何処かズレている一家!
作戦司令室に入ると、老将グラハムが出迎えた。
「ようこそおいで下さった!ワシはこの砦の責任者でグラハムという!」
グラハムとカウスは握手を交わすと、早速作戦会議に入った。
「きて早々に申し訳ないが、これからの作戦について話をしたい。それと─」
グラハムはエリザ姫殿下を睨んだ!
「ひぃっ!?」
小さく悲鳴を上げる。
「エリザ様、救援要請の砦に向かったことは取り敢えずよしとしましょう。しかし!姫殿下が自ら少数で敵陣に突っ込むとは何事ですじゃっ!!!?」
グラハムの大声に畏縮するエリザだった。元々、英雄を見に行くと言う不純な動機だったため、涙目でお叱りを耐えるのであった。
「まぁまぁ、そのぐらいにしてください。もうすぐ帝国は本格的に攻めてくるのです。早く作戦会議を始めましょう」
シオンの兄カストルが仲裁に入った。
「しかし!エリザ姫殿下にはもっと自分の価値を自覚して貰わなければ─」
グラハムの言葉を遮り、再度カストルは言った。
「それは後でしてください!わかっているのですか?西の城塞砦の攻略に失敗した帝国軍は、この中央の城塞砦に兵力を集めるのですよ?」
カストルの言葉にグラハムはようやく、はっとなった。
「なんだと!?」
「帝国軍は西の城塞砦の攻略失敗からこの中央砦に兵力を集中するでしょう。すると約6万もの数になりますよ?」
6万…………正確にはもう少し数は減っているだろうが、そのくらいの兵力が集まると予想できる。カストルの言葉に、ようやく事の重要差を悟りグラハムは主要な幕僚を集め、緊急会議が開かれた。
「しかし、想像以上に厳しいですな………」
ただでさえ3万対2万5千だったのだ。さらに、3万もの援軍が来るとなると落とされるのも時間の問題だろう。
「ユグドラからの援軍はもう来ないのでしょうか?」
1人の幕僚が質問した。
「ないな!」
カウスがそう言うと、カストルがため息を付いて、言葉を足した。
「ユグドラの有力貴族が帝国と手を結んでいたのです。軍にも息の掛かった者がいるみたいで、兵糧に毒など仕込まれる可能性があるため、すぐには動けません」
!?
「なんと!ユグドラ王国にも帝国は手を廻していたのか!?」
これでユグドラの援軍は厳しくなったぞ。
ローズガーデンの幕僚達は必死に打開策を模索した。
「何をそんなに難しい顔をしているのですか?敵陣が戦力を集中してくれたので、倒し易くなったではありませんか?」
グラハムは不思議そうにシオン達を見た。
「そうよね?何をそんなに深刻そうな顔をしているのかしら?」
「バラバラに潰すより楽だよね♪」
そんな事を言う家族に、カストルもそうだよな?と呟いた。
そう!グリーンウッド一家の唯一の常識人と思っていた長男のカストルも、常識知らずの一家の1人なのである!
「バカな!6万もの大軍に、正面から挑んで勝てる訳がない!」
「いや、勝てるだろう?ってか、敵の強さを見て負ける方が難しいぞ?」
カウスの言葉にグリーンウッド一家は頷いた。
「しかし、勝てる見込みが薄いから作戦会議を急いだのではないのか!?」
カストルは首を振った。
「今回の作戦会議は、『誰が』中央に陣取るか?が、問題なんだよ」
「そうよねー?先日はお父様が良いところを持っていって、私達は砦の少数を倒しただけだったんだからね!」
シオンとカストルは父親であるカウスを睨んだ。
「…………すまなかった」
カウスは軽く頭を下げて言った。
「今度はお前達、二人が中央に陣取り、攻め上がれ」
「「おおっ!!!」」
歓声を上げる二人に母が苦言した。
「二人とも、雑魚達とはいえ万が一、同レベルの者が混じっている可能性も考慮しなさい!油断したらダメよ?」
「はいっ!」
「取り敢えず、ジン達30名は二人の護衛に付いてくれ。残りは10名ずつ、左右の私達に付いてこい!」
「「はっ!!!」」
グリーンウッド一家で話が進み、グラハムは口を挟んだ。
「ちょっと待たれよ!本当にその人数だけで攻めるおつもりか?」
グラハムの言は当然であった。しかし、英雄の実力を知っているエリザは許可を出した。
「グリーンウッド家の実力なら問題ない。自由に戦って欲しい!ただ、帝国との戦にユグドラの援軍だけ戦わせるのは体面が立たない。我々も邪魔にならぬよう、すぐ後ろで待機させて頂きたい」
エリザの言葉にグリーンウッド家は頷くのだった。
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