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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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初めての戦闘

 旅立つことを決めた俺は決心が揺るがないうちに支度をし、レクリゾン共和国首都ダグリアから北を目指して歩き始めていた。


 街門の守衛に挨拶をし、いざ外の世界へと赴く。


「ダグリアは良い街だったけど、俺には満足できなかったな……」


 間違いなく主神のせいだと思う。主神が板胸であることが、街の女性を押し並べてペチャパイにしているのだと。


 少しばかり気持ちが昂ぶっていた。実をいうと俺は前世を含めても、初めて冒険に出るのだ。安物の長剣に革製の鎧であるけれど、見た目はいっぱしの冒険者だし、もし仮にドラゴンが現れようとも負ける気がしねぇ。


「ステータスはなかなかのものだろ?」


 治癒士として働く傍ら、俺は剣術の稽古やステータスアップのためのトレーニングに取り組んでいた。旅立ちの日を想定し、ソロでも戦える準備を充分にしていたのだ。


【名前】クリエス

【種別】人族

【年齢】16

【ジョブ】クレリック

【属性】光

【レベル】1

【体力】45

【魔力】55

【戦闘】33

【知恵】39

【俊敏】28

【信仰】52

【魅力】40(女性+40)

【幸運】2

【加護】シルアンナの加護

【スキル】

・透視(99)

・剣術(21)

・ライトヒール(100)

・ヒール(88)

・浄化(30)

【付与】

・貧乳の呪い[★☆☆☆☆]

・女難[★☆☆☆☆]


 治療院に勤めていたおかげで、クレリックの基礎魔法であるライトヒールは上位のヒールにまで昇格している。


 各種スキルは熟練度が100に到達すると昇格できるみたいだ。ステータス一覧がなかった前世では絶対に分からないこと。恐らくヒールはまだまだ昇格していく神聖魔法に違いない。


 また同じクレリックの基礎魔法である浄化は毒や呪いを解くための初級魔法。しかしながら、たまにしか使用する機会はなく、熟練度は30とあまり伸びていない。


「しかし、ヒナは大丈夫なのか? 毎日トレーニングに励んでいる俺でさえ、戦闘は33で体力は45しかない。あと一年と三ヶ月くらいだし……。レベルアップにどれだけ効果があるのか分からないけど、十八歳までに200以上とか無理なんじゃないか?」


 俺はヒナを心配している。公爵家のご令嬢となった彼女は自由な時間が少ないはず。その中で課せられた条件を満たせるとは思えない。


「まあでも、俺はヒナに会いに行くって決めたんだ……」


 もしもヒナが十八歳で運命的な死を遂げるのであれば、それまでに会っておきたいと思う。天界で交わした約束を果たすためにも。


 意気込んで出発したというのに、街道には少しも魔物が現れなかった。よって朝から街を出た俺は一日でかなりの距離を進んでいる。


 ところが、夕暮となり、街道が森に差し掛かって直ぐのこと。急に茂みが音を立てた。ようやく魔物が現れたのかもしれない。


「盗賊か魔物。ここは透視を使って……」


 深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。転生前は何の役にも立たないと考えていた透視だが、この人生においてはかなり役立っていた。患者の病状を調べることもできたし、闇夜であっても夜目が利いたのだから。


「透視!」


 早速と茂みの中を透視してみる。そこに何がいるのか。暗がりに潜むものが何であるのかを、俺は判別しようとしていた。


 だが、刹那に息を呑む。魔物であればゴブリン程度だと考えていたというのに、透視により判明したのは予想よりもずっと巨大な影であったことだ。


「ドラ……ゴン……?」


 不気味に浮かび上がるその影は一定の回答を導く。竜種としては小型であったけれど、その姿は明確にドラゴンであり、駆け出しの冒険者にとっては脅威そのものであった。


「マジかよ!?」


 確かに俺はドラゴンでも負ける気がしないと言ったけど、それは調子に乗っただけなんだよ! いきなりドラゴンが現れるなんて、考えるはずもねぇだろうが!


 逃げようと考えた直後、ドラゴンは勢いよく茂みから飛び出す。俺に噛みつこうと大きな口を開いて飛びかかってきた。


 透視を使っていたおかげで何とか躱している。透かさず逃げようとするも、ドラゴンは素早く移動して俺の逃げ道を塞ぐ。


「ちくしょう、速ぇな……」


 図体に似合わぬ素早さであった。間一髪で噛みつき攻撃を回避した俺だが、この様子では逃げ切れるとは思えない。


「戦うっきゃねぇか。女難がもたらすトラブルってやつなのか……?」


 まさか初めての実戦がドラゴンだなんて、先天スキルの女難がトラブルを呼び込んだとしか考えられない。


 逃げようとしても背後から噛みつかれるだけだ。一本道の街道を戻るだけでは逃げ切れるはずもなかった。


「クソッタレ! 俺は支援職だぞ!?」


 覚悟を決め、俺は鉄剣で斬り付けていく。だが、ドラゴンは少しも気にすることなく、俺に体当たりを返していた。


「ぐぁああっっ!」


 一撃が重い。クリーンヒットではなかったというのに、革の鎧は呆気なく破壊され、俺は後方へと飛ばされてしまう。


「ヒール!」


 直ぐさまヒールを唱えて立ち上がる。鎧のおかげで致命傷ではなかったけれど、現状は逃げることも戦うこともままならない感じだ。


 旅立っていきなりの窮地である。こんなところで輪廻へと還るために、俺は転生したわけじゃないというのに。


「透視!」


 再び透視を実行。暗視が可能なスキルであったものの、効果時間は十秒ほどしかなく何度もかける必要があった。


 どう行動すべきかと思考していたところ、


『透視の熟練度が100になりました』


 不意に脳裏へと通知が届く。往々にして通知はステータスやスキルに変化があったときにある。女神の加護であるそれは俺に起きた変化を教えてくれるのだ。


 通知はスキルの熟練度が最大値の100に到達したとの内容だ。シルアンナの加護により状態の変化が知らされている。


 俺は唖然と息を呑んでいた。絶体絶命の窮地。続けられた通知は意味が分からなかったけれど、この変化が戦況を好転させてくれるような気がしている。


『透視は魔眼に昇格しました――――』



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