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僕の仲間は60,000,000,000,000(60兆)人もいる。  作者: キヨ
第三章 60,000,001,000,000『人』に達した動員数のライブ
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第二十五話 舞台裏侵入作戦 敵との対峙

「やっと入ってきた……目の前の通路を抜けさえすれば、舞台裏のエリアだ。舞台裏には大勢の人がいて、気づかれずに通り抜けるのは絶対に不可能だ……」

「ご主人様、どうぞご安心ください。ただ普通の人間の分際ではご主人様を止める術がありません。私たちの能力を使えば、舞台裏を突破するのは朝飯前です。拙者と他の細胞の仲間たちは、ご主人様が『月隠の顔』と再会できるまで全力で支援いたします。」

「お心遣いはありがたく受け取っておく。まずは状況を見てからにしよう。やむを得ない場合を除き、他人の前で超能力をみだりに使用してはならない。分かったか?」

「承知いたしました。ご主人様も、いざという時にはできるだけ私たちを頼っていただきたいと願っております。」

「心臓さんの言う通りです! ご主人様を危険にさらすことは、私たちの職務怠慢に等しいのです!」

「もしご主人様に何かあったら、私たちもこの世で生き延びることはできません。ですから、ご主人様、どうぞ遠慮なく私たちの助けを求めてください。」

「ただ舞台裏を通り抜けるだけだ。戦場の最前線を越えるわけじゃない。命が危うくなるようなことにはならないだろ? 繰り返しになるが、相棒たちの気持ちはよくわかった。状況を見て、自分が危険にさらされないように行動するつもりだ。」

「ご主人様、今私たちを……何とお呼びになりましたか?」

「相棒だって?何か問題でもあるのか?」

「ご主人様、もう一度言ってくれませんか~~~さっきは聞き取れなかったんです~~~」

「そうですそうです!私たちも聞き取れませんでした!ご主人様、もう一度言ってください!」

「アンコール!アンコール!アンコール!」


 あのごくありふれた呼び名が、細胞たちのとある妙なスイッチをオンにさせたのか、このちびっ子たちは一斉に、待ち望んでいたかのような熱狂的な口調で、騒々しく僕にその二文字をもう一度言わせようとせがんだ。


 ていうか、彼らは「アンコール」という言葉の使い方を間違えていないか? 僕は「月隠の顔」みたいにコンサートをやってるわけじゃないのに……


「我が相棒たちよ―――! ちょっと静かにしてくれないか? 俺にやらなきゃいけない大事な用事があるんだ……」

「おぉぉ―――!ご主人様が私たちを『相棒』って呼んでくれました―――!バンザイ!」


 聞き間違いでなければ、彼らの歓声は、コンサートで「月隠の顔」に送られる喝采よりもさらに大きかった。


 ただの呼び名に過ぎないのに、そこまで大喜びする必要があるのか? 


 人間なら、他人から認められたり、信頼できる仲間と見なされたりしたとしても、ここまで興奮することはないはずだ……


 それとも、人間も彼らと同じなのか?


 ふと、僕は友情に対する理解度が、このちびっ子たちよりも浅いかもしれないと気づいた。


 何しろ、物心ついた頃から、僕の唯一の「友達」はパルプで作られた様々な紙製品の集合体だけであり、これまでの人型炭素生物との関わりは、敬遠するか、あるいはその場限りの付き合いにとどまっていたのだから。


 もしいつの日か、僕も他の人間から「仲間」や「相棒」と呼ばれることになったら、どんな反応を示すのだろうか? 細胞たちよりも大げさなものになるのだろうか?


「み、皆さん――! ご主人様の、ご主人様の邪魔はしないでくれ、ちゃんと用事があるんだ!」


 心臓は、興奮しすぎた細胞たちを落ち着かせようとしながらも、笑いをこらえているかのような衝動に駆られ、元々は男らしく力強い声に何度も不自然な雑音が混じった。


 よく「笑いをこらえるチャレンジ」といったドッキリ番組を見る視聴者なら、このニヤニヤしつつも笑っていないような奇妙な声にはお馴染みだろう。


 幸い、中枢臓器としての心臓の威厳は損なわれることなく、やがて他の細胞たちを落ち着かせた。


「心臓さん、本当にご苦労様。俺の代わりに、この子供のような生き物たちの面倒まで見てくれるなんて……」

「血液を送ったり、全身の細胞の生命活動を維持したりするよりは、この程度のことは楽なものですよ。では、お時間をこれ以上お取りしません。行動の準備はできていますか?」

