骨、会社案内される
ガチャン
「だからさー、俺怪しい者じゃないってっばー」
クライドは魔王城の門の前で
門番である生成スケルトン2体に行く手を阻まれていた。
魔王カーツ軍所属、シェイ・ウォンから
魔王軍に関することの説明を受けることになり
その約束の日なのだが
相変わらず魔王城の門番2体のスケルトンは
クライドを通してくれない。
「だからさー、シェイに用事があるの、シ・ェ・イ。わかる?」
ガチャン
やはり門番はクライドを通さない。
「なんだよー、特定の言葉とかに反応しないのかよー
これじゃどこぞの応対ロボットのほうがましだぜ」
「よーう、スケルトン3体で何遊んでんの?」
クライドの後ろからシェイが声をかけてきた。
「シェイに用事があるって言ってんのに
通さねーの、このポン骨ども」
「あはははは、まぁ良いや今日は魔王城の中を案内
するからついてきな」
そういうとシェイは門を通らずにぐるっと魔王城の裏手に回った。
「さっきの正門な、あそこ魔王様の許可が無いと誰も
通れねーの。俺も。
魔王様の許可っていうか、出入担当者がやるんだろーけど。
無条件で通過できるのは魔王様だけ。
基本俺たちは出入りできねーの」
じゃあ先日からの不毛なやり取りは何だったんだと
がっくりと肩を落とすクライドであったが
「知ってたんなら、何で最初の日に教えてくれなかったんだよぅ!」
と抗議する。
「だっておもしれーじゃん、門の前で踊る骨3体」
「ひどくね!ひどくね!」
「だって魔王様がおもしれーからそっとしとけって言うからさ。
魔王様の命令は絶対じゃん?」
とニヤニヤ笑うシェイであった。
魔王城裏に回ると少し屈んで入らなければならない小さな門があった。
「お前さんはこっちの門から必ず出入りしろってさ。
魔王様いわく、骨の出入りは秘密裏に行わなければならぬ。
だそうです」
裏門を通り抜けると小さな小屋がある。監視小屋であろうか
そこにくたびれたオークが居眠りをしていた。
「セキュリティーゆるゆるやん・・・」
とつぶやくクライドに対して
「この門に関してはお前さんは自由に出入りしても良いそうだ」
「シェイ達もこの門を使うのか?」
「いいや、俺たちは反対の正規兵用の門を使う。
こっちの門は商人や出入りの者が使う通用門だ」
業者用かよ!扱いひどくね!
と思いながらも、シェイの説明をきくことにする。
「じゃあ、魔王城の施設をいろいろ説明していくぞ。
質問があれば、その都度してくれて構わない。
まぁ俺に質問は別にいつでも良いけどな。
それと、場所によっては魔王様の伝言があるからしかと聞けよ」
最初に案内されたのは謁見の間だ。
魔王が部下達と会うのにこの部屋を使う。
一段高いところに玉座があり、あーあそこに魔王様が
座るんだなと一目でわかる。
「ここは、下っ端の俺たちがくることはめったにねぇ。
頻繁に使うのは軍団長とその代理の者だけだ。
あとは、重大任務を成功させた場合の褒章を与えられるのは
ここだな。要はかかわることはほとんどねぇ」
続いて連れていかれたのは
大き目のテーブルと複数の椅子が並ぶ部屋だ。
同じようなつくりの部屋がいくつかある。
「この部屋は魔王様ではなくって軍団長や偉いさんが
俺たちに指示を与えたり作戦を練ったりする部屋だ」
要は会議室だ。
「ちなみに、お前さんがここにかかわることはめったに無い。
ここを使うのは軍団員か親衛隊だけだ」
「次はここな」
ぐるっと魔王城内を歩き到着した場所。
外から考えると魔王城の中央あたりか。
魔王城らしからぬ、草花や泉がある庭だ。
「ここがお前さんのメインの勤務場所な」
そうですお庭番です。
「魔王様からの伝言だ。
全ての命令はここより出る
そしてすべてはここへ戻せ。
だそうだ
雑用なのに大層な表現だよな。変な感じ」
