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(旧) 天才は異世界の救世主[厄災]となる  作者: ポルゼ
第二章 宗教と竜の瞋恚
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情報と怒り

「やっぱり裏道かな……」


 裏社会の商人、イミウを探して街中を捜索しているハーリアは、裏道に行くことにした。

 別に裏社会に染まっている商人だからといって裏道にいるという訳ではないし、人の多い大通りだって普通に通る。しかし、裏の商売は人目がないところで必ず行う。イミウのそういう取引現場でも見つけられればいいのだが、それがイミウだと判断するのが難しいし、そもそも見つかる可能性はかなり低いだろう。

 とりあえずまだイミウを探す時間はある。ハーリアは諦めずに探すことを既に決めている。


(人通りが少ないけど、人がいない訳じゃない。ここは閑静な住宅街ってとこかな。意外とこういう場所で取引とかされてたりするのかな……)


 昼頃ということもあり、外出している人が多いためか、人は少ない裏道を歩く。


(今頃、みんなはアビタル教と戦ってるのかな。私だけちょっと違うことしてる)


 少しだけ申し訳なさを感じながらハーリアは周囲に注意を向ける。裏道には本当に狭い場所も多く、そういったところは暗くて見つけづらい。注意深く見ていないと簡単に見逃してしまうだろう。

 イミウがバレコールにいなかったらそもそも無駄足、まだいたとしても広い王都の中で一人の商人を見つける難しさ。無駄な事だと思う者も多いだろうが、それでもハーリアの心持ち的にもいつかは解決しなくてはならない事だ。

 コツコツと地面の上を歩く音が良く聞こえる。大通りには人が沢山居るため、ザワザワとした音は常に聞こえている。


(こうやって歩いていると、とても裏社会が蔓延っているようには見えない。けど、シグガンマ国でもやっぱり裏社会はあって、色々な組織や人と繋がっている。みんなそれを薄々……いや、普通に知っているのかもしれない。けど、知らないフリをしていた方が幸せに暮らせる。見ないフリをすることが悪いことだとは全く思わないけど、いつかは誰かがなんとかしなくてはいけないことなんだろうな)


 思わず耽ってしまうハーリアだった。平和を感じ取れる場所でも汚い部分は絶対にあるという悲しい事実に真正面から向き合うと、心が疲れてしまう。考えなくてもいいこと、知らなくていいことは世の中に沢山ある。それに向き合うことができるのはそれこそ社会を変える可能性を秘めた者だろう。


「おい、あれはどうなってる」

「待て、最近は色々と目が光ってて難しいんだ」

「……!」


 そこでハーリアは求めていたような会話を聞いた。明らかに日常で、人前で話すようなことではないと思えるような会話である。それを話しているのがイミウだとは全く思えないが、それでもイミウに繋がる情報が出ないとは限らない。

 その声は裏道の更に狭い道から聞こえてくる。ハーリアがそこを覗いてみると、住宅と住宅に挟まれた先の突き当たりに誰かがいることを確認した。


(彼らが裏社会に通じているとは断言できないけど、怪しさは百点満点。息を潜めて話を聞いてみよう)


 ハーリアは気配をなるべく消し、耳を澄ませる。


「まぁ、バレコールもそのうちダメになるかもな」

「バレコールってか、シグガンマ国がだろうな。フェンシェント国の件で最近の裏社会はかなり揺れてるし、そういった組織は無くしていこうっていう流れになりつつある」

「けど、権力者にも裏社会に通じている奴は以前多いし、すぐにって訳じゃあないだろう?」

「それはそうだが、できる対策はしといた方がいい。このままいけば裏社会が縮小していくことは間違いないからな」


 どうやらこれからの裏社会について話しているようだ。やはり、フェンシェント国という大国の王都、アークツルスで起きた裏社会が表に出るという事件が大きな影響を及ぼしている。あの事件をきっかけに裏社会に通じている権力者達もこれからどうするか頭を抱え始めていることだろう。

 そして何より、裏社会で生きる者達が一番影響を受けている。大陸南部でトップクラスの先進国であるフェンシェント国で起こったこというのが大きい。当然先進国となればその影響力は大きく、他の国の裏社会にも影響は及ぶ。

 シグガンマ国でも明らかにその影響を受けているが、アビタル教は少し特殊で、表に出ている部分も大きい。表社会で着実に力を持ちつつ、裏では色々としているために、裏社会を潰すとアビタル教の表にも少なからず影響が出るという組織なのだ。


