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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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 北大陸にあるゴハラ砂漠。いつもはオアシスにいる魔王候補ケンタであるが、今日は側近であるインクに連れられ、サンドワーム養殖場へと来ていた。


「ケンタ様、インク様、養殖場へようこそ!」


 研究所員はインクと同じくインキュバス族のキュバスであった。彼は性交研究の第一人者であり、ケンタの性欲を満たすべくサンドワームの養殖を提案した人物である。


「むぅ、サンドワームとやらはどこだ?」


「基本は砂の中ですが、呼べば現れます。完全に飼い慣らしておりますから」


 言ってキュバスはサンドワームを呼ぶ。

 それはもう自信満々に、研究者の誇りとばかりに。


「出でよ、テンガー!!」


 キュバスが名を呼ぶと地震のように大地が揺れ、津波の如く砂地が盛り上がっていく。

 みるみるうちに大木にも似たサンドワームが砂漠へとそびえ立っていた。


「キュバス、なかなか成長したではないか?」


 現れたのはテンガーという名を与えられたサンドワームである。キュバス曰く、その個体はオスなのだという。


「はい、このテンガーとメスのデンマーを掛け合わせて究極のサンドワームを作り出す予定なんです!」


「まだ使えんのか?」


 キュバスの話にインクが眉根を寄せる。

 彼は毎日ケンタに急かされているのだ。かといって、ゴハラ砂漠の近隣にある集落は既に全滅であって、人を攫ってくるのも困難な状況となっていた。


「試されてもいいですけど、何度も使える強度を持っておりません。テンガーはかなり強度があるのですけれど、快楽向きではないのです。ですので快楽特化のデンマーと掛け合わせることで究極のサンドワームが完成する予定ですね」


 キュバスによるとテンガーは強度的に申し分ないものの、快楽を得られないという結論に達したようだ。致命的問題を解決するため、キュバスは快楽特化のデンマーと交配させるつもりらしい。


「現れろ! ナイザー!」


 ここでキュバスは試験的な素体を呼ぶ。ナイザーはどうやら平均的なサンドワームのようで、耐久性も快楽性もイマイチのようだ。

 しかしながら、ナイザーの見た目は先ほどのテンガーと何も変わらない。試験的な素体だと言われなければ、気付くはずもなかった。


「どうです、ケンタ様?」


 巨大なサンドワームの印象についてキュバスが聞く。それはもう自信満々に。


「このような筒状の虫けらに俺様が欲情すると思うか?」


 ケンタは薄い目をしている。龍穴ともまぐわった彼であるけれど、サンドワームの見た目はお気に召さなかったらしい。


「ケンタ様、見た目は確かにアレですけど、構造は求めるものと酷似しています。ケンタ様のアレでも問題ありませんので是非お試しください!」


 気乗りしないケンタだが、ナイザーに近付いていく。するとナイザーは頭を垂れて、服従の姿勢を見せた。


「おお、俺様を主人と認めるのだな?」


 言葉は話さないのだが、ナイザーは頷きを返す。ただのサンドワームにも魔王候補の力量が分かったのだろう。


「しかし、俺様は昨日、我慢できずに金庫とヤッたばかりだからな……」

「ええ、本当にそれは勘弁して欲しかったですね……」


 昨晩は巨大な金庫とまぐわり発散させたケンタは、虫けらに欲情しない感じだ。さりとて、インクとしては少しも理解できない次元の話である。


 このままサンドワーム養殖はお蔵入りになるのかと思われた矢先、事態は急変する。突如としてナイザーが砂地へと戻ったかと思えば、ケンタの股間下から顔を出したのだ。


「むぅ!?」


 下半身は明らかに馬であるが、魔王候補となったケンタの体躯はその辺りにいるケンタウロス族の比ではない。巨大なサンドワームの頭がジャストフィットする奇跡が広大な砂漠に起きていた。


