「警告」
「…敵!!」
「待つのですナナ!少し様子がおかしいです!!…おいっ!ナナ!!」
「あれまぁーあ」
サルマンの制止を聞かず、ナナは地面から這い出てきたスケルトンおよそ10体を瞬殺してしまった。
「…敵…倒した」
「ナナ…やってしまいましたね」
「どうしてだよサルマン?敵に俺たちの場所がバレてるってことだろ?ならナナが敵を倒そうが別に…」
「馬鹿ね、恐らくはたった今バレたのよ」
「何?!どういうことだヒリエ?!」
「貴方も分からないのラモン?!…バレてるとしたらスケルトン数体で襲ってくるわけ無いでしょう?恐らくは…」
「このスケルトンは元々広範囲に埋まっていたんでしょーねぇ」
「………?」
「どういう意味だよシャロウ?」
「恐らく近くに誰かが来ると動き出すように命令されていたんじゃないでーすかねぇ、バフースを包囲していた量のスケルトンを見れば分かると思いまぁすが…敵さんの死霊術師は腕が立つらしい」
「それで、スケルトンがやられた場所を特定できるようにしていたのではないでしょうか」
「妙な仕掛けもされているみたいでーすしぃ」
一同は粉々に砕かれたスケルトンの亡骸を改めて見る。
すると粉々に砕けたスケルトンのうちの一体…そのスケルトンの頭蓋骨がいきなり動き出す。
「あー、もしもし?聞こえますか〜?」
頭蓋骨の口の部分がカタカタと動き、本来声を出すことの不可能なスケルトンが喋り出したのだ。
「…この声は」
「ああ」
ラモンとヒリエは顔を見合わせる。
「誰だテメェは!!」
「ジャッカル!落ち着きなさい。冷静に考えれば敵の首魁…それか参謀辺りだと分かるでしょう?」
「ああ、そうだなサルマン…ラモンにヒリエ!!お前らはこいつを知ってるみたいだったな!誰だこいつは??」
人の表情の変化を…いや、周囲の状況を読み取る事に長けたジャッカルは2人の変化にいち早く気づいていたようだ。
「ああ、こいつは…」
「リオ・アケチよ!」
軍団長達の表情は険しいものへと変わる。
「こいつが…」
「かの"魔王"の再来ですか…」
「…帝国の敵」
「闇属性魔法…一度この目で見てみたいでーすねぇ」
スケルトンは続けて話す。
「えーっと、君たちが帝国とかいうゴミ国家の首脳陣だよね?」
「テメェ!!!!」
「ジャッカル!!…そういう貴方は亜人などという気持ちの悪い生き物を束ねる、リオ・アダチですよね?」
少しの間を置いて、スケルトンは再び語る。
「…さすが帝国の奴。やっぱり俺は間違ってなかったなぁ、うんうん。…えーっと、兎に角君らの場所は分かったから。包囲してる奴らは無視して手っ取り早く君たちを潰そうかなって。だからもう少ししたらそっち行くから、まあ首を洗って待っとけよ"人間"」
そう言い残すと、スケルトンは再び亡骸へと戻り力を失った。
軍団長達は互いに顔を見合わせて
「…来る」
ナナの指差した先に禍々しいオーラを放つ一団が近づいているのが、その場にいる実力者達には直ぐに分かったのだった。




