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ボキボキウォッチング

ガタゴトという音でクライドは目が覚めた。


あたりを見回すとパックスの砦ほどではないが

急ごしらえにしては立派な砦が出来ていた。


ドーガ家の連中からしたら一晩で一気に砦が立った

って思うんだろうな。


とニヤニヤしながら砦を見ていると一番上の監視場に

シックスが難しい顔して立ってるのが見えたので

行ってみることにした。


「大将、とうとう完成したな」


「おぅクライド、目が覚めたか」


「おかげさまでよく寝れたよ。ところで大将、

砦が出来たのに何でそんなに難しい顔してんだよ」


「ぶっちゃけて言うと、俺達も限界寸前だ。

砦が出来てもドーガのヤツラが全力で攻めてきたら

耐えられねー」


「え?ヤバイじゃん・・・」


「そうだ。だからオメーにラ・モンド軍からの助けを

呼んできてもらおうとここで待ってたんだ」


「ヤバイじゃん・・・それならはやく起こしてくれよ!

すぐ出発する!」


「待て!クライド!」


慌てて出ていこうとするクライドをシックスが呼び止める。


「なんだよ大将!急ぐんだろうが!」


「急ぐ!だが敵にそれを悟られちゃならねぇ。

もしワシらがヤバイとバレたら

それこそ全力で攻め込まれる。

だから、それを悟られないように行ってくれ」


「わ、わかった!」


「良いかくれぐれもラ・モンド軍、デグさんだけの耳に

入るようにしろ。言っちゃなんだが魔王軍全体は信用

できねぇ。現状がドーガ家にもれちゃ終わりだ」


クライドは、砦が完成したぞー、というウキウキ気分の

ふりをして、ラ・モンド軍デグの元へ向かった。


最初はのんびりと。

その後誰もついてきてないことを確認すると

走破術を駆使して全力で魔王城へ駆け抜けた。





魔王城に到着すると素知らぬ顔をして

デグさんへの取次を依頼する。


「良い報告ですよ、ウッシッシ」


などと軽口をたたく。

取次を受けた魔物は、またお調子者クライドの軽口か

程度の苦笑いを浮かべてデグの元へ行った。




すぐにデグの元へ案内されるとクライドは

砦は完成したこと。

しかし砦を守るメンバーが限界なこと。

静かにしかし速やかに援軍を出して欲しいこと。

ただし魔王軍全体は信用ならないためラ・モンド軍の

できるだけ少ない範囲でこと秘密裏に運んでほしいこと。


これらをまくしたてた。

デグはクライドの話を一通り聞くと


「ご苦労であった。あとは私とラ・モンド様で手配する

クライド、お前は仲間達が心配であろう。すぐに

砦へもどってやれ」


そう冷静に応えた。



やだ、頼りになる筋肉紳士。





クライドは再び走破術を駆使し砦に戻る。

砦近辺になるとドーガ家の目があるため走破術を解き

普通ののんびりした足取りで砦へ向かった。


砦では、相変わらずシックスが難しい顔をして

監視場へ立っている。


クライドはそこへ向かうと


「おぅクライド、ちょっとはやすぎねーか?

敵さん何かあるって疑っちまうかもしれねーぜ?」


「浮かれ気分で報告したって設定にしといてくれよ。

で、大将、デグさんと話つけてきた。

速やかにラ・モンド軍が援助に入ってくれる」


「スマン、助かる」



それから二人は特に言葉を交わすことなく

監視場でじっとドーガ家の方向を見つめていた。












その後、砦にはラ・モンド軍が随時入り、徐々に

パックス、ナグル族と交代していった。




パックス、ナグル族全員が砦を離れ

全てラ・モンド軍が運用できるようになるのを見届け

クライドはボニーの家へと戻った。



「ただいま」


「あ、クライド、おかえり。魔王城からすぐに登城する

ようにって来てるよ」


「戻ってきて早々かよ」


クライドは、休む間もなく魔王城へと向かった。



魔王城へ着くと通されたのは謁見の間であった。

案内の魔物が去ると謁見の間にはクライド一人。


ガランとした空間が広がっている。


「誰もいないと無駄に広いね」


なんて独り言をいっていると、玉座の近くの扉がバタンと

音を立てて開く。


そして扉から真っ白な鎧をまとった魔王とその後ろに

魔王とそっくりな白金の鎧をまとったラ・モンドが

入ってくる。


うわっ!!

クライドはあわてて謁見の間後方で、玉座に向かい跪く。


まだ誰も来てないやんけ。

魔王様激怒するんちゃうん?

学生の頃、全校集会で生徒が集まってくるのが遅い!

って既に来てる遅刻してない生徒に対して怒ってくる

生活指導のバカ教師みたいなことが起きるんちゃうん?


