勇者絶対条件 二章 大切なモノのための盾 二十話「僕のやり方」
こんにちわ、含水茶吹です。
最後まで読んでくれると嬉しいです。
0
浮雲唯という少女に誘拐された小鳥遊華蓮。
しかし、浮雲唯のその行動が彼女の意志ではないことを知り、小鳥遊華蓮はは浮雲唯を操っている『パパ』と呼ばれる人物から逃走を決意し、二人がたどり着いた場所は浮雲唯が死んだ公園だった。
浮雲唯は小鳥遊華蓮と贖罪をすると約束し、『パパ』と対峙することを決意する。
1
小指を解き、三滝兼政ならどうするかと小鳥遊は考えてから、小鳥遊は浮雲に訊いた。
「唯ちゃん、パパって人はここのこと知ってるの?」
それに浮雲は答える。
「知らないと思う。私、ここの子と言ったことないから」
「ならいいんだけど…」
小鳥遊はその答えに不安そうに返事をし、考える。
確か、パパとか言った男は元『再生者による犯罪対策課』の一員だと言っていた。
そして、小鳥遊を見て、『再会』という言葉を使い、元という追加称号の原因に『少年を撃ってしまった』とも言っている。
もしかして、小鳥遊はそう思い、再び浮雲に問い掛ける。
「パパっていう人がお仕事変えた時期っていつぐらい?」
少し浮雲は思い出すような仕草をして、
「三カ月、くらい前かなぁ…」
と、危うい返答をした。
そして、小鳥遊は一つ予想を立てた。
「…もしかして、カネマサを撃ったのって…」
その裏付けは完璧では無い所為で浮雲には予想の内容は伝えることができなかったが、それはほぼ正解なのではないかと考え始めた。
「…そういえば、パパ、ピストル持ってた…」
ぼそっ、としながらも、しっかりと小鳥遊の耳に入るように、小鳥遊の呟いた言葉に浮雲は反応した。
「ピストルって本物?」
その言葉に訊き返すように小鳥遊は反応すると、
「うん。リビングにある棚の上から三番目の引出しにあるって、パパが言ってた」
小鳥遊の目を見つめ、浮雲がきっちりと答えた。
「…んぅー、ヤバいかも」
小鳥遊はその情報に弱音のようなことを口走った。
実際、そんな言葉を言いたくはなかったが、カネマサの為にと、クナイからカネマサのいないときに戦術のようなものを教わっていた所為で、その情報の危険性が何となく実感してしまった。
恐怖心は拭えないが、浮雲のアパートらしき室内での反応を思い出すに、声が聞こえてからその存在の認識、よって、パパと言われる人物は人間という事になる。
同族検知能力が使えない、という事になるが裏を返せば、聴覚や資格の認識がなければ勝機があるという事になる。
だが、そこに二つつ問題があった。
パパと言われる人物が元とは言えど、『再生者による犯罪対策課』二一員だったこと。
相手が大人で自分たちは二人だとしても子供であること。
要するに、経験と知識の差だった。
こう逃げるという行動に出たとなれば、どちらかが銃撃されてもおかしくはない上に、タダでは済まないだろう。
少なくとも見つからず逃げ続ける方法を考え、一時的なゴールを設定する。
それが生存に最も適した方法だった。
クナイからいろいろと教えてもらっていた小鳥遊はそれを理解しており、逃げる経路はともかく、逃げるために守るべき条件と短距離の目標を立てた。
「唯ちゃん、空飛ぶのはもう無しで、できるだけ歩く。そして、とりあえず僕がいつも行くスーパーまで頑張って移動しよう」
その行動内容と方法を纏め、簡単に浮雲に小鳥遊は伝えると、
「わかった、一緒に頑張ろう」
二人はこんな時にもかかわらずその浮雲の言葉の後に笑顔をつくり、歩き出し始めた。
2
歩き始めて三十分が経った頃その時、
「あ、あった」
小鳥遊は第一の目的地であるスーパーを見つけた。
はだしで歩いたせいで、足からは多少の出血を二人はしていたが、それが気にならないほどのうれしさで、入り口まで二人は駆け寄った。
そして、ゆっくりと店内に入り、金寝正にいつも言われていた通りに、二人は通行人の邪魔にならないように端の方へ移動する。
アスファルトと違い、平坦でひんやりとした床に傷口に沁みるように刺激し、二人で少し顔をしかめた。
その痛みはすぐに慣れるもので、小鳥遊は再び、目標と移動手段を考え、浮雲に伝える。
「ここから私のお家に行く。お家に着いたら、電話でカネマサ、えっと、カネマサっているのは、唯ちゃんが言う僕にとってのヒーローみたいな人なんだけど、その人に電話して、待ち合わせ場所を決める。そして、靴を履いてから、その場所に移動する。お家まではさっきと同じようにするんだけど、僕の知ってる人に出来るだけ会いたくないから、会いそうになったら僕に着いて来て、その時は走ったりするから」
三滝との連絡、自分たちの目撃者を抑える、出来るだけ一定区間にとどまらない、靴を得ることによって足えのダメージを減らす、この四つを彼女なりに踏破した方法がそれだった。
実際、彼女の見た目と精神の年齢である十歳ほどの子供がかんがえる手段にしては、異様にち密に組み込まれたものとなっていた。
それはクナイの教えた知識と三滝の異様ともいえる思考を彼女なりに理解し真似ようとした、そのお陰が大きいが、それ以上に小鳥遊華蓮という人物が持つ類い稀な思考能力によるものだった。
その思考能力は、材料と土台さえあれば、おそらく大人など目ではない。
ただ知識と経験の少なさだけの欠陥が彼女を十歳ほどの思考能力に抑え込んでいた。
