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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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アーレスト王の依頼

 バナム大司教との会話を終えた俺は宿を決めたあと、王城へと向かっていた。


『旦那様、王様に会われるので?』


「ああ、一応は親書を持たされているしな。俺は公国の貴族でもあるし、謁見すらしないのは間違っている」


 曲がりなりにも爵位を得たのだ。命令ではなかったけれど、俺は公王に逆らうような真似ができない。言われた通りに行動するだけである。


 衛兵に親書を見せるや、直ぐさまアーレスト王との面会となった。どうやら魔道通話による連絡が入っていたらしく、身分を調べられるようなことはなかった。


 貴賓室で準備を待ち、執事に案内される。実をいうと前世でも一度だけアーレスト王に俺は謁見したことがあった。


 王城にある謁見の間。公国とは明らかに異なる。贅を尽くした煌びやかな部屋の突き当たりに長い階段があり、その向こう側にアーレスト王が威風堂々と鎮座していた。


「クリエス・フォスターとやら、報告は受けている。先に提出してもらった水竜の確認も今し方、終わったところだ」


 アーレスト王は報告書を見ながら言った。

 アクアドラゴンの亡骸は王国が買い取ってくれるとのことで、既に丸ごと引き渡している。


「卿は光と闇のダブルエレメントだと話していたが、どうも亡骸から雷属性の魔素を検出したようだ。それはどういうことなんだ?」


 問われて初めて気付く。そういえばアクアドラゴンはほぼチチクリが討伐したのだ。最後は悪霊二人の魔力波によって首元を切断していた。


 慌てて俺はステータスを覗く。何とか良い弁明ができないだろうかと……。


【属性】光・闇・雷


 どうしてかステータスに雷属性が追加されていた。チチクリは闇と雷の二属性であったけれど、間違いなく俺には反映されていなかったというのに。


『主人様、召喚時以外は私の属性がプラスされるのです。召喚外は主人様の魂に潜んでおりまして、現実には存在しませんから。もちろん、私が持つ固有スキル[変態紳士]も主人様に帰属いたします。これで主人様も変態紳士ですぞ!!』


 えっと……。変態紳士はともかく、この場面では有り難い話なんだろうな。アーレスト王に嘘を言わずとも、それを証明できるのだから。


「実は秘密にしておる属性があるのです。まさか魔素の検知までされると思わなかったので知らせておりませんでした。私はトリプルエレメントでありまして、光と闇の他に特殊エレメントの雷属性を持っております……」


 自然を統べる基礎四大属性に加え、レアエレメントの光と闇。それ以外には氷と雷という特殊エレメントが存在する。けれど、人族でそれらを発現する者は限りなくゼロであった。


「なるほど、ならば納得と言いたいところだが、検査しても構わないか? 卿が話すことを疑うわけではないのだが、キチンとしておかねばならんのでな」


 俺は頷きを返していた。公国のお墨付きとはいえ、俺は身元不明の旅人に他ならない。褒美を与えるにしても、詳しく調べてからになるはずだ。


「承知しました。納得するまで調べてもらって結構です」


 俺が了承すると、巨大な水晶玉が運ばれてきた。冒険者ギルドにあるものとは一線を画す。恐らくはより詳細なステータスが分かる神具であろう。


 指示されるがまま俺は水晶に手をかざし、魔力を流した。自身のステータスにある雷属性が表示されることを祈りつつ。


「で、でました! 彼は本当にトリプルエレメントです! 光と闇だけでなく、雷属性まで所持しています!」


 検査員らしき男が声を張る。俺が話した通りであったのだ。信じられない結果には大きな声を上げるしかなかったらしい。


「ふむ、雷属性とは珍しい。文献によると雷属性を持つ者はいずれも大賢者と呼ばれていた。水竜を倒すほどだ。卿も歴史に名を残す偉人となるのだろうな」


 アーレスト王も納得されたようだ。ステータスの数値化はされていないようだが、それでも俺の素質を目の当たりにできたことだろう。


「クリエス・フォスター、卿は誠の強者である。既にフォントーレス公王より爵位を与えられているそうだが、王国もまた水竜には手を焼いていたのだ。よって卿には充分な褒美を与えよう」