(彼らを捕らえるのは簡単だろうけど、それで求めている情報が無かったら……いや、どこかで踏みだす必要があるのは確か。私はセリカみたいな情報収集能力はないんだから、取れる手段は取らなきゃ)


 ハーリアは唾を飲み込み、水の魔法を用意する。


「さて、そろそろ俺は行くとするかな」

「結局バレコールを出るのか?」

「いや、もう少しだけいるよ。最近あまり売れないんでな」


 そんな話をし始めた。そろそろ移動するのだろう。大事にしたくないのはハーリアも同じだ。この狭い裏路地で抑え込みたい。

 ハーリアは水の魔法を動かしていき、二人の真正面に持って行く。


「何だ……!?」


 男達が驚いた直後には勢いよく水がぶつかった。水はゆっくりと入れば全く痛くないが、高いところから落ちると痛いように、当たる速度によっては攻撃になる。世莉架がよく使う水の魔法はウォーターカッターの原理を利用しているものだが、どんな魔法も使い方によっていくらでも強力になる。

 水魔法に襲われた二人の男は大きく後ろに吹き飛ばされて、痛みに悶えていた。

 その間にハーリアは土魔法を使い、二人を拘束した。


「貴方達に質問があるの」

「く……誰だ、目的は!?」


 ハーリアは顔を見られるのは良くないと思い、壁越しに話しかける。


「そちらからの質問は受け付けない。単刀直入に聞くけど、貴方達はイミウという裏の商人を知ってる?」

「……!」


 二人は声こそ出さなかったが、驚いたのか、息を呑む雰囲気があった。


「イミウは裏社会の中では有名だし、表の商人でも知っている人は多い。貴方達のさっきまでの会話から考えるに、イミウについて知っていることがあるでしょう?」

「……」


 拘束された二人は何も答えない。これは得体の知れない相手に迂闊に情報を喋る訳にはいかない、というよりは、喋ってしまってそれがイミウ本人にバレてしまった時の恐怖を想像しているような、そういった沈黙に捉えらえる。


(表の商人の彼らもそうだったけど、イミウは本当に力を持っている裏の商人ということがよく分かる。でもここにいる二人は恐らく裏の商人。より詳しい情報を知っているはず。でも、尋問とか拷問とか、多分私には無理だし……)


 世莉架やアリーチェなら実行できたであろうことは、ハーリアには難しい。尋問というのは、ただ地道に聞いていればいい訳ではない。巧みな話術を使い、感情を揺さぶり、相手を揺らがせる必要がある。決して誰でもできる簡単なことではないのだ。

 

(どうしよう。この感じだと、いくら聞いても答えてくれなそう。黙るということは何か知っていることは確定でいいと思うんだけど……)


 あまり悩んでいる暇はない。人気がないとはいえ、誰がいつ通るか分からない。

 ただ、そんな状況でもハーリアが二人の男の口を割らせる方法はある。


(実際に攻撃する訳じゃないし、大丈夫!)


 ハーリアは全属性の魔法を使うことができる。これは大変貴重で稀有な才能の持ち主である証であり、全属性持ちの凄さは誰でも知っている。だからこそ、それを利用するのだ。

 

「まさか、完全魔術師(ペルフェットメイジ)か……!?」


 火、水、土、風、光、闇の全属性を二人の男を囲うように扱い、触れそうな距離で漂わせる。それだけで二人の男は降伏せざるを得ない。とはいえ、冷静になれば他にも魔術師がいて、複数人合わせて全属性に見せかけていると考えることもできる。しかし、そう考えるのが難しいくらい完全魔術師というのは恐れられ、憧れられる存在なのだ。また、完全魔術師はそのほとんどが有名人である。というより、勝手に有名人になっていくのだ。完全魔術師は先天的なものがほとんどで、努力で後天的に全属性を扱えるようになるのは限りなく難しく、それを追い求めて生涯を終える者は決して少なくない。そのため、幼い頃から周囲に持て囃され、将来が約束され、実際に地位や権力、影響力を持った存在になるのが普通である。

 ただ、ハーリアは少し違う。先天的に完全魔術師ではあるが、幼い頃から周囲に認知されていた訳ではない。それはハーリアの両親によるところが大きく、幼い頃から全属性持ちだということが周囲に露見すると、ハーリアを利用しようとする者達が群がってくることが目に見えていたからだ。そのため、ハーリアが完全魔術師であることを知っている人は中学校くらいまでは少なかった。ただ、高校からはハーリアは存分にその才を発揮し、優秀な成績を収めて冒険者としての活動許可をもらったのだ。だが、高校内で優秀な成績を収めただけなため、世間的には有名という訳ではない。

