ゾンビの群れから逃げよう
賢一たちの車両部隊は、ゾンビ集団と戦いながら住宅街を走っていた。
「火炎を撒いたか? しかし、何体かは走り抜けてくるだろうな? で、ダニエル達は無事だが? あっちのワゴン車は?」
「どうやら、そのようですっ! 連中、エリーゼさんを狙ってきますっ! 生存者のワゴン車も狙われてますっ!」
「ウオオオオオオ~~」
「じ、じじ自爆スルルルルッ!」
鏡をチラ見して、賢一は後ろの様子を確かめると、手榴弾を握りしめる。
メイスーは、M1919で後方を走る味方を援護するため、フレッシャー達を抑えようとする。
もう盛る炎の中を、竹槍を構えた白人女性私兵ゾンビが走ってくる。
さらに、右側の平屋から突進してきたボンバーが飛び降りてきた。
「はっ! 爆発野郎だわ…………」
「だったら、早く撃ち殺せっ!」
「グワアッ!?」
「グエーー? ばば爆発するッ!?」
エリーゼは、咄嗟にスカンジウムを取りだし、ウォーリアーを射殺する。
次いで、ボンバーに四発の弾を撃ち込み、ドカンッと炸裂させてしまった。
しかし、その音がゾンビ集団を引き寄せてしまったらしく、さっきより追ってくる数が増えた。
後ろから多数の特殊ゾンビ達が走ってきて、竹槍や鉄パイプ槍を真っ直ぐに構える。
「アンタ達、助けてちょうだいっ! 爆薬を積んでるのよっ!」
「このままじゃ、私たちは殺られちゃうわっ!」
ベレッタ98を車窓から撃ちまくり、太平洋系の女性運転手は、左側から迫る群れを撃退する。
アジア系の女性生存者は、レミントン870を撃って、右側から寄ってくる敵を攻撃した。
「右は、ダニエルとエリーゼ? 左はワゴン車の女たちか? お前ら、速度を上げろっ! 手榴弾を投げるっ!」
「ひええっ!? ゾッ! ゾンビが近いっ! 来ないでええええっ!!」
「グゲェェ~~~~! グワア?」
「ガガーーーー!! グバッ!?」
賢一は、白いテクニカルを減速させて、仲間達の車両を避けながら、最後尾に移動する。
そして、幾つかの手榴弾と閃光手榴弾を、窓から投げて、道路をコロンコロンッと転がした。
M1919を、メイスーは左右に振り回しながら、めちゃくちゃに乱射する。
こうして、ウォーリアー達は、機銃弾によりドミノ倒しになっていく。
「分かったぜっ! 行くぜーー! エリーゼ、捕まってろっ!」
「グエエエエッ!?」
「ガギギギギーー!」
「うわ? 危ないわね?」
「頼んだわよ…………私たちは、爆発物を運んでいるんだから」
「ええっ! このまま逃げ切らないとっ!!」
ダニエルの青いテクニカルに引き殺されながら、フレッシャー&ゾンビ達は、奇声を上げる。
エリーゼは、表情を変えないが、額から汗を滴し、揺れる荷台で後部鉄板を掴んだ。
太平洋系の女性生存者は、ワゴン車が敵に捕まらないように、速度を急加速させた。
アジア系の女性生存者も、レミントン870に下から散弾を込めていく。
「そろそろか…………上手くいってくれよ? 頼むぜっ! メイスー、目を瞑れっ!」
「えっ! はいっ! って、どうな?」
「グワアーー!?」
「目、メガーー!! 見えナイイーー!?」
「ギャアアアアッ!!」
「うわアアアアッ! 爆発ガ~~~~!」
賢一が叫んだ瞬間、メイスーは慌てて、指示された通り、両目を瞑る。
すると、数秒後に爆炎と閃光が、連続で道路を埋めつくし、ウォーリアー達を巻き込む。
フレッシャー達は、壁や路上に吹き飛び、ボンバー達も爆風で誘爆してしまった。
こうして、二つの車両部隊は、無事に危機を脱することができた。
「ウォーーーー!」
「ギィィ」
「終わったか? まだ、何体か走ってくるが、離せそうだな? ふ~~~~」
「はい、撃たなくても大丈夫な距離ですね」
賢一は、遠ざかる足音や奇声を聞いて、思いっきり安堵の溜め息を吐いた。
M1919を手放し、メイスーは車の運転席に背中を預けながら呟く。