「むむむぅぅぅっ!!」


 突然始まった前戯に思わず目を逸らすインク。一方で研究者たるキュバスは詳細をメモに取る。教え込んだ技をこなすナイザーに目を細めながら。


「ナイザー、頑張れ! ケンタ様にご満足いただくのだ!」


 遂には声援を送る。ここでケンタに気に入ってもらえなければ、この養殖場は放棄されるだろう。今後の研究も全てナイザーにかかっていたのだ。


「ぐおおぉぉっ!?」


 激しく地面が揺れる。魔王候補ケンタの魔力が漏れ出していた。これには地中にいた全てのサンドワームが顔を出してしまう。何事なのかと全員が戦々恐々としているらしい。


 ナイザーの前戯は程なく終わり、彼女はまたも地中へと戻っていく。


「うぬ!? ナイザー、どうしてやめるのだ!」

「落ち着いてください、ケンタ様!」


 激怒するケンタをインクが宥めるも、ケンタの魔力は怒りによって先ほどよりも多く漏れ出してしまう。耐性のないものであれば即死するようなレベルで。


「ケンタ様、全て教え込んだ通りの行動です。少々お待ちいただければよろしいかと」


 慌てふためくインクとは異なり、キュバスは落ち着き払っている。全ては計画通りであるのだと。


 しばらくすると再びナイザーが地面から現れる。けれど、ケンタに背を向けるように進み、遂には全身を露わにした。


 これにはインクも察していたけれど、疑問がないわけではない。


「キュバスよ、前と後ろで違うものなのか?」


 サンドワームは巨大な筒状をしている。インクにとっては前も後ろも同じだとしか思えない。


「インク様、もちろんですよ! 前と後ろは似て非なるもの。背後から迫る方が背徳感も生まれますし」

「いや、見た目は同じじゃないか?」


 力説するキュバスだが、生憎とインクには伝わらない。前のままで済ませておけば楽だったのにと言いたげである。


「何をおっしゃいます!? それは神に対する冒涜でございますよ!? まあ見ててくださいまし。その違いとやらを……」


 既にインクはどうでもよくなっていた。強者だと考え、ケンタに付き従っていた彼であるが、現状のケンタは世界征服どころか毎日アレのことばかり。とんだ貧乏くじを引いたとしか思えない。


「ほら、ケンタ様は分かっていらっしゃる! ナイザーの覚悟を受け取ったようですよ!」

「覚悟なぁ……」


 呆れたような視線で見守るインクだが、考えを改めることになった。

 サカリのついたケンタがナイザーへと馬乗りになっていたのだ。


「おお、反応しておられる!」

「でしょ!? これで世界は安寧を得られます!」


 キュバスは自信を持っていた。これまでのように直ぐには壊れないと。平均的というナイザーであっても、充分な期待ができるはずだと。


「ふはは! ナイザーよ、褒めて使わす! 俺様の全てを受け取れぇぇっ!!」


 言ってケンタはサンドワームとおっぱじめる。昨日は金庫とまぐわった彼は賢者モードを脱し、精力を全開にしていた。


「ナイザー! ナイザー!」


 何を見せられているのだろうとインクは思う。激しく交わる様子は一見すると意味不明なのだが、真相を知るインクはケンタとは対称的に賢者モードへと移行してしまう。


 結果としてナイザーはその生を終えた。しかしながら、キュバスの期待に応え、その使命を最後まで果たしたらしい。


「うおおお! サンドワーム最高だ! サンドワームをもっと寄越せ!」


 どうやら気に入ってもらえたようだ。かといってインクは辟易としている。


「ヒヒヒィィーーーーーン!!」


 砂漠に響く雄叫びに、インクは長い息を吐いた。

 以前から考えていたこと。敢えて避けていた回答が明確になりつつある。


「私は一体何をしているんだ……?」


 溜め息混じりに自問している。

 インキュバス族の元王であったインクはこの現実に落胆していた。


「馬の世話係だなんて――――」




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