「戦奴」
完勝だった。
敵は1万人以上はいたらしいが、戦いの後その数は3千程まで減少していた。
これはかなり多くの人が死んだということである…。
死んでしまった人たち!運がなかったと思って下さい。ごめんなさいでした!
それと…不思議と罪悪感はあまり感じなかった。
ここに来てから色々なことがあったからかな?ハートが強くなった気がする。
そして現在は指揮官のコーカスという男を捕らえ、ジーバ君が魔法で色々と聞き出しているところだ。
なんでもさっきの奴らはコーデシア帝国という国の軍隊だったとか。
彼らはオベロン王国軍がこの森に潜んでいるという情報を受けて、進軍して来たらしい。
てっきり俺が目当てで来たのかと思っていたので、これにはビックリした。
というか俺が目当てじゃなかったのに攻撃してしまって良かったのだろうか。
これってまさかお互いの勘違いによって生まれた戦いなのでは?
…
いや、違うに決まっている。
だって勘違いで1万人以上の人を死なせてしまうなんてあり得ないもん。
うん。違う違う。
…
それで今後のことなんだけど、生き残った3,000人の人たちはどうしようか。
もちろん、俺の部下を傷つけた訳だからタダで返す訳は無いんだけどさ。
装備とかは全部頂くとして…あ、そうそう。装備で思い出したんだけど、ジーバ君とシャーリーが言うには帝国軍の装備は何かおかしいらしい。
あんまり見たことないし、性能も良すぎるとか…。
そういうのは専門的な奴がいないからな、今後の課題だな。ダークドワーフのディグ蔵たちは建築で手一杯だしな…、今度技術開発系の奴を仲間にするか!
利央がそんなことを考えていると
「リオ様!こやつらはどう致しますかな?」
「ああジーバ君!正直なところ困ってるんだよね、どうしようか決められなくて」
流石に無抵抗の相手に何かするのは、いくら俺がクズだからといっても気が引けるんだよね。
「ひとまずは奴隷にでもして働かせますか?そういえばダークドワーフたちもスケルトンには出来ない高度な作業ができる者が欲しいと言っていましたぞ」
「当たり前の様に凄い事言うねジーバ君。奴隷って…あの奴隷だよね?!」
「ええ、ここでは戦争奴隷とでも言えば分かりやすいでしょうな」
奴隷って…プランテーションだかプレイステーションのあれだよね?鞭で叩いて働かせてみたいな。
「シャーリー、どう思う?」
「まあ、戦争に負ければ大抵奴隷になるものよ。いいんじゃないかしら?私も毎日毎日スケルトン作るの疲れてた所なのよ。代わりに彼らに働いてもらいたいわね」
シャーリーまでそんな感じなのか…。
なんかこの人たち俺よりもよっぽど魔王に向いてるんじゃないかね?メンタルも強いし。
「じゃあ…奴隷にでもしますか!!」
「了解ですぞ!」
「指揮官の男はどうするの?」
「どうしようか…はっきり言ってどうでもいいというか」
「一通りの事は喋らせたので、私としても用済みですな」
「それなら私の実験に使っていい?あの男、そこそこの魔力だったから高位のアンデットの媒体になるか実験してみたいの!!」
シャーリーは、普段まったく見せない輝きに満ちた表情をしている。
「いいのではないですかな?私も興味がありますぞ」
「ジーバさんも手伝ってくれない?最近考えた新しい死霊術があって…」
「本当ですか?!私としても死霊術はより極めたいと思っているので、シャーリー殿の新魔術、非常に興味深いですな…」
ああ、もう彼が実験に使われる事は決定してるみたいな感じになってるのね。
最近この2人が凄く仲良しなんだよね。お互い死霊術を使えるっていうのがあるからだと思うんだけどさ…
たまにちょっと怖いのよ!!熱中し過ぎててさ!!
この前なんか2人で動物の死体とブツブツカタカタと話し合ってたんだからね?!
側から見たらかなりやばかったんだから。真面目に心配になったよほんと。
それにシャーリーなんか、今もそうだけど死霊術絡みだと凄い生き生きしてるしさ。クールビューティなイメージが台無しだよね。黙ってたらハリウッドセレブみたいに見えるのに…
「…ちょっと、なんか失礼な事考えてなかった?」
「え?!…いやー、そんな事は無いっすけどねー」
「…それでジーバさん!魂を魔力と融合していた従来のやり方をね…」
シャーリーはギロリと目線を効かせると、すぐさま死霊術談議へと戻っていく。
危ない危ない。これが女の勘ってやつ?
「とにかく!あの男は2人で好きにしていいから!!じゃあ俺はゴブ一郎に用事あるからこれで!!!」
「…ですがそれだと魂が魔力反応に耐えきれなくなってしまいますぞ…」
「…そうね、、、じゃあ死霊術の術式の前に死体に魔力を増幅させる薬を投与してからだと…」
「じゃあ俺もう行くけど」
「…面白いですな、、、死体が魔力増加のポーションに耐えられればですが…」
「…そうね、死体の耐久との兼ね合いも…」
「…」
利央は涙目を浮かべて、無言で去っていったのだった。




