ごボーン美
ドーガ家の襲撃はあれから無い。それゆえ
砦建築は着々と進んでいる。
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というわけではなさそうだ。
仮設の本部テントでは、シックスとジュニ、そしてクライドが
難しい顔をして話し合いをしている。
「だからよ、戦闘は本当に命掛かってるから、みんな必死だけど
建築組がな・・・・。
一般的な建築作業者なら戦場で建築なんて命がけだって
必死こくけどよ、あいつらは戦場で建築なんてなれたもんだ。
それがパックスの目標だから基本は良いんだけどよ、
今回は裏目に出た」
シックスが眉間にしわをよせ、首をふる。
パックス建築組の進行が悪い。
理由は、敵地でありながら戦闘も少なく、また慣れということで
だれているのだ。
「ワシが一喝してなんとかなるなら良いんだけどよ
あいつら自分達が油断してる、だれてることに自覚がねぇ。
自覚がねぇことを一喝しても無意味だ」
「居という状態ですね。難しいですね・・・」
ジュニもいつになく難しい顔をする。
ジュニちゃん、なんだか難しい言葉知ってるやーん。
ととぼけたことを考えていたクライドだが、ふと会社員時代の
ブラック社長の発言を思い出す。
「人間はアメとムチ!恐怖と褒美で支配するんだ!」
現代において、堂々とこんな発言するヤツはくそ野郎だけど
真実をついてるとこはある。
そして今この状況にあてはまる。
アメとムチ、恐怖と褒美。
戦場で命がけ、というのはムチ、恐怖だ。
そして今はそれでは動かない。
ならば
「おーし!大将!ご褒美システム導入するどーーー!」
「あーーん?」
シックスが片方の眉をあげて返答する。
「よく仕事できたやつにはご褒美をあげるんだよ」
「そんな金、どこにあんだよ」
「ふふふふふ、大将、魔王軍を舐めちゃアカンよ。
そして我々の協力者を舐めちゃアカンよ」
そういうとクライドは本部テントから顔を出し
近くにいたナグル族に
「あ、ゴメン、ちょっとボニー呼んできて。
クライドが金の無心してるって」
と声をかけた。
「ボニーです。入っても良いですか?」
しばらくするとテントの外から声がする。
「おぅ、遠慮せずに入ってくれ」
シックスがテントの中から答えると
ダークエルフの娘―ボニー―がテントの中へ入ってきて
「クライド様、お呼びでしょうか?」
さまぁ???やけによそよそしい態度にクライドは
「ボニー?どした?悪い物食べた?治療術士いるから
これが終わった後、治療してもらうか?」
と心配する。
「おぅよ、お嬢ちゃん、我慢すんなよ?
気分が悪かったらすぐ言えよ?」
シックスも答える。
「ボニーさん、無理はなさらないでくださいね。
クライドさんは私たちで支えますから」
ジュニも答える。
「何言ってんだい!本部に呼ばれたからちゃんとした言葉遣い
してるだけだよ!クライドはいつものことだけど
大将やジュニちゃんも、なんだいなんだい!」
ボニーがぷんすか怒る。
「んだよ、やけに殊勝な態度だから
心配しちゃったじゃないかよー。
言葉遣いとか気にすんなよーこの中で一番年上の
150歳なんだからさー」
とクライドはボニーの肩をぺしぺしとたたく。
「うっさい!おばーちゃん扱いすんな!」
クライドはテントの外までぶっ飛ばされてしまった。
「大将、クライドの件、資金の件でしょ?、もう手配したから
心配いらないからね。ジュニちゃんもわかった?」
「ハイ、アリガトウゴザイマス」
「ハイ、ワカリマシタ」
「クライドのバカ骨!まぁその・・・
心配してくれるのはちょっと嬉しかったけどサ」
ぽそりと小声でつぶやくとボニーはテントを出ていった。
テントの中ではシックスとジュニが直立不動でしばらく
立っていた。
本部テントの会合を終えたクライドは自分が担当する
部隊のところへと戻った。
部隊のみんなは、各々武器の手入れをしたり傷を手当したり
横になって休んだり、適当にしゃべったりと銘々好きに
過ごしている。
そんな連中のなかでパックス側のリーダー格のホブゴブリンに
クライドは声をかける。
「なぁ、ここにいるみんなは、ファランクスできねーの?」
ホブゴブリンは、隊長格であるクライドに声をかけられ
一瞬びっくりしたが、すぐに姿勢を正し
「できますぜ、長槍部隊、全員やれますぜ!」
と答える。
「え?じゃあなんであんときやんなかったのさ?」
「そりゃ指示されてなかったし準備もできてねーですし。
それにパックス側はファランクス対応できますけど
ナグル族はファランクスできねーっすよ多分」
あ、そっか、ファランクスできるスキルがあっても
指示する側が指示しないと、使わないんだ。。。
それにナグル族が長槍できないのか・・・。
お!そうだ良いこと思いついた!
クライドは、立ち上がり、自分の部隊員全員に向かい
「みんな集まれ!」
と声をかける。
隊長格からの命令である。隊員達は何事か!とすぐに
クライドの元へ集まってくる。
「みんな集まったか?よーし、聞いてくれ。
まずはナグル族よパックスから長槍の戦い方ファランクスを
教わってくれ」
ナグル族は一瞬戸惑った顔でパックスの側を見る。
クライドはすかさずパックス側へ
「ファランクスをナグル族に教えられるかい?
あと長槍の予備ってまだあんの?」
と尋ねると
「長槍の予備はまだありますぜ!
ファランクスも当然教えることもできますぜ。
これまでのナグル族さんの動き見てりゃわかります。
彼らにとっちゃ簡単でさ!」
その言葉を受け、ナグル族はまんざらでもなさそうな顔をする。
「よし!決まりだ!
あと、ついでにファランクスの指示方法を俺に教えて」
クライドの部隊はオーーーっと声をあげ互いに握手やハグを
しあった。
うっしっし
これで俺の部隊のチームワークがあがるし
ファランクスが使えるようになるし、部隊の指示方法も
わかるようになるし、一石何鳥なんだよ!って話だぜ!
うっしっし。
大将、カッコ良かったもんなー。
「長槍部隊!前へ!」
ってさ!ゴリラみたいな顔しててもあんな状況だったら
すげーかっこ良いんだもんよ。
俺もやったるぜ!




