「惨劇」
目の前で吹き飛ぶ味方の兵士。
吹き飛ばされた兵士の体が別の兵士に直撃して、次々に兵士が吹き飛んでいく。
「ここは地獄か…」
悲痛な叫びがあちこちで叫ばれる中、コーカスは力なくそう呟いた。
今までの戦闘でも敵の魔法攻撃が味方に直撃する場面は何度かあった。
しかし、それでもこのような人知を超えた威力の魔法が次々と炸裂することは無かったと断言できる。
それほどまでに目の前で起きている惨劇は、コーカスにとって衝撃的であった。
これが地獄以外のなんであるというのか。
最新鋭の"魔導"による鎧を装備した兵士たちが意図も簡単に吹き飛ばされていく。
並みの魔法ではほとんどダメージの入らない最新鋭の装備なのだが、敵の魔法攻撃はいとも容易くそれを粉砕する。
帝国軍第4軍は完全に混乱に陥り、瓦解寸前の状態となっていた。
しかしコーカスは指揮官としての役割を果たそうと必死に自分自身を奮い立たせる。
「お前達落ち着け!!防御魔法の使える魔導師の側に避難しろ!!!」
しかし、そんなコーカスに更なる追い討ちをかけるかのように
「団長!周囲から複数の武装した亜人が出現!!我々を攻撃しています!!」
「何?!?!」
「探知魔法によると、その数およそ1万!!先程我々を包囲していた軍勢のようです!」
魔法攻撃による一撃の後に兵士による突撃は定石と言えば定石だが…
魔法攻撃が桁違いの威力だと、こうも有効的な戦術になるとは。
更に敵は土地勘もあるようで、足場の悪い森林地帯だというのに意図も簡単に我々を攻撃してきている。
先程から聞こえてくるのは味方の兵の悲鳴ばかり。
…なんなのだこいつらは。
何故私がこのような目に遭わねばならないのだ?
半分泣き目になっているコーカスは、既に完全に瓦解してしまっている帝国軍を見ながら悲痛な声を漏らした。
「…降伏だ」
「リオ様!どうやら敵が白旗を振っていますな」
「勝ったってことだよね??勝ったんだよね?!」
「そうですな!!」
利央は満面の笑みを浮かべて飛び跳ねる。
「やったぁ!!!完全勝利や〜!!シャーリー!!!!」
どさくさに紛れて全力でシャーリーをハグしようと試みるも
「そうね!!っと!」
簡単に躱され、木に激突してしまう。
「痛ったぁぁぁあ!!!」
「…」
シャーリーの目が冷たい。
「痛いー、痛すぎるー!!…それで、味方の被害は??」
「リオ様!我々の被害ですが、死者数名に負傷者が数百名程で済みました!!」
「え?!そんなやられちゃったの?!?!」
「リオ様、これはかなり少ない被害だと思いますぞ」
そうだよな。誰も死なないなんて事はあり得ないもんな…。
分かってはいたが、悲しいな…部下が死んでしまうのは。
「リオ…」
シャーリーは俺の様子を見てか、俺の肩に優しく手を置いた。
やばい!!
泣いてしまいそうだ。
利央はしばらくの間、俯いたままであった。
やがて…
いつまでも悲しんではいられない。
死んでいった部下の為にも、こんな事を引き起きした…侵略してきた奴らには厳しく対処しないとな!!!
利央は立ち上がり、降伏した人間の軍隊の方へと向かって行く。




