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異世界でも私、頑張って幸せになる!~転生少女は世界平和はともかく自分の幸せの為に精一杯なのです~  作者: 高丘楓


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第14話 家、建てたい!土地はあるから家が欲しい

 住む土地の問題は女神たちのおかげで解決したけど、私にはもう一つ解決すべきことがある。

 それは、住居の問題だ。

 なんだかんだで受け入れ方がエグい私でも、ずっとキャンプ生活というのは考え直さないといけないって思う。

 しかし、問題は私が建築に詳しいわけでも無いということ。また、それに付随する技術も持っていないということ。

 そして、釘とか金づちとか、そういった類の工具も無いということだ。


 そういうことを考えていくと、建築関係の人達は凄いと思う。

 特に昔は立派な工具も無かっただろうし。

 じゃあこの環境下で自分にできる家作りとは。


 私はティガと一緒にたき火を囲みながら一人考え込む。


 今日も私はティガと同じテントで寝る。

 嬉しいことではあるんだけど、続くとありがたみも減ってしまいそうだし、何より緊張して熟睡できない。

 でもそんなことを言うと多分ティガのことだから外で寝そうだし、それも嫌だ。


 「なんか悩みか?」

「んー…………、うん。ん?まぁその……、悩み……かな?」

私の表情を見たティガがいつもと変わらない調子で訊いてくる。

「場所の問題はプラナージュ様が解決してくれたけど、どうせならちゃんとした家とか欲しいなぁと思ったりして」

「家か……」

「ごめん。流石に家をポンと出す魔法なんてのは無いし、新しい魔法創るにしても、私も家とか建築に関する知識なんてほとんど無いから、作れたとしてもすぐに壊れちゃうようなものになるかもしれないし……。朝起きたら、屋根の下敷きになって死んでましたってのも嫌だし…………」

「それは確かに……、嫌だな」

私とティガは出口の無い思考に陥っていく。


 ティガにも建築の知識は無いだろう。あったらとっくの昔に小屋ぐらいできていると思う。

 それができないからテントでの生活なのだ。

「それにしても、テントはどうしたの?」

「テントは紐と棒と布さえあればどうにでもなるからな。村を逃げ出すときに、大人が持てるだけの布や革を食料と一緒に持たせてくれた。そのおかげでテントと着る物には困らなかった」


 テントの理由を聞いて、ティガの村に居た大人達は割と緊急時に慣れている感じもした。

 確かに布があれば、テントにも服にもクッションにも布団にも使えるし、ケガの処置だってできる。防寒にだってなる。


 「革は防水も効いて丈夫で貴重だから、テントの外幕に使っていたが、一枚はこの前使えなくなってしまったからな。……ユワには迷惑をかける。俺みたいな体の大きい奴と一緒だと、狭くて窮屈だろ……?」

「う、ううん。そんな。……子ども達と一緒なテントだと、多分ティガ寝れないだろうし、気にしないでいいよ」


 確かにちょっと狭い感じはする。が、別にそれはいい。元々よそ者は私だし、私一人で使うにはちょっと申し訳ないくらいだったから。

 それに、子ども達のテントにティガが行っても、子ども達がティガに寄っていったり寝相が悪くて、ティガがゆっくり休めないのもなんとなく想像出来てしまう。


 あとごめんなさい。

 なんだかんだ理由を言っても、ティガと一緒に居たいだけです。


 「それで考えてみたんだけど……、私、一回獣人の国の人にお願いしに行ってみてもいいかな?一応心当たりはあるし、転移魔法ですぐに行けるから」

「…………大丈夫なのか?」

私の提案にティガは不安げな表情を浮かべて私の顔を見てくる。

「……多分。ダメなら転移魔法でサクッと帰ってくればいいだけだし、この場所がバレることも無いと思う。流石に、あんなことがあった後だから人間の国の方に行くのはちょっと勇気いるし、もし連れてきた人が転移魔法使える人だったらここも危なくなっちゃうから。獣人は魔法は使えないっていう条件があるからまだ安心かな?」