 ようやくと俺に褒美が与えられるらしい。壇上の王様に目録のようなものが手渡され、王様がそれを読み上げていく。


「クリエス・フォスター、水竜討伐の褒美として金貨百枚を授ける」


 非常に端的で間違えようのない内容であった。

 しかしながら、聞いていた内容と異なる。アーレスト王国でも爵位を授かり、報酬は公国の比ではないと考えていたのに。金貨が倍増しただけだなんて期待外れであった。


 しばらくしてアーレスト王が続ける。けれども、追加の報酬というわけではなさそうだ。


「クリエス・フォスターよ、王国は貴殿に更なる褒美を与える準備ができている。だが、王国内の問題を解決してもらわねば、よそ者に異例の待遇を与えるわけにはならんのだ」


 俺は大臣から書面を受け取る。どうやら、それには俺が立てるべき功が記されているようだ。


【地下神殿の調査】


 何やら不穏な感じがする。神殿ならばまだしも、地下であって、その内容は調査だ。問題がなければ調査を依頼するはずもなく、問題があったからこそ強者に委ねているはず。


「地下神殿というと街の中心にある古代遺跡でしょうか?」


「よく知っているじゃないか? 何てことはない古代遺跡だったのだが、最近になって魔物が地上まで漏れ出す事態となっている。兵を送り込んでみたのだが、地下二階には尋常じゃないほどの魔物が生息していたのだ」


 既に入り口は封鎖され、大勢の衛兵によって守護されているらしい。だが、スタンピードの可能性は現在も残っており、王国は手を焼いているのだという。


 少しばかり考える。かといって怖じ気づいたということはない。単純にどれだけレベルアップできるかを俺は考えていたのだから。


「王様、それでしたら私が遺跡に入ります。資料にある通り、地下五階まで踏破すればよろしいですか?」


 俺の返答に、居合わせた者たちが騒ぎ出す。報告によれば二階層は視界を埋め尽くすほどの魔物がいたというのだ。だからこそ、二つ返事で引き受けた俺が信じられないのだろう。


「頼めるか? もしも卿が最下層まで到達し、魔物を殲滅してくれたのなら、所領を与える用意がある。これは王国の危機なのだ。どうかデカルネの美しい街並みを守って欲しい」


 アーレスト王の話に俺はお任せくださいと返している。大量に魔物がいるのであればレベルアップが狙えるし、危なくなったとして使い魔や悪霊の二人が控えているのだから。


 依頼を受け王城をあとにしていく。勝手知ったるデカルネの街を俺は悠々と歩いていた。


『婿殿、安請け合いしおってからに、妾の力を借りるつもりじゃろ?』

『貧の者は黙ってなさい! 旦那様は私の力をご所望なのです!』

『なんじゃと!? 駄肉風情が大口を叩くな!』


「お前たち黙れ! 俺はレベルアップしようと考えている。魔物は俺が出来る限り倒す。お前たちはフォローしてくれたらそれでいい」


 俺は悪霊の二人を一喝する。災禍と呼ばれた二人なら遺跡の踏破はいとも容易いことだろう。しかし、俺には目的があり、それは彼自身が剣を振って魔物を倒すしか成し得なかった。


『主人様、私も召喚されないのでしょうか?』


「チチクリは遺跡に入ってから召喚する。でも、問題が起きるまで手出し不要だぞ?」

『承知しております』


 チチクリは聞き分けが良い。悪霊の二人にも見習って欲しいところだが、彼女たちも俺の命令ならば基本的に言うことを聞く。もう一方の悪霊とそりが合わないだけだ。


 程なく俺は古代遺跡へと到着していた。衛兵に王の書面を見せ、厳重に包囲された壁の中へと入っていく。何の準備もしていなかったけれど、強力な仲間がいる俺は不安など微塵も感じていない。


「さてと、問題は二階層からだったな……」


 入り口から階段を降りた先が一階層である。ここは衛兵でも対処できたエリアであり、仲間の力を借りずとも戦えるはずだ。


 俺は生活魔法である照明魔法を唱えた。魔力に関しては強大な悪霊が憑いているので少しも気にしていない。


『婿殿……』


 俺が剣を抜いたところでイーサが何やら話し出す。重々しい口調はこの先に何か脅威を感じ取ったのかもしれない。


 でも、それは俺が知るはずもない話だ。千年から存在する彼女にしか分からぬ話であった。


『妾はこの場所を知っておる……』



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