諜報の指令は、この庭で魔王からクライドへ
出される。
そしてその結果の報告は、この庭でクライドから
魔王へ秘密裏に直接行われる。
そうです御庭番です。
「次は部屋な。家族を持たない一人で暮らす魔物は
この部屋に入ることができる」
要は独身寮だ。
シェイがいくつかの空き部屋をあけて見せてくれた。
「この部屋が親衛隊用、こっちが雑務者用、で
こっちが一般兵用」
親衛隊の部屋は一人部屋でかなり豪華だ。
一般兵と雑務者は相部屋になってる。
ここでも扱いが違うのかー。
などと思っていると
「一般兵は地位があがると部屋が豪華になるんだよ」
シェイの補足説明を聞く限り
雑務者は扱いがやっぱり悪いのかー。
ということはお庭番の自分の部屋は・・・。
「クライド、お前さんの部屋は相部屋だ。
ちなみに俺と一緒の部屋になる。
すまねーな一般兵と同じで」
シェイと同じ部屋ならなんだか少し安心した。
続いてつれてこられたのが
大量の料理を作っている大部屋。
調理室、賄い部屋だ。
「ここが魔王軍のほとんどの連中の胃袋を支えてる。
大事だぜぇ。
気を付けておいてくれよ」
気を付ける?
「それから、これは実際に連れていくことが
できねーんで説明だけになるんだが
魔王城には、魔法、アイテム、武具、その他諸事の
研究室がある。
俺たちゃ用がなけりゃ近づけねぇ」
という説明をするうちに
馬小屋についた。
「ここは見ての通り馬小屋だ。
魔王軍の脚だな。
普通の馬もたくさんいるが馬ではない
生物もいるから色々気をつけろよ」
「さっきから気を付けるって何を?」
「あぁ、魔王様いわくお前さんに
賄い部屋や馬小屋からの仕事も引き受けさせるそうだぜ」
魔王様
「ほんとのお庭番もさせるからな」
という宣言通り、とことん雑用もさせる気満々なんですね。
すっかり疲れた足取りでシェイについていくと
「ここが訓練所。
普段はみな各々ここで訓練をする。
時々集団訓練も行われる。
集団訓練は、指名されるから自主的には参加できねーんで
まぁ呼ばれたら俺に聞いてくれよ」
数々の訓練用と思われる武具が並び、また様々な練習用の
標的等がある巨大な広場がそこにあった。
「さて、訓練施設の次はこっちだ」
訓練所の隣に扉がある。
シェイががちゃりと扉を開け
「さ、入った入った」
とクライドを促す。
扉を通り抜けるとクライドは思わず
「な、何じゃこりゃーーー!!!!」
と驚きの声を上げてしまった。
扉の向こうは、ズドンと開けた巨大な空間と
コロシアムがあった。
魔王城の外から見る限り、こんな広さは絶対に無い。
そんな巨大な施設だ。
シェイがニヤニヤ笑いながら
「期待通りの反応ありがとう。ここが闘技場だ」
と紹介した。
「大きさおかしくね?」
とクライドがつぶやくと
「魔法的に次元をゆがめて作ってんだ。
ここで俺たちが時折手合わせを行うんだ。
時々大会も開いたりするぜ」
ほぇーと声を上げながらクライドはあちこちを見る。
本当に巨大だ。
「無駄にでかくね?」
「これくらいの大きさが無いと幹部クラスの強大なパワー
を受け止められないんだよ。
これでもギリギリなくらいだぜ」
想像を超える大きさの空間。
それでも許容量ギリギリ。
そしてそれを作り出した強大な魔力。
魔王軍の連中の力はどれほど強大なんだと
あらためて震撼するクライドであった。
「せっかくだから闘技場の中に行こうか!」
シェイとともにクライドは闘技場の中へ入り
その中央へと向かった。
中央に立ちぐるりと周囲を見渡すと
その巨大さに改めて驚かされる。
「さてと、闘技場の紹介で説明は終わりだから・・・。
どうだい?いっちょ」
と、シェイは手足をブラブラとふり、首をコキコキと
鳴らし始めた。
何かの準備をしているようだ。