 そんなハーリアでも、全属性を見せつければ二人の男は勝手に怯え、手を出したり抵抗するのは危険な存在であると思わせることができた。


「さぁ、イミウについて知っていることを教えて」


 こうなったら男達は話す他ない。自らの周囲を囲む魔法に怯えながら、口を開いた。


「……や、奴は裏社会の中でも有名な商人で、裏社会における権力はかなりのものだ」

「そういう基礎的な情報は既に知っている。まず、イミウは今この国に、バレコール内にいるの?」


 ハーリアがまず知らなければならないのがイミウの所在だ。これが分かれば今後の行動は大きく変わる。


「確定的なことは分からない。あいつは自分の所在を隠すのが上手い。俺たち裏の商人の中でも、余程親しくないと奴の動向を知るのは無理だ」

「そう。じゃあ貴方達の感覚でいいから、イミウはまだここにいると思う?」


 その問いに対し、少し黙る二人。するとハーリアに脅されてから喋ってなかった男が口を開いた。


「まだいる……とは思う。この国の裏社会はなかなか大変なことになってる。もしかしたら明日にでもシグガンマ国の裏社会の規模が縮小するかもしれない。そうなる前に出来るだけ稼ぎたいと思うのは商人なら普通だろう。既にイミウが十二分にここで稼いでいたらもういないだろうが……」


 まだいるかもしれない。けれど、いないかもしれない。そういう曖昧な情報ばかりで、一向に確定的な情報を掴むことができない。

 一瞬、世莉架たちに頼りたいと考えたハーリアだが、すぐに頭を振った。


(ダメ。これは私一人で解決するべきこと。セリカ達にはセリカ達のやらなきゃいけないことがあるし、私もこっちが終わり次第向こうの手助けに行くんだから、手伝ってもらおうなんて考えちゃいけない)


 そんなことを考えていると、今度は男達が問いかけてきた。


「な、なぁあんた、本物の完全魔術師(ペルフェットメイジ)なのか?」


 少し冷静になってきたからか、ハーリアが本当に完全魔術師なのかどうかを問うてきた。仮に完全魔術師ではないと思われたとしても、彼らに抜け出す術はないだろう。


「そんなことより、もしイミウがまだバレコール内にいるとしたら、どこにいると考えられる?」

「そんなの知らねぇって。商人ギルドかどこかじゃねぇのか」


 段々と怯えがなくなってきているのか、声も落ち着き始め、少し乱暴な口調になっている。

 

「あんた、女だろ? それもまだまだ若い……もしかして学生とかか? おまけに裏社会に精通している訳でもないだろう?」

「うるさい、勝手に喋らないで。いいからイミウについて……」

「やめときな。例え本物の完全魔術師だったとしても、裏社会に手を出すと一生後悔することになるかもしれないぜ?」


 ハーリアは声を変えられる訳ではないため、そのままの綺麗な声で喋っている。そこには圧はないし、誰が見てもこういった荒事に慣れているようには感じられないだろう。更に、若い女であるだけで舐めて見られているようだ。

 

「私は貴方達を消すくらい簡単だよ。あまり舐めないで」

「へぇ、じゃあやって見な。人を拷問したことも、殺したこともないんだろう? 裏社会じゃあ当たり前にやることだぜ」

「あまり舐めないでって言ったでしょう?」


 突如、男達の周りを浮遊していた魔法のうち、土の魔法が形を変えて三角錐のようになり、男達の足に突き刺さった。


「ぐあ……!」

「私が女だから舐めてるのか、若いから舐めてるのか、裏社会をあまり知らないから舐めてるのか知らないけど、今私は貴方達の命を握っていること、忘れないで」


 ハーリアが少し力を出せばこの男達は簡単に殺せるだろう。イミウはハーリアにとって許せない存在であり、同じく裏社会も許せない存在だ。そんなハーリアは、裏社会の人間に舐められ、侮辱のような言葉をかけられるのが心底気に食わなかったのだ。


「わ、悪かったよ。とにかく、イミウに関してが俺たちもよく分からねぇ。どうしてもイミウの情報を得たいなら、根気よく商人やら権力者やらに話を聞くしかないんじゃないのか」

