「汚点」
「ラモン団長にヒリエ団長!!友軍とおぼしき魔力反応が数百接近中です!!!」
「第4軍か?コーカスの野郎どれだけ遅れたと思ってやがる!!」
帝国軍第2軍軍団長"破鎚のラモン"は怒りを露わにする。
「待ちなさいラモン…数が少な過ぎるわ」
しかし帝国軍第3軍軍団長"氷結のヒリエ"は至って冷静だ。
「なに?!」
「魔力反応は数百だったのよね?」
「はっ、はい!!観測魔導師はそのように申していました!」
「とにかく様子を見に行きましょう」
「そうだな」
2人は王国軍と対面し、慌ただしくなってきている帝国軍陣地内を行く。
するとデスデモーナ大森林から帝国兵士がボロボロの状態で現れ、今にも倒れそうな様子でこちらに向かってくる。
「どうしたの貴方達?!コーカスは??」
「ヒリエ団長…我ら帝国軍第4軍はデスデモーナ大森林内にて正体不明の武装勢力と交戦…コーカス団長率いる主力部隊の大半が戦死、コーカス団長は敵に捕縛されました…」
兵士は今にも倒れそうな勢いで、力なくそう語った。
ラモンとヒリエは互いに顔を見合わせ、驚きのあまり言葉を失う。
そして次に来た感情は
「コーカスの野郎…まさか栄光ある帝国軍に敗北をもたらすとはな…」
「ええ…元帥に敗北をもたらすとはね。もしコーカスが生きていたとしても、二度と帝国の地は踏ませないわ」
2人には…特にヒリエは怒りを露わにしていた。
「おいヒリエ、コーカスの野郎はひとまず置いておくとして…」
「分かっているわ。帝国に…元帥に歯向かったその武装勢力とやらには、償いをさせないといけないわね」
「ああ…帝国の敗北を知る奴は、この世に生かして置けないな」
「そうね。それに…ねえ、貴方」
「はい?」
ヒリエは大森林から生還した第4軍の兵士に問いかける。
「コーカスは何故大森林へ行ったの?」
「…」
兵士は無言を貫く。
「もう一度聞くわ…何故コーカスは森へ?」
ヒリエの手からは鋭く尖った氷のような物が作り出され、辺りの気温が一気に下がる。
「…っ!こ、コーカス団長は大森林に王国軍が潜んでいるとの情報を受けて、じっ、迅速に対応するべく…」
「元帥からの命令は絶対よ!森に王国軍が居ようが居まいがね」
「あの野郎、抜け駆けして手柄を立てようとしてやがったな」
「…」
「それに…コーカスは誰からそんな情報を?」
「帝国情報局じゃねえのか?」
「…」
ヒリエは再び兵士に問う
「答えなさい」
「…」
「二度目は無いのよ」
「?!…ぎゃぁぁぁあああああ!!!!」
無言を貫いた第4軍の兵士は、腹部を氷のような何かで貫かれた。
ヒリエの目は他の第4軍兵士へと向く。
「ひっ!!…私どもには分かりません!し、しかしっ!団長が全身にボロボロの皮装備を纏った冒険者と接触していたという情報が軍団内にて回っていました!」
「ふーん。"冒険者"ね…」
「それで、どうするんだヒリエ?」
「とにかく元帥に報告ね。それから森に潜む愚か者共に然るべき報いを受けてもらうわ」
「王国軍はどうするんだ?!」
ヒリエは妖艶な表情を浮かべて、ペロッと自分の唇を舐める。
「行くのは私たち2人で充分だと思わない?」
「…!!」
ラモンは一瞬驚くが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべたのだった。