ゾンビ達は、左右から走ってくるが、フレッシャー&ジャンピンガー等は、すでに来なくなった。
そして、二人の白いテクニカルに、トライクが速度を落としながら近づいてくる。
「アンタら? どこの連中だ?」
「俺たちは、西の川沿いにあるホテルに向かうが? はっ? 荒手かっ!」
「ガウッ! ガウッ! ガウッ!!」
「ガウ、ガウガウガウッ!!」
「グルル、ガウッ! アウッ!」
「ガルルルル~~」
アジア系の生存者は、トライクから声をかけてきて、すぐに正面に向きなおる。
太平洋系の生存者も、両手にグロック17を握ったまま、話しかけてきた。
だが、彼は素早く次なる敵の襲撃に反応して、左側へと、二丁拳銃を向ける。
そこからは、狭い路地を走り抜け、ゾンビ犬の群れが何匹か襲いかかってきた。
「撃ちまくれっ! 速度を上げるっ! ぐわああっ?」
「この、このっ! うぐ…………」
「ガウッ! バウッ!」
「ギャウッ!」
トライクは速度を上げて、敵から逃げようとしたが、アジア系の生存者は、手足を噛まれてしまう。
太平洋系の生存者も、グロック17を二丁拳銃で乱射するが、彼も肉を噛み千切られる。
「うっわ? 危なーー!!」
「ちょっ!?」
その様子を見て、トライクと衝突すると感じたダニエルは、右側に急ハンドルを切った。
エリーゼは、遠心力により荷台から落ちそうになって、左側の鉄板に掴まった。
「うぎゃ~~~~!!」
「ああああっ!?」
「ガウ、ガウガウッ!!」
「ガルルルル、ガウ、ガウ、ガウ」
「不味いっ! このまま轢き殺す…………メイスー、掴まっていろっ!」
「は…………大丈夫です、いつでもっと?」
トライクは、右側の電柱に猛スピードで進んでいって、ぶっ壊れてしまった。
アジア系の生存者は、衝突した勢いで、宙に投げ出されてしまい、壁に当たって痛みに悶える。
一方、太平洋系の生存者は、再び近づいてくるゾンビ犬たちに体中を噛まれまくった。
賢一は覚悟を決めて、アクセル全開で、白いテクニカルのスピードを上げた。
不安気な表情だったメイスーも、屋根の裏で、衝撃を耐えるべく、身を屈めた。
「ギャウッ! キャイイッ!?」
「グルル、ガウガウ、ガ…………」
何匹か、白いテクニカルの下敷きになって、ゾンビ犬たちは、すり潰された肉片へと変わっていく。
「うぐっ! 今ので、犬どもは千切れたか…………メイスー、終わったぞ」
「ええっ! まだ追ってくる奴は、私が排除し?」
「火炎瓶を食らえばっ!」
「ギャウッ!!」
「ガウ、ガウッ!?」
ゾンビ犬たちを轢き殺し、賢一は揺れる車内で、これで本当に戦いが終わったと思った。
残りの敵も、メイスーはM1919を掴み、機銃掃射を浴びせようとした。
しかし、エリーゼが先に幾つかの火炎瓶を投げて、路上に炎を撒いた。
そこに突っ込みながら連中は、体に火が着きながらも、突撃を続けた。
とは言え、加速した車両部隊の速度には追い付けず、やがて赤く燃える体は小さくなっていった。
「流石に追っては来れないようだわ…………燃え尽きるか? 距離を開けられたわね」
「ソイツは朗報だぜっ! で、どうすーーんだっ?」
「俺たちは、最初の目標である漁港を目指すっ! そっちのアンタらは?」
「私たちは別の目標に向かうわ? その前に、礼がしたいから、この先のスーパーに向かいましょう」
エリーゼは、M700を構えて、遠くに見えるゾンビ犬たちを眺める。
彼女の声を聞いて、ダニエルは安堵するが、ハンドルを握る手からは力を抜かない。
賢一は、二人の方を向いたあと、ワゴン車に対しても声をかける。
すると、アジア系の女性生存者は、スーパーを目指して、先頭を走ろうとした。
「分かった、着いていく」
「行くしかないですね」
賢一とメイスー達も、礼が気になったため、取り敢えず、スーパーを目指していった。