「……」


 それはその通りだった。この男達から得られる情報はもう無さそうで、新しく情報を得るためにはとにかく動くしかない。


「そうね。それじゃあ……」

「おう、そろそろ解放してくれ。足の治療にも行かなきゃ……!」


 ゴッという音が聞こえた。それはハーリアが土の魔法である程度の大きさの塊を作り、男達の頭に落としたためだ。


「ムカつくけど、これで勘弁してあげる。女を舐めてると痛い目に合うから、肝に命じてね」


 そう言い放ってハーリアはその場を離れた。次に向かう場所は決まっていない。ただ、イミウがいる可能性に懸け、進むだけだ。


「……?」


 しかし、そこから十分程度歩いた時だった。どこか、それも近くで戦いの気配を感じたのだ。話し合いの中では、日中に街中で戦闘することはないだろうという話だった。


(まさか街中で? もしかして……)


 ハーリアはその戦闘の気配の中に大切な人を感じ、走り出した。

 相変わらず人気の無い狭い裏道を抜けていき、どんどん戦闘の気配は強くなっていく。

 そうして出会った。二人の人物と。


「非常に面倒な魔法だ。しかし、それだけでは私を倒すことは無理だろう。せめて一旦引いたらどうだ」

「うっさい。あんたに一泡吹かせないと私の気が晴れないのよ!」


 そこには空間操作魔法を駆使しながら攻めるアリーチェと、それに対抗する仮面を付けた人物、即ちアビタル教の教皇がおり、戦っていた。


「アリーチェ!」

「え……!?」


 ハーリアは思わず戦闘中のアリーチェに声をかけた。声をかけられたアリーチェは当然驚き、戦闘を中断する。

 そして驚いたのは教皇も同じだったようで、突如現れた敵と思われる人物を見据えている。

 

「ハーリア、なんでここに……」

「私はイミウの情報を探しに……というかアリーチェ、尾行は?」

「いや、それはその……色々あって失敗した。だから今こいつと戦ってる」


 アリーチェの向いた先には教皇がいる。教皇は相対すると威圧感があり、その纏っている雰囲気はそこらの敵とは一線を画している。


「……ハーリア、やっぱりイミウの情報を掴むのは難しい?」

「うん、難しい。けど、どこかで一旦諦めなくちゃ。とりあえず今は……」

「私と一緒に戦ってくれる?」

「勿論。アリーチェの暴走を止める役割も兼ねてね」

「私ってどんなイメージ持たれてるの……」


 二人がそんなやり取りをしている中、教皇はとある単語に反応した。


「イミウ? イミウを探しているのか?」

「知っているの!?」


 まさか教皇がイミウを知っているとは思わず、ハーリアは驚きながらもイミウについて聞こうとする。影響力を持ち、怪しく、権力者との繋がりも多いアビタル教のトップであれば、イミウなどの裏社会の人物について知っている情報はそこらの裏社会の商人よりも多いだろう。


「イミウは今どこにいるの!?」

「……そうだな。私にもあの男の所在を掴む事は難しい。あれでも裏社会では凄腕だからな。自分の隠し方をよく分かっている」

「そんな事は分かってる。知っていることがあるのなら教えて」


 ハーリアは教皇からイミウの情報を得ようとする。だが……。


「何故、お前にそんな情報を与えなければならない?」


 当然、あっさり教えてくれるなんて事はない。そして、先ほどハーリアが気絶させた男達のように簡単にはいかない。


「ハーリア、力づくで吐かせるしかないよ」

「やっぱりそうだよね。ごめん、もう落ち着いた」

「こういう時こそクールにね」

「うん。多分、セリカだったら眉一つ動かさないんだろうね」

「はは、それは間違いない」


 話しながらも二人は完全に戦闘態勢に入っている。油断や隙は見当たらない。


「ほう。これは先ほどまでのようにはいかなそうだな」


 一方、常に油断も隙も無い教皇はとても冷静に、この状況を見ていた。


「あいつの攻撃、能力、魔法に関してはまだまだ未知な部分が多いけど、それでも分かった事はある。ハーリアにも伝えておく」

「うん、おねが……!」


 その時、二人の眼前に教皇が移動していた。それは、アリーチェのような空間操作魔法による転移では無い。純粋な身体能力か、もしくは魔法か。答えはまだ分からないが、とにかく一瞬で危険な状況になった事は間違いない。

 次に教皇は何かをするそぶりを見せる。しかし、アリーチェとハーリアは空間転移ですぐさま距離を取る。


「ふう。悪いけど、これがあるからあいつの情報に関しては戦いながら伝えることになるね。まぁ、そんな余裕があったらの話だけど」

「そんな簡単にいくと思ってなかったから大丈夫。私も自分で得られるものは得る」


 未だ得体の知れない部分の多い教皇と、アリーチェとハーリアの共闘が始まった。


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