「せっかくここまで来たのだから、準備なんていらない。ひたすら突き進めばいいんだ!」

「お気に障るかもしれませんが、ご主人様、どうか覚えておいてください。ご主人様のご命令さえあれば、私たちはいつでもお役に立てます。それでは、ご健闘をお祈りいたします。」


 重々しい足音が開けた通路に響き渡り、一歩踏み出すたびに僕の勇気値はかなりの割合で消耗していく。


 舞台裏に無断で侵入したことでどんな目に遭うか、たとえ現代で最も発達した人工知能をもって計算したとしても、おそらくは人間が無理やりプログラムコードを書き換えるような不正手段を用いない限り、確かな結論を導き出す確率はゼロの壁を突破できないだろう。


 この前、北崎さんの側近たちに案内してもらったのをいいことに舞台裏の下見を済ませ、内部の大まかな構造や人員の配置についてはかなり把握している。


 しかし、それだけでは計画の成功を後押しする決定的な要素とはなり得ない。


 僕の身体こそが、形勢を逆転させ、勝利を決定づける鍵なのだ。


 僕の身体は、僕を断崖絶壁へ突き落とし、すべてを奪い去る元凶となる可能性もある。


 少なくとも、この記念すべきでないごく普通の一瞬に、外界から隔絶されたこの空間で、人生を左右する重大な決断を下すのは賢明ではない。


 せめて英雄的な気概を遺憾なく発揮し、世間の前でカッコよく振る舞える決定的な場面が来る時に決断を下しても遅くはない。



 ――――――――



 だから僕はただ、唾を飲み込みながら必死に平静を保ち、自らの足で戦場へと踏み込んだ――


「お前は何者だ―――!」


 天地を揺るがすような怒号。それが舞台裏に入ってからまだ3秒も経っていない僕に贈られた歓迎の挨拶。


 視界に入るスタッフ全員が手元の仕事に忙殺されていたにもかかわらず、彼らは内部関係者ではない不審者に対して、ベテランの刑事にも勝るとも劣らないほど恐ろしい鋭敏な警戒心を持っている。


 侵入者を識別するために特化されたその数多の眼差しは、あたかもパソコンの「コピー&ペースト」機能で大量生産されたかのようで、例外なく魂を震わせるほどの敵意を放ちながら、一斉に僕の位置に集中していた。


 もしそれらの眼差しが凹面鏡に換われば、今頃僕は炎に焼き尽くされ、灰と化していたに違いない。


「まずいな……入ったばかりなのに見つかってしまった… …これよりひどい出だしってあるか!」


 麻雀用語で例えるなら、他の三人が配牌完了の時点で聴牌しており、親である僕だけは牌がバラバラで、最初の牌を捨てた瞬間にロンされる寸前といった最悪の滑り出しだ。


「まさか不法侵入者がいるなんて!外のドアが壊されたのか?」

「ありえない、それなら警報が鳴っているはずだ!」

「この人がどうやって入ったかはさておき、とにかく早く追い出せ!」


 雑多な議論が飛び交う中、侵入者に対する態度は一致していた。


 配達員のような服装をした数人の男性スタッフが、いち早く侵入者を追い出すという意図を行動に移し、威圧的な態度で僕に迫りながら、口からは怒号が絶え間なく飛び出してきた。


「ここはライブのバックステージだ! 関係者以外立ち入り禁止! 直ちに立ち去れ!でなければ、自己責任となる!」


 僕がその怒号に動じないのを見ると、彼らがさらに厳しい口調で叫び、足早に近づいてきた。


「これが最後の警告だ! 直ちに立ち去れ! でなければ、どんな結末になっても知らんぞ!」


 その言葉が終わるやいなや、数名のスタッフが猛然と駆け寄り、一列に並んで僕の前に立ちはだかり、先へ進む道をほぼ完全に塞いでしまった。


「強引に突入されますか、ご主人様? 拙者と他の細胞たちはすでに準備万端です。」

「待って! 試してみてもいい案があるんだ。もしかしたらうまくいくかもしれない!」

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