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矢じり、ボーン尻

「兄者、この風景再びだべな・・・」


ドーガ家領内に砦を立てる作戦は紆余曲折あるが、

現在どうにか進んでいる。


今日も、ドーガ家からの襲撃に備えて見回りをしている。

現在はクライドとザインが率いる部隊が見回りだ。


前回の襲撃は、クライドとザインが率いる部隊が

見回りしている最中に、敵がやってきて死にそうになった。


ザインは、そのことを言っているのだ。


「・・・怖いべな・・・」


「ふふふふ、ザイン、男子三日あわざれば刮目して見るべし

なのだよ、ふふふふ」


「何言ってるべ、兄者怖くておかしくなっただか?」


「ザイン、何気に失礼だなぁ!今回はちゃんと

対応してるって言ってるんだよ」


嘘ではない。パックスそしてナグル族と共に長槍部隊の

指示命令を含めた訓練を何度も実施した。


訓練と言うと兵隊を鍛えることだと思っていたが、もちろん

兵隊を鍛えることでもあるが、同時に指揮する者を鍛え

兵隊と指揮する者の連携も育てるのが真の訓練なのだ。


そう実感し自信を深めるクライドであった。



「たしかに、そうだべな!兄者もみんなも頑張ったべな!」


「そうだぜ、ザイン!」


「んだんだ、ドーガ家騎馬隊かかってこい!だべな」




と、その時ワンが凄まじい勢いでこちらに駆けてくる。


「旦那ぁ!!敵に動きあり!強襲体制を取ってる!!

数分後、ここに突撃されるぞ!!!

俺は大将のトコに知らせに行く!

旦那は迎撃体制を取ってくれ!」


なんのフラグだよ!ちきしょー。


駆け去っていくワンの背中をしばらく見ていたクライドだが

気を取り直し、部隊へ指示を出す。


「敵!強襲!方向特定!」


パックスの一人が


「西方より襲撃確認!」


と返す。



「全員、西方へファランクス準備し待機!」


クライドの指示で部隊が素早く隊を組み地面に長槍を置く。



「よーし、

そのままギリギリまで引き付けて槍を構えるゾ!」



どどどどどどっ


と轟音を立てドーガ家騎馬隊がクライド隊の前に

姿をあらわす。


「来たぞ!!ファランクスーーーーー構え!」


クライドが騎馬隊を指しながら大声をあげる。


オーーーッ!!


クライド隊はみな長槍を一斉に構え、槍衾を作る。


さぁこい、さぁ槍衾に引っかかれ。


ザクザクザクザクとドーガ家騎馬隊が槍衾の餌食に

なることを想像していたクライドだが



騎馬隊は、クライド隊の手前で一斉に停止する。


よく見ると騎馬隊はみな、二人乗りをしており

騎馬の後ろにのっている兵が馬から降りごそごそと何かを

構え始めた。


「ん?なんじゃ?」


クライドは騎馬隊のほうをじっと見つめる。


ヒュンヒュンヒュンと空気を割くような音と無数の線が

空に弧を描いてこちらへ飛んでくる。



無数の矢だ。



「げぇっ弓兵!」


クライドが声をあげるかあげないうちに周囲の隊員達に

矢があたり倒れる。


まずい、このままだと矢で全滅してしまう。


「て、撤退!!全員撤退!!

速やかに森のほうへ逃げろ!!」


わーーーーっと声を挙げながらクライド隊が逃げ出す。


その背に向かい容赦なく矢が飛んでくるが森へ到着すると

矢が到達しなくなる。


「た、たすかった・・・」


クライド達がほっとしていると


遠くドーガ軍から


「前進!!!!」


という命令が聞こえてくる。


ドーガ軍を見ると、弓兵が騎馬の後ろに乗り

再びこちらへ突撃してくる。


ぎいぇえぇぇえぇぇぇぇ。


「全員、森の奥へ撤退しろ!!」


クライドが再び撤退命令を出し、隊がまた、わーーーと

声を挙げ撤退しようとすると森からガサガサと音が聞こえ

無数の人影が出てきた。


「げぇっ伏兵!」


とクライドがおののいていると


「クライドさん、流石です!あとはお任せください」


とジュニ・ナグルの声がした。


森から出てきた無数の人影はジュニが率いるナグル族だ。


「投石隊、発破!

魔法隊は火球(ファイアーボール)をありったけ叩き込め!」


ジュニが命令を下すと

無数の石と無数の火炎の球体がドーガ軍へ放り込まれる。


突撃しようとしていたドーガ軍から悲鳴が上がり


「ひけっ、引けぇ、引けぇぇぇぇぇぇぇぇ」


ドーガ軍から撤退の命令が出る。



従来の戦いならば撤退兵に追撃するのは鉄則であるが

今回の我々の目的は、砦を築くこと。

その邪魔をする兵を撤退させればそれで良い。


ジュニ隊もクライド隊も撤退するドーガ軍を

追い打ちしない。




「た、たすかったぁ・・・」


クライドがホッとしていると


「兄者、お尻に矢がささってるべ」


「うるせーそういうザインは、頭、矢だらけじゃないかよ!

アフロかよ!」



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