妖精さんからの報告
夕ご飯ぐらいの時刻となった頃に娘一行はご帰宅になった。
いや、ここ別に我が家じゃねえけどな。
1人は、保護者として案内役を依頼したこの背中におぶさっており、もう1人はなんとか歩いてはいるものの瞼を開けてるのもやっとな状態のようだった。
「ありがとな、リーシャちゃん。2人は俺が預かるよ」
「もう少し私に力があれば2人ともおぶってきたんですけどね」
「ヒナも。頑張ったな」
「うん……でも、もう限界」
「そんなとこだろうと思って布団は敷いてあるから、少し横になりな。起きたらシャワー浴びるんだぞ」
「はーい……」
まあ、朝まで寝てそうな気もするが、夕ご飯も抜きだと途中で空腹で目を覚ましそうでもある。
とりあえず、2人並べて寝かせて保護者代表の元へ戻った。
「ありがとな」
「ヒナちゃんも常識を覚えたのか無鉄砲に走り回らなかったので、私としてはそんなに大変ではなかったですよ。お姫様の方はすぐに充電切れになってしまいましたけど」
「まあ、2人とも長旅で元々少し疲れてたんだろうな」
「かもですね」
「リーシャちゃんは今日はこれからどうする?問題ないならここでご飯食べて行くか?」
「お、アルスさんが作ったんですか?」
「ウチの嫁さんが作りました」
「料理できる人捕まえられて本当に良かったですね〜」
「何で不満げなんだよ」
「アルスさんがずるいなぁと」
「いや、これでも紆余曲折あったんだぞ?」
「今幸せそうじゃないですか」
「まあ幸せじゃないならここに家族旅行できて、マスターに見せつけるという所業はしないだろうな」
「……やっぱり親子なんだなあ」
「何が?」
「なんというか……言動が?」
「それは多分、ヒナが俺に似たんじゃなくて、妖精さんのせいだ。ただ、ヒナと俺で異なるところは、ヒナは妖精さんの真似をしてるだけだが、俺はそいつに口で対抗するためにこんなことになってるだけだ」
「元の素養があったのでは?」
「それは否めないな」
こんな素養より魔法の作用があって欲しかったものだ。
そっちがあれば会えば即刻一触即発みたいな会話を繰り広げる必要もなかっただろうに。
……いや、たぶん結局魔法の素養があろうがなかろうがシオンという妖精にあった時点で口が悪くなることは確定していたのかもしれない。嫌な話だ。
「なあ、シオン。俺はヒナが真似しないようにって口酸っぱく言ってるよなあ?」
「……ヒナちゃんは頭のいい子なので、喧嘩を売る相手は弁えてますよ」
「ヒナが誰に喧嘩売るんだよ?」
「私ですね」
本当にこいつ妖精か?
「……まあいいや。リーシャちゃん。今なら、2人のところに行ってきてもいいぞ。俺は妖精さんに話がある」
「妖精さん〆るんですか?」
「そんなところだ」
「少しは否定してくださいな」
否定したところでやること変わらないしな。
リーシャちゃんはウキウキるんるんで奥へと行ったところで、シオンから聴取を始めることにした。
「えーと、なんでしたっけ。頼めばご飯が出てくるんでしたか?」
「何の話だ?」
「取り調べってそういうものかと」
「俺とお前の取り調べで今までそんなのあったか?」
「はいはい。そこは変な争いしてないで。せっかく作ったのにみんな寝ちゃうんだから、先にアルスさんだけでも食べてください。シオンちゃんもいる?なら、ここに一緒に置いておくからね」
セラさんが2人分の食事の用意を置いていってくれました。
一緒に食べようと言おうと思ったが、まあ、子供達が起きてから一緒に食べるのだろう。
「しかし、どこに行ってもセラさんはお料理上手ですね。また見たことない料理ですが」
「マスター俺がいる時こんなの作らなかったじゃねえか。鼻の下伸ばしやがって」
「ヒナちゃんにはデレデレしてましたけどね。まあ、ヒナちゃんでも作れそうな簡単なものを教えてたんでしょう」
「確かに。そもそもあくまでも作れそうなものを教えてもらってたというだけでセラみたいに意欲的に何か作ろうとしてたわけじゃねえしな」
「教わる側の態度の問題ですね」
「……それは遠回しに今までの俺に対して文句を言ってるのか?」
「結構直接的にですが?」
「知らんこと聞けるわけねえだろうが!腐れ妖精が!」
「あーもう!すぐ喧嘩しない!」
「「こいつが悪い」」
「喧嘩するなら食べてから外でやってください。子供達が起きたらどうするんですか」
「甘やかす」
「起きた後の対応を聞いてるんじゃないです。あの子たちも疲れてるんだから余計なことで疲れさせないようにって言ってるんです」
「だとよ、シオン」
「アルスさんも!」
「はい、すいません……」
「まったく……おとなしく食べてください」
「子供達にみっともない姿を見せるなと言う話だぞ。聞いてるかシオン」
「口開けばすぐ喧嘩しそうなので、セラさんの言う通り喋るのは食べてからにしましょう」
「そうするか」




