おちこんだけれど骨です
「ふむ、話はわかった」
ナグル族当主ワズム・ナグルの屋敷。
普段ワズム・ナグルがいる書斎だ。
部屋にはワズム・ナグル、シックス、クライド
の3人がいる。
ドーガ家攻略に多大な貢献を果たしたクライド達であったが
その前から続くパックスとナグル族を使ってはならない
という指示を破ったことに関して魔王からそれぞれの長を
呼ぶようにという命令を受けたことを話し合っていた。
クライドの思いとしては、何度も世話になった
パックスとナグル族の"干され"状態をなんとかしたくて
よかれと思い行ったことであったがそれが裏目に出た。
シックスとワズムの処刑
これだけは何としてでも避けなければならない。
そんな決意をしていた。
「魔王城に登城するようにということじゃな。
ふむ、シックス殿二人で話がしたい。良いかの?」
「あぁ、ワシは構わん」
「ということじゃ、クライド殿、すまんが少し外してくれ」
え!?ちょっと待っ・・・
「二つの軍団の問題だ。外してくれ」
シックスに断言され、クライドは何も言えなくなり
部屋から出たが、それでもいたたまれなくなり
結局、屋敷から出た。
俺は世話になったパックスとナグル族が魔王軍に干されて
見てられなかったんだ。
何とかしたくて、少しでも役に立ちたくて。
それが逆に迷惑をかけてしまった。
そしてその対策の場から外されて。
絶望に打ちひしがれるクライドの脳裏に昔のことが
フラッシュバックする。
会社員時代のことだ
ガタイのでかい男、カツシマが青筋を立てながら
怒鳴り散らす。
「珍しく動いたと思たら、俺らに迷惑かけるて
どういうことやねん?あ?」
「迷惑かけるくらいやったら、何もすんなや、ボケが」
「ゼロの分際で動いてマイナスて、オマエ何やねん」
「しんでくれ、なー、まじで」
「役立たずは、もうしんでくれや、雑魚が!」
「シンデクレ・・・・・」
どこを見るでもなく中空を見つめてブツブツと
何かつぶやくクライドの目の間の空間がグニャリと歪む。
そのゆがみの中から貴族のような服装の色白の男が現れた。
「やっとみつけましたよ、我が主の動きをことごとく
邪魔する下賎なスケルトン」
男の肌は真っ白だが、その唇は怪しいまでに真っ赤だ。
そして動く口の中に異様に伸びた犬歯が見え隠れする。
吸血鬼!!!
「本来ならば、ロードである私がお前のような
下賎なスケルトンの命をわざわざ奪いに来たりは
しないのだがね・・・我が主の命ゆえにありがたく思え?」
高位のアンデットである吸血鬼の中でもさらに高位の
種族のヴァンパイヤだ。。
「・・・オレハヤクタタズ・・・・」
クライドは目の前にいる相手に気が付いているのか
いないのか、ただ中空を見つめながらブツブツと
つぶやくだけだ。
「どうしました?恐怖でおかしくなりましたか?
どうしてあなたのような役立たずを我が主はわざわざ
気にするのでしょうね?」
「・・・ヤクタタズ・・・」
「そう、役立たず、役立たずは死になさい!」
ヴァンパイヤの両目が怪しく光りそれと同時に
両手を上空に挙げる。
その頭上に巨大なエネルギーの塊が出現する。
「死ね!雑魚が!!!」
ヴァンパイヤがエネルギーの塊をクライドへ
ぶつけようとした瞬間
クライドの目に赤黒い炎のようなゆらめきが宿る。
「シネ?ザコ?ダレガ、誰がザコだ!!
オレダッテヒッシナンダ!!!
キサマラニどうこう言われる筋合いは無い!!!」
そういうと同時に突風が巻き起こり
クライドとヴァンパイヤの間の空間がゆらりとゆらめく。
驚いた表情のヴァンパイヤが目を見開き
「ま、まさか、じ・・・ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ」
何かを言おうとしたが断末魔の悲鳴をあげ瞬く間に
蒸発してしまった。
あとには地面に影だけが残り、そこからプスプスと
煙があがる。
「ん?」
クライドは我に返る。
「ん?」
何が起きたかわからないクライドが戸惑っていると
ナグル族屋敷の門からシックスとワズムが出てきた。
二人とも小ぎれいな服装―正装―をしている。
え?
「いやぁークライド殿お待たせした。
このゴリラがの、服装のサイズがあわんだの
デザインが古いだの、借りる分際でごにょごにょ
言うてのー、何着たところでゴリラはゴリラじゃて」
「うるせぇや、爺さんだって決まってるだの
似合うだの似合わんだの若い頃はもっと、とか色々
言ってたじゃねーかよ、じじいのくせに」
え?
「クライド殿、心配せんでもええて。
お主の真心は伝わっとる。大丈夫じゃて。
我々は、お主に迷惑をかけたりせんて」
「そうだぞクライド、ワシらはオメーに恩は感じても
迷惑なんて思っおらんからな」
ワズムさん・・・
たいしょお・・・
クライドは泣きそうになりながらも
「いいや、ワズムさん!大将!俺は、どんな手を使ってでも
二人を守る!絶対悪いようにはしない!!!!!