その抑え込まれらた実力は伸びきれないながらも、並んでいるはずのモノからは外れているほどの実力を小さな体の中で繰り広げられていた。
そしてその小さく大きな力は彼女らしいやり方で形となる。
「あと、もう一つ。ここから先は急いで目的地に着くんじゃなくて、遠回りして、少し時間をかけて行こう」
その追加にはある意図があった。
しかし、その意図は彼女には明かせない。
一種の掛けというのがその理由だったから。
だが、その意図を明かさなくとも、浮雲は、
「わかった。華蓮ちゃん、もう行こう」
なにも疑わずに、頷き答えた。
3
遠回りに遠回りを重ねた二人は夕日が落ち始めた時間まで移動を続けある人物を遠目に見つけた。
パパと呼ばれた男だった。
「…な、なんでパパがいるの!?」
浮雲が小鳥遊に驚きを抑えるような小声で尋ねた。
それにとても冷静に小鳥遊は答えた。
「そりゃ、聞いたか、調べたかしたんだろうね」
「え」
小鳥遊の冷静な反応に浮雲は唖然とした。
しかし、その冷静さを欠かさず小鳥遊は続ける。
「パパっていう人が僕を見て言った言葉とかをヒントに一つの予想を立てたんだけど、それが当たってたってことだよ。それで、その予想っていうのが…」
そこから、パパと呼ばれる人物が三滝を撃った人物だという事、元『再生者による犯罪対策課』の一員であり、そこで少女を連れ去っていた事、三滝を射撃したことにより除名処分という事になった事、銃はおそらく警察から盗んでいた事、それらの予想を話し、おそらく正解しているであろう点を彼女に説明した。
そして、その説明を聞き終わった浮雲は、
「…そっか」
と、ただ達観したような悲しい目でそう短く答えるだけだった
その反応に小鳥遊はどうしようもない気分になったが、小鳥遊は続けた。
「そのパパっている人、やめる寸前に、どうにかして僕の居場所を調べたんだろうね。それでも、今まではその先には『再生者による犯罪対策課』の護衛がついていた、そのせいで手が出せなかった。でも、唯ちゃんがたまたま僕を連れて来た」
それがこの先どういう事になっていたのか、『もしもの世界』を彼女は話さなかったが、『再生者による犯罪対策課』に居たころによく連れてきていたという事は再生者がほとんどだった可能性が高く、少女を痛めつけて殺す趣味があるという事とも踏まえると、その男にとっての『楽しい時間』とは、少女を嬲り殺すことでありその条件に最も合うのが人間の倍ある自然治癒能力のある再生者という事に直結し再生者の情報を詳しく調べようとする、もしくは、その情報から再生者を捕獲するという行動にも納得がいく。
そして、それが事実として確証すれば、対面した時に言われた粘着質を持ったあの言葉と反応もわかる上に、小鳥遊はその中でも『楽しみたかった存在』であることがかなり高いことになる。
「要するに、私を追っていた人間の素性が割れる上に、僕の知り合いとかであの人の行動をよく知る人に連絡もできるから、対処もできやすくなった。そう考えれるよね」
続けるように小鳥遊の言った言葉は、この状況にもかかわらず、正の方向に向いていた。
その彼女の反応にうきぐもは再び、肥わなかったが唖然と聞き返すような素振りをする。
「だって、カネマサはすごい人につながってて、すごい人達も僕の仲間だから」
彼女はそう返し笑顔をつくる。
この理由は少し浮雲には理解できなかったがその心境はなんとなくわかった気がしていた。
だから、素直に「わかった」とだけ返し、次はどうすすればよいのかを目だけで聞いて、答えを待った。
その視線にすぐ小鳥遊は答えるように、
「ここから飛んで僕に家に行く。出来るだけ私の言う方向に素早く従えれば、大丈夫だと思う」
と、答えた。
「あ、なら、板がないと飛べない」
うっかりと言ったような場違いも甚だしい声で浮雲は問題を提起するが、小鳥遊は、すぐ、そこにあったゴミ袋を収容酢する青い万能桶の蓋を取り、
「後で返しに行かないと」
そうつぶやき静かに地面に置いた。
浮雲はその意図を理解し、二人でその桶に軽く片足をつけると、浮雲の能力でその蓋を少しだけ浮かし、二人はその上に乗り、空へと飛び立った。
4
「屋根の上でいいよ」
その小鳥遊の指示通り、目的地である三滝宅の屋根にバケツの蓋に乗った二人は降り立ち、再生者の身体能力を使い、二階のベランダから侵入する。
偶然にも、侵入に試みたベランダの窓の鍵が開いており、すぐに入ることに成功した。
「ただいま」
小鳥遊は入り口はどうであれ、久しぶりの帰宅のあいさつを。
「え、えっと、お、お邪魔します…?」
浮雲は初めての他人の家の招待を受け、初めて使う言葉で挨拶をたどたどしくした。
そして、小鳥遊に連れられるがまま、浮雲たちは明かりの点いていない三滝宅を歩き、一階のリビングにある固定電話の親機にたどり着く。
そして、小鳥遊の唯一、覚えている電話番号に掛け、二回のコールのあと、その発信先である携帯の持ち主が声を出した。
『もしもし、クナイさんですか?』
その答えに小鳥遊は返す。
「違うよ、僕、華蓮。今ちょっと追いかけられてるからあんまり大きな声出さないでお話して」
その返答と指示を聞き、指示を守りつつ、
『…!?華蓮か!?お前どこ行ってたんだよ…!?』
その人物は驚き、小鳥遊に至極真っ当な質問をした。
「いつもクナイと遊んