主って。

私が姫様やさよであったように。

夢の中の相手。

え!?

ん?

ということは。

今回も結ばれない恋ってことだよね。

やっぱり……


微かに。

街を抜ける風の音が。

部屋に差し込む光の揺らぎを作る。

お母さんのよそ行きの。

1オクターブ高い声。

お客さんかな?

あーあ。

なんだか。

結末が分かったミステリーみたいで。

気が抜けた炭酸のようで。

ん?

炭酸は気が抜けても甘いからましか。

どんなに頑張っても……

結ばれない……

ん?

いや。

ちょっと待った!

でもさ。

私の場合。

好きな相手いないけど。

どういうこと?

ラブレターの文面を読み返してみる。

このはねの部分の特徴がある文字を書く人。

全く。

誰だか分からない。

そもそも。

人の字なんて覚えてないし。

ああ。

亜季や志帆や岡田なら分かるか。

字ね……

意味もなく。

ラブレターを。

横や逆さから眺めてみる。

ん?

ガチャ。

部屋の扉が開いた。

ん?

「よう、ていうかさ、お前ズボンくらい履いとけよ」

岡田はそう言いながら。

私の前に腰を下ろした。

「え!? あ、もう、なんでいるの?」

両手で上着の裾を伸ばす。

「お前から返信ないし。例の一色ってやつのこと、少なくとも俺の周りで覚えてるやつはいなかった」

「あ、え、そうなんだ」

「あのさ」

「なに」

「悪いけど、とっととズボン履けよ。小学校の頃のまんまだなその格好。風邪引くぞ」

「だって。岡田がいるじゃん」

「は? 今さら恥ずかしがるの? まあ、確かに、そのピンクの下着は男の子には刺激的かもな」

「もう!」

「はいはい。目閉じとくよ」

「まったく……」

頬を膨らませて。

いそいそと立ち上がる。

このショーツの何が刺激的なの?

可愛いでしょうに。

まったく。

私はスウェットの下を履く。

「いいよ」

べたりと岡田に向かい合って腰を下ろした。

お読み下さりありがとうございます。

感謝しております。

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