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君の骨を舐めたい

「くそったれ!名前を耳にした段階で気に食わねーなって

思ってたし、シックスの大将からの話を聞いた段階でも

気に食わねーなって思ってたけど

実物見たらもっと気に食わねーぞ、くそ!」


クライドは猛烈な勢いで悪態をつきまくっていると


「すまねぇ!!!!

お前さんを不快にさせちまったこと、全部俺の責任だ!

その怒り、俺に引き受けさせてくれ!」


でっかい体を90度以上曲げて

シェイが頭を下げる。


その様子を見てクライドは

カーツ一味のろくでもなさは置いといて

初対面であるにもかかわらず

このシェイという男の素直でまっすぐ気持ちが

うれしくあり、この男と親しくありたいと思った。



「こっちこそすまない、シェイ

何であれシェイの同僚、上司であり

仲間だもんな。仲間を悪く言ってすまない」


とクライドも頭を下げた。



クライドの言葉を受けてシェイは

パッと明るい顔をし


「カジーの野郎は、いつもあんなもんだがオヤジは

どうしちゃったんだろう?」

と首をかしげた。



蝙蝠の羽が生えた男の名前がカジーであるという

無駄な情報を得たクライドだがそんなことは

どうでも良く、ふと気になったことを

口にした。



「くやしいけど、カーツのおっさん達の

戦闘力が強大なのは事実だ。

冗談じゃなくパックス全員、おっさん一人で

消し飛ばせると思う。

なのになんで、魔王軍はわざわざ人間の真似して

軍を組むんだ?」




「おー、ちょうど良い最初はそれを教えようか!」


シェイが見た目とは裏腹に結構論理的に

説明してくれた。


「たとえばだ、超熟練の兵士がいたとしよう。

めっちゃつえーとしよーぜ」


LV99の戦士といったところか?



「そいつとよー、10000体の生成スケルトンが

戦うとしよーぜ」


LV99の戦士一人 VS 雑魚10000体



「そうすっとよー、超つえー兵士でも一回で倒せる

スケルトンは1~2体ぐらいだろ?」


1ターンで攻撃できる相手は1、2体。



「で残りの9000体以上のスケルトンが兵士を攻撃

すんだよ、全員じゃないにしろ、三分の一くらいは

かすり傷くらいは与えられるだろ?」


9999体のスケルトンの三分の一、

3333体くらいはダメージ1くらい

与えられる。



「たとえ、かすり傷でも3000回もらえば

いくら頑丈な兵士といえども致命傷だぜ」


LV99、HP999の戦士でも3000ダメージくらえば死ぬ。



「だから雑魚でも集団戦になると馬鹿にできねーんだよ」


なるほど


「だからさ、いくらオヤジが凄まじい戦闘力でもマズイのさ」


魔法や全体攻撃的なスキルを加味したとしても

たしかに一人の高い戦闘力でも厳しいだろうなー。

それで、魔王軍も対抗すべく軍になってるってことか。



「でもよー個々の力は俺たちのほうが上だから

集団戦にもちこめば、俺たちが圧勝と思うだろ?

ところがそれは、あめーんだよ」



やだ、聞いてないのに何か説明しだしたわ。



「魔物全員を戦闘にぶちこめねーんだ。

人間ってやつらは、ポイズンピルを仕込むんだ。

毒薬の意味なんだがな、これは魔王様が名付けたんだけど」


「人間達は、まず集団戦でどうにか俺たちと拮抗させるんだ

少々押されても構わねー、いわば時間稼ぎをするのさ。

そしてその間、能力と汎用性の高い5、6人のグループを

魔王の居城に送り込むのさ。

こいつらをポイズンピルと呼ぶんだ」


なるほどね、なぜ勇者パーティーが魔王を倒せるのか?

魔王軍全軍で勇者パーティー襲えば済むんじゃね?

って思ってたけど

人間側が、全軍を勇者に向かわせないように

時間と意識を釘付けにするんだ。

そしてその隙に魔王を倒すってことだ。


「先代の魔王は、冒険者というポイズンピルで致命傷を負い

引退を余儀なくされた。

先々代の魔王は、英雄というポイズンピルで滅せられた。

だから難しいのさ」


なるほどねー、だから人間に圧倒できないんだ。


へー一つ勉強になったわ、と思ったところで

自分の目の前で得意気な顔したシェイという

男について気になったので聞いてみた。



「ところでさ、シェイは、カーツをオヤジと呼んでたけど」



「あー俺は4軍団のカーツ軍団所属なんだよ。

所属員は軍団長カーツさんのことを、オヤジと呼ぶんだ」



息子達は無事だろーなー!

オヤジィィィィィィィィ


なんつって。



「あれ?俺は、どこの軍団所属なの?