とくだらないことを考えていると


「骨!遠い!もっと近こう寄れ」


と魔王がクライドに声をかけてきた。


「はっ!ですが他の者がまだ揃っておりません」


クライドは跪いた姿勢のまま魔王へ答えると


「他の者はおらん。本日はクライド、お主一人だ。

大声だすのが面倒だ、魔王様も許可されておる。

もっと近くへ」


とラ・モンドが答えた。


じゃ、じゃあ・・・


ということで玉座に近づく。


近づいたら無礼者!とか言うの無しだぜ・・・・。

と考えながら玉座の近くで跪くと


ラ・モンドが


「ドーガ家攻めの砦構築任務、ご苦労。

今回はその褒章の場だ。

結果だけ見れば本来ならば全ての魔物達を集めて

大々的に褒章を与えてしかるべき働きであるが

諸事情で私と魔王様とお主だけで小さくだ」


「ありがとうございます!ですが諸事情で小さくとは?」


クライドの質問を受けラ・モンドは、ふむと頷き


「クライド、お主は独自の手勢を未だに持っていない」


たしかに自分の軍勢は持ってないね。

パックスとかナグル族とか外注だもんね。

アウトソーシングってやつ?


「そして、お主本人にそれほど強大な戦闘力が無い」


たしかに戦闘力は強大じゃぁないね。

ずばり指摘されると傷つくけどね。


「これらを踏まえて常識的な判断をすると

今回の任務は、普通の者の考え方では

とても達成できるような実力をクライドは持っていない

と考えてしまう」


軍勢を持ってない。個人の戦闘力も大軍を相手に

できるような戦闘力ではない。

そんなヤツが今回の任務を達成できるわけがない。

まぁ普通の一般的な連中ならそう思うだろうね。


「それゆえ、あらぬ疑いや嫉妬の目を向けられる

可能性があると考える」


ナニソレ


クライドのイラっとした表情を読んだのか魔王が


「想像力が欠如した頭の固い者はどこにでもおる」


と言葉を添える。

魔王の言葉に黙ってうなずいてラ・モンドは


「従って本件は、このような秘めた形とする」


と告げた。



色々思うところはあるけれど、まぁ良いや。

とりあえず褒章を受けられれば。


「はっ!ありがたき幸せ!」


とクライドは声をあげる。


クライドの返答を聞き、ラ・モンドは満足そうにうなずき


「クライド the スケルター!第5位階へと任命する!」



よっし!・・・って、あれ?一個しか上がってない。

俺、今まで第6位階だったから、それが第5位階。

今までの表現からいってすげー手柄立ててるはずなのに

一個だけ?




「骨!不満か?」


魔王が頬杖をつきながらクライドへ声をかける。


やべぇ、魔王様がちょっとイラっとしてる時の姿勢だ。


「い、いえそんな、め、めっそうも・・・」


言い訳しようとするクライドの言葉を最後まできかず


「骨!キサマ、パックスとナグル族を使ったな?」


魔王が玉座から身を乗り出しズイッとクライドへ顔を

近づける。



げぇ!!そこかよ!!


「は、はい!ですが!今回の任務は・・・」


「使うな!という我の命令は聞けぬ。ということか?」


「い、いえ滅相もございません!

ですが、魔王様は手段は選ばないと!」



魔王の発言の揚げ足をとるようなクライドの発言に


「な!なにを・・・」


ラ・モンドが驚愕の表情を浮かべる。

これまでの魔物達は魔王に逆らうことはあっても

揚げ足をとって利用したりやり込めようなんてことは

無かったのだろうか?



ク、クッ、クッククク


「ふっ、ふははははは、そうであったな。

確かに手段は選ばんと言ったな」


魔王は高笑いをする。

しばらく笑った後、再びクライドにズイと顔を近づけ


「何はともあれ、誰も真似できん結果を残したのは事実。

しかし我が命令を破ったのも事実。

それゆえに、差し引きで一階級昇進ということよ」



しょ、しょんなー・・・。

いのちがけでがんばったのにー。


不平不満の表情を崩さないクライドに向かい

魔王が再び厳しいオーラを漂わせ


「骨!キサマへの処遇はこれで良いが

パックスとナグル族への処遇がまだであったな。

パックスとナグル族、それぞれの長を

キサマがつれてまいれ!!!」



驚いたクライドが


「ちょ、ちょっと待ってください!

パックスとナグル族の処遇って!

彼らは今回の任務でかけがえのない・・・」


「骨!!キサマ、我の命令が聞けぬと申すか?」


魔王の凄まじい殺気がクライドへ向けられる。


クライドは、ハイ。としか言えなかった。



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