表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/47

第28話 旧リオーネ王国へ。

初めましての方も、またお目にかかりましたね、の方も。

ようこそいらっしゃいました。

本日の更新です。

 私はユージンに声をかけた。


「その呼び方は、変」


 現在、私はエルミナと一緒に目的地へ向かう馬車の中にいる。

 ユージンはというと、何故か軍馬にまたがりつつ併走しているのだ。


 リオーネ領に入って2日目。 私たちは今、総督府のある領都セレスティアへと向かっている。


 

 ――この状況はおかしい。

 

 本来は総督であるユージンこそ馬車に乗るべきなのに、彼はその馬車を護衛している。


 私は馬車へ一緒に乗って欲しいと頼んだのよ。

 なにしろ、総督になったユージンが一番の護衛対象なんだから。


 けれど、それではアリシア様を守れませんとか言って、頑なに譲らなかった。

 

 私たちの警護を担当する兵たちも困り顔だったけど、ユージンの頑固さは騎士団内でも有名みたいで。

 渋々ながら承知した彼らは馬車から少し離れ、それぞれの位置で周りを警戒している。


 

「これから婚約者として私たちは過ごすのよ。帝都でも話したけど、私だけユージンを呼び捨てにするのはおかしいでしょう?」


「それは理解できるのですが……」


「――ねえユージン。リオーネ行きが決まってから私たち、色々な決め事をしたわ」


「その内のひとつが『言葉遣いを婚約者モードに変える』っすよね」


 私の向かいに座るエルミナが補足をする。

 

 

 リオーネを平定する一年間、総督府がユージンと私にとっての拠点となる。

 到着次第、そこで現総督との交代式を行う予定だ。


 そして、総督府が置かれているのは旧リオーネ王国の王宮を改修したもの。

 

 ――前世の私が、暮らしていた場所。

 同時に、ユージンが生まれた場所でもある。



「ですが、アリシア様を呼び捨てにするのは、どうも……」 


「ほらね。帝都での約束も守れないんすよ、この人」


 ユージンの言葉に、エルミナが呆れたように言葉を投げる。


 

 私達を乗せた馬車は、騎馬や歩兵の護衛に守られながら山林を抜け、なだらかな丘陵のふもとへと差し掛かる。

 

 ユージンの頑なさに思わずしびれを切らせた私は、更にユージンへ声を上げる。

 

「私たちの仲が良いって周りに思わせた方が、今後やりやすくなるって話したじゃない。もう」


「わ、分かりました、アリシアさ――。ア、アリシア!」


「絶叫してどうするっすか……」


「ぷっ、……ふふふ」

 

 笑っちゃいけないんだけど、ユージンの必死な態度とエルミナの冷静なツッコミを見て、私は思わず吹き出してしまった。

 

 ◇

 

「そういえば、リオーネに行くのは初めてじゃないのよね?ユージン」


「はい、男爵家に引き取られた後、ラウネル男爵の案内で一度だけ」


 これはまだ帝都にいた時、ユージンから聞いていた話だ。


 ――帝国からの圧政に耐えかねたリオーネの民が反乱を起こし始め、一時総督府が占拠されるほどの劣勢に立たされた時代。

 

 そんな物騒な時に、ラウネル男爵は何故かユージンをこの地に連れてきたというのだ。

 

 その時はこの子の過去を掘り返すのは良くない気がして、それ以上は聞かないようにしていた。


 ――でも、やっぱりユージンのことは何でも知っておきたいじゃない?

 これは単なる好奇心じゃなくて、母心なのよ、うん。


 こうして自分を納得させた私は、ユージンへさらに質問を続ける。

 

「そう。どなたかと良い出会いはあった?」

 

 何気なく問いかけた私の言葉に、彼はふと懐かしそうな表情をする。


「……そうですね。一人、今でも印象に残っている方がいます」


「へ、へえ。それはどんな人なの?」


 ユージンの意外な回答に少しだけ私は戸惑う。

 

「それは――」


 何か言いかけたユージンは、一瞬別の場所へ視線を向けた後、突然他の騎士たちへ指示を出した。


 「十時方向、丘陵の頂に武装集団を確認!総員、警戒態勢を取れ!」



 ユージンの言葉に、それまで私たち一団を覆っていた和やかな空気が、明らかに緊張していくのを感じた。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


続きも読んでみたいと思っていただけましたら、ブックマークや評価、いいねで応援していただけると嬉しいです。


それでは、明日20時30分にお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