シェイから説明を受けてるってことはカーツ軍団?」


まっぴらごめんだぜと思いながらクライドは

疑問をシェイに聞いてみた。




「いいや、お前さんはどこの所属でもないよ。

魔王親衛隊と一般雑務は魔王様直属なんだよ」




「そうなんだ。。。」


4軍団に入らないと出世の道は無いって聞いてたから

いきなり出世の道を外された感じがして

ちょっとがっかりしたクライドであった。



その表情に何か思うところがあったのか


「そう腐りなさんな、魔王様直属はある意味楽なんだから

かくいう俺もちょっと前まで魔王親衛隊にいたんだよ。

で親衛隊の隊務を終えてオヤジのとこで世話になってんだ。

当時は4軍団に入れずに出世がなーなんて思ってたけど

今思えば魔王様に守られてたな、なんて思うときあるぜ。

それに俺にはよく理解できねーが、魔王様いわく

お前さん、使えるヤツだそーだぜ。

だから教える以外にも、いろいろと相談にのってやれ、

気使ってやってくれって言われてんだ。


まぁ魔王様に言われたからってわけじゃねーけどさ

なんでも相談してくれよ」



シェイという男、カーツ軍団なのに

すごい親切なんでだろう。

と思っていると




「それにしても骨かー」


と、よだれをたらしそうな顔をした

シェイがクライドをまじまじと見つめる。


やだ、キモチワルイワ。




と、みるみるうちにシェイの顔が

毛だらけになり、手にも真っ黒な毛が生えてきた。

そして、顔が真っ黒な毛の狼に変わった。


獣人(ライカンスロープ)


普段は人間に似た姿をしているが

何か獣に変わるモンスターだ。

狼に変わる狼男が有名か。



「お、お、お、すまねぇ、骨と思ってみてたら

つい本能が出ちまった」

シェイは変身を解きながら言った。



犬の本能?

やだ、アタシ骨ペロペロされるわ。


それで親切なのかよ。



「おう、ちゃんと自己紹介してなかったかな?

俺はシェイ・ウォン

カーツ軍団所属。

種族は魔狼族の獣人だ。

以前は魔王親衛隊にいたからな、こう見えても

エリートなんだぜ?なんつって」


にっと笑うシェイ。


そういえばクライドも自己紹介してなかったな

と思い


「俺はクライド。

クライド the スケルター

何もないただのスケルトン!

これからよろしく!」


二人はがっしりと握手をした。



「じゃあ、いろいろ準備があるから

魔王城内の説明は、三日後な!

それまで好きにすごしてくれ、じゃあな!」

と言い残し、シェイは立ち去って行った。



当日いきなり魔王城につれていかれたら

その後、いきなり三日休みという放置プレイになったでござる。。。







三日くらい休みがあるなら、イコンの屋敷にでも戻るか

と思い

何か魔王城下町のお土産でも

ということで

魔王城の町を徘徊することにした。


魔王城下町というが、人間とさほど変わらない街だ。

ただ歩いているのが魔物というだけ。

酒場、武具屋、宿屋、アクセサリー屋や、花屋やまである。


ふとアクセサリー屋が気になり

入ってみることにした。




ひとしきりアクセサリー屋で時間を過ごし

店を出ると


「おぅ皆の衆、はげんでおるか!」

と、大きな声が聞こえてきた。


声のほうを見ると

巨大なドラゴニュートとその取り巻き。


カーツとその一味が町を歩き、店々に声をかけて

歩いている。



うわ、イヤなのに遭遇したわ。


と思っているとカーツの横にいる

蝙蝠の羽が生えた男が―カジーという名だったか―

めざとくクライドを見つけ

何かをカーツへささやく。



カーツはジロリとこちらを見た後

ズカズカとクライドのもとへ近づいてきた。



「おい骨、キサマ何しておる?」

と声をかけ

クライドが出てきた店を大げさに眺め


「アクセサリー?女子供の店から骨が何してきた?」

というと

カーツの取り巻き達が、ゲッヘッヘと下品に笑う。


何がおかしいのかさっぱりわからないが

イラっとしていると


「そうか、キサマたしか魔王様の慰み女のとこから

来たんだったの」


シーノさまのことか。


「あれか、女の機嫌をとって魔王様にとりなしてもらおう

ということか?その首輪をわたすのか?

品のない恥知らずなことよ。骨ごときが。

弱いキサマは精一杯ゴマなどすれば良い

ウェーッハッハッハ」


と笑いながらクライドのもとから去っていった。

それに続き取り巻き達も笑いながら去っていった。




むかつく、イラつく

大物な風を装ってるけど、何にも見えてねー小物じゃねーか。


ゴマすり?

おめーの周りにいる連中みんなゴマすりじゃねーか。



このチョーカーをシーノさまに?

シーノさまはもうちょっとおとなし目のアクセサリーが

似合うんだよ。

こういう元気なのが似合うのは・・・。


何みて生きてんだよ。

目開けて寝てんじゃねーか、くそやろーが。



くそアンデットやろーってどこぞの誰かが表現してたけど


あいつはくそ爬虫類やろーだわ。




ブツブツと文句を言いながら

チョーカーを手にもってイコン族の屋敷へと向かい始めた。



「ムカつく、腹立つ、イラつく」

ブツブツブツ





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