「確かに。だが、俺も一緒に行っていいか?」

たき火の薪を棒で触りながら、ティガは少しだけ弱いトーンで言ってきた。

「いいけど、どうしたの?」


 理由を聞いた瞬間、顔から火が出るかと思った。

 火が出るというか、一気に熱くなって、耳たぶまで赤くなる感覚。


 所謂、恥ずかしいというヤツだ。


 「……消えてしまいそうで、不安なんだ……」


 短く告げられたその言葉。

 いやいやいやいや、勘違いしちゃうよ?今の私、割と恋する乙女モードでどんなセリフでも嬉しく感じちゃうくらいですから。


 「あ、ありがと、ティガ……」

照れて視線を合わせられない自分がいる。

 よく考えたら、前のことをやっぱり彼も不安に思っているのかもしれない。

 私はどうも、人に相談する前に決断して決行しちゃう癖があるし。

 獣人の言葉に流されて色々独断専行しちゃう可能性だってある。そうなると下手したら、『建築のノウハウと技術を習得するまで獣人達と特訓する!』とか言い出しかねない。

 照れながらも自分で想像したことに徐々にテンションダウンし落ち着いていく。


 すみません、勢いだけの人間で。


 「あ、でもここの子達……」

「大丈夫だろう。いつも狩りの時間はチビ達だけだったし、しばらくは森の恵みだけで食事にも困らないだろう」

「それもそっか」

私の不安は割とすぐに解決して、それに安心するとあくびが出始める。

「ユワ、眠いのならもう寝ろ。明日は忙しくなるんだろ?」

「うん……。じゃあティガ、先に寝てるね……。ティガも無理しないでね……」


 少しフラフラになりながらも立ち上がり、眠さで呂律が回りにくくなっているのを感じながらティガに声を掛けて一足先にテントへと入っていく。




 翌朝みんなで朝ご飯を一緒に食べた後、私とティガが不在の際の注意点の説明を皆にしっかりとして、私達は手を繋いで転移した。


 目的座標はコリジアータ平原。その中でも獣人の宿営地のど真ん中。

 ルヴィンさんに会いに。


 一瞬で視界に映る物が変わり、ティガは少しだけ戸惑っているようにも見える。

「よし、無事到着!ということで、ここの責任者の人に……」

「ユワじゃないか。どうした?獣人の力が必要か?」

探そうと思った矢先、私達の存在に気付いて出てきた獣人の将で虎獣人のルヴィン・ティグが声を掛けてくる。

 いやぁ、すぐに目的の人が出てきてくれて助かった。


 「ルヴィンさんお久しぶりです。ちょっとお願いしたいことがありまして……」

私の言葉を聞いたルヴィンさんは楽しそうに笑う。が、私の横に居るティガを見て眉間に皺を寄せる。

「……半端者か……?ユワ、どういうことだ?」


 半端者。多分それは半獣人のことだろう。

「えっと、まぁ色々ありまして……」

「また厄介事に首を突っ込んだのか、ユワ。ゼスの奴の心配が当たったな」

「フォートナム様が?」

ルヴィンさんの話し方を聞く分には、きっとコリジアータ平原の人間と獣人の関係は今もどうにかなっているみたいだ。

「あぁ。アイツもユワのことをずっと心配していたからな。まぁいい。ユワのお願いとやらを聞こうじゃないか」

 言って簡易的な小屋の中へと誘導され、ティガと一緒に席に座らされる。

「というわけで、家を建てたいけど家の作り方が分からないのでどうにかして下さい!ちなみに木は大量にあるけど工具も加工された建材もありません!」

私は粗々の説明をしながら、最終的にズバッと要望を伝える。

「…………いっそ清々しいな」

呆れたような声を出す目の前のルヴィンさんと真横のティガは互いに頭を軽く押さえながら軽く頭を振っている。

 「すみません。俺がもっと色々と知っていれば……」

「いや、お前が謝ることでも無い。状況が状況だ。一人でガキどもを守り続けていたとは、なかなか見込みのある奴じゃねぇか。半端者でも獣人として、その強さは誇っていい」

「……ありがとうございます」

ルヴィンさんに軽く一礼をするティガを見て、なんとなくこの二人が昔から知っている仲のように見えてしまった。伯父と甥というか、なんというか。まぁ気のせいだろうけれど。


 「家のことについても、ユワには力になると約束していたからな。この陣営から建築に強い兵を一緒に送り出してやろう。ついでだ、食料と余っている工具も持たせてやる」

「ありがとうございます!」

私はニコッと笑って深く頭を下げる。

 ルヴィンさん良い人だ。


 「ゼスのところに行かなくてもいいのか?アイツはアイツでお前の力になりたいだろうに」

「えっと……その…………、ちょっと人間側の方には行きにくいかなぁって……。…………あっちの王子に私の存在がバレても嫌なので…………」

ちょっとだけ気まずくなってしどろもどろになりながら言い訳をする私の姿を、どこか不憫そうにルヴィンさんは見てくる。

 私だってゼスさんに会いたいけど、万が一あっちに第三王子の関係者が居ても困る。


 「事情はよくわからないが、次の戦闘でゼスに会ったらお前が元気だったことは伝えておいてやる。ただ、人間の方は最近、少しバタバタしているようにも見えているからな。変わったことが無ければいいが」

「そうなんですか?まぁ私もゼスさん達に何かあるのは嫌なので、何事も無ければいいんですけど……」

どうせ第三王子がらみかなとか思ったりもするんだけど、それを言っちゃうと現実になりそうだから却下で。


 「とりあえず、明日には兵と物資を渡せるように準備しておく。今日はこの宿営地に二人とも泊まっていくといい。ユワが掘り当てた温泉もあるし、ゆっくりしていけるだろう。それに、ティガだったか?その半端者にも興味があるしな」

ルヴィンさんは意味ありげに笑ってティガの顔を見る。

 それを受けたティガは少しだけ眉毛をぴくっと動かして警戒するも、ルヴィンから放たれているのが敵意では無いことを察してすぐに警戒を解く。


 とりあえず私は、自分の恋敵がルヴィンさんにならないことを祈った。

前回投稿から期間が空き、久しぶりの更新となりすみません。


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