大骨裁き
魔王城謁見の間。
「誰もいないね・・・」
クライドの声が広い謁見の間に響く。
部屋にはクライド、シックス、ワズムの3人だけだ。
「ワズムさん、大将、もし何か少しでも危険を感じたら
俺を置いてすぐさま逃げてくれ」
「大丈夫じゃ、クライド殿に不利になるようなことは
せんて、安心なされよ」
「そうだ、クライド、ワシらを信じろ」
「そうじゃないんだよ!俺は二人に生きて欲しいんだよ!」
「別に命とられると決まったわけでもなかろう?」
「魔王様はそんなに甘くねぇって!魔王なんだから!」
とクライドが大声をあげた瞬間
ガチャリと大きな音を立て、玉座の隣の扉が開いた。
扉から真っ白な全身鎧を身にまとった魔王、その後ろに
白金の全身鎧をまとったラ・モンドが続く。
クライド、シックス、ワズムの3人はあわてて
玉座に向かい跪く。
魔王は玉座に座り、その後ろにラ・モンドが立つ。
「骨!魔王なんだからなんだ?」
ぎぇっ!どこから聞こえてた!?
「さて、ナグル族の長であるワズム
ならびにパックスの長であるシックス
遠路はるばるご苦労であった」
シックスとワズムは、さらに深々と頭を下げる。
「この度の働き、骨をよく支え難事の達成、見事である」
あれ?これ、もしかして?とクライドが顔をあげると
魔王はクライドのほうをじっと見ている。
ひえっっとクライドは慌てて顔を下げる。
「しかーーし、その仕事は我が命令を無視した骨の仕業。
我が命令を無視したことは万死に値する」
"万死に値する"
「ま、魔王様!お待ちください!!」
クライドが顔をあげ魔王に物申そうとした瞬間
「骨!だまっておれ!!!!」
今まで浴びたことが無いほどの強烈な殺気が魔王から
放たれる。
クライドは身動き一つできなくなる。
横目でシックスとワズムを見ると、深々と頭を下げたまま
であるが、額に汗をびっしょりとかき、クライドと同様
身動き一つできないでいる。
「我が命令を無視したことは万死に値する。
しかしながらこの度の働きは殊勲一等もの
であることも事実。
従ってそれらを鑑みて、貴様らに罰を与える」
「「はっ!」」
シックスとワズムは、冷や汗をかきながら返答をするので
精一杯だ。
「ワズム及びナグル族、シックス及びパックス!
貴様らは、
魔王軍第五位階クライド the スケルターの直傘下に
入ることを命じる!以後、そこの骨の指示に従え。
我が誇り高き魔王軍ではなく、我が軍内で
何の手勢も持たぬ弱小ゴマすり野郎と蔑まれておる
骨の傘下に入れ、それが貴様らにお似合いの罰だ。
フゥーハハハハハハハッハ」
魔王は高らかに笑い声をあげながら玉座を立ち上がり
謁見の間を出ていく。
そして扉の近くに来た時、ふと立ち止まり
クライドのほうを向き
「骨!!身の丈に合わぬほどの多くの部下を急激に抱えて
苦しめ!それが罰だ!ぬはははははは」
と言い、謁見の間を出ていった。
魔王に続き謁見の間を出ていこうとするラ・モンドは
ふいにワズムのほうを向き、軽く手を振り
謁見の間を出ていった。
あ、そういうことか・・・。
張りつめていた緊張の糸がプツリと切れたクライドは
気を失ってしまった。




