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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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討伐報告

 ネブラへと戻った俺は謁見の間へと通されていた。

 当然のこと騒然としている。何しろ俺は水竜退治に向かったのだから。


「クリエスよ、水竜はどうしたのだ? 逃げ戻ってきたように思うが……」


 やはりフォントーレス公王は俺が逃げてきたと考えているらしい。怪我がないどころか、彼は装備に汚れすらないのだからと。


「いえ、討伐しました」


 ざわつく謁見の間。どうにも信じられない話なのだろう。俺は疑いの目を向けられていた。


「言葉では証明などできんぞ?」

「もちろんです。アクアドラゴンの亡骸は持ち帰っておりますから。胴体は流石に取り出せませんので、頭部だけでよろしいですか?」


「何と! そちは水竜の頭部を切り落としたというのか!?」


 困惑する公王を放置して、俺は水竜の頭部を取り出して見せた。

 広々とした謁見の間であったけれど、水竜の頭部を取り出すと流石に狭く感じられている。


 居合わせた者たち全員が息を呑んでいた。

 あり得ない大きさ。綺麗な直線を描く切り口。胴体がどれほど巨大なのか少しですら想像できなかったことだろう。何しろ、コレが動き出すだけで、お尻からアレがこんにちはしてしまうほどの威圧感なのだから。


 公王様ですら口を半開きにして呆然とする中、真っ先に口を開いたのはアナスタシア姫殿下だった。


「流石はワタクシの婚約者です! クリエス様、不束者ですがどうぞよしなに……」


「待て、アナスタシア! 爵位は約束通り授けるが、結婚など許さんぞ!」


 ようやく公王様は正気に戻ったらしい。姫殿下の爆弾発言が気付け薬となったようだ。


「しかしお父様、クリエス様のような猛者を領地もない貴族とするだけで良しとするのですか? 彼は公国にとって非常に有益な存在だと思いますけれど……」


 アナスタシアの話に公王様は眉間にシワを寄せる。

 一代貴族の男爵位を授けたとして、領地もなければ縛り付けるようなものでもない。姫殿下の話は水竜をソロで倒してしまうような俺を他国に取られてはならないという意味合いだろう。


「公王様、私には使命がございます。姫殿下のお申し出はこの身に余る名誉でございますが、私は旅を続けるつもりです」


 話がこじれる前に俺は本心を告げる。南大陸の小国に縛られるつもりはないのだと。

 何しろ俺に眠れる邪眼が訴えている。魔眼が封じられていようと俺には見えるのだ。アナスタシア姫殿下はシルアンナと同等のド貧乳であると。


 俺の返答には笑みを浮かべるフォントーレス公王。空気を読んだ俺の発言に感謝しているかのようだ。


「そうか、ならば仕方がない。ただし、旅の道中も我が公国の貴族であるという自覚と責任を持つようにな。略式であるが、書面を用意するのでしばし待て……」


 アナスタシアが駄々をこねない内に公王様は話を進める。通常であれば議会の承認やら面倒な手続きを踏むのだが、一代貴族であって公国に留まらないのならばと即座に爵位を授けてくれるらしい。


 しばらくして大臣らしき男が戻ってきた。大層な盾と書状を運び込んでいる。


 公王はそれを受け取り、内容を読み上げていく。やはり物流を滞らせていた魔物の排除に対する報酬として、一代貴族という爵位は適当なものなのだろう。諸侯たちの反対はなく、寧ろ拍手が送られていた。


「クリエス、アーレスト王への書簡を併せて授ける。水竜の亡骸はアーレスト王に献上して欲しい。充分な報酬が受け取れるだろう」


 フォントーレス公国はやはり小国であった。報酬は爵位と金貨50枚。二国が放置していた魔物の討伐にしてはささやかなものだ。けれど、公国は水竜の素材を全て返してくれたし、本命の王国で充分な報酬を受け取れとのことだろう。


「クリエス様、今よりも功を重ねていただきたく存じます。ワタクシはずっと待っておりますので……」


 アナスタシアは目に涙を浮かべていた。今や彼女は完全に女難の効果を受けている。ろくな会話もしていないというのに、別れを惜しむだなんてあり得ないのだ。


「クリエス、これより其方はクリエス・フォスターと名乗ることを許可する」


 一代貴族に任命されたことで、俺は名字を得る。ただのクリエスではなく、フォスター卿として生きていくことになった。当然のこと、公国による押しつけがましい名字拝領であったものの、俺としては待ち望んだことでもある。


「フォスター卿、これより其方は我が公国の一員である。所領のない其方はどこにでも自由に行き来できるが、公国に害のない行動を求む」


「承知いたしました。陛下の名を汚さぬよう精進いたします。此度の厚遇には感謝の念を禁じ得ません」


 これにて俺の簡易的な叙勲式が終わる。最後に公王から盾を授かり、俺は正式に貴族となった。


 公国に迷惑をかけない範囲内であれば、俺は自由であるらしい。男爵位を得たといっても中身は何もなく、書類で確認したとして納税の義務もなければ、国内に留まる規約もなかった。


 フォントーレス公王に礼をして、俺は謁見の間を後にしていく。


 次に向かうはアーレスト王国。前世で二十年と過ごした場所に俺は舞い戻る。ディーテ教の司祭ではなく、なぜか公国の男爵として……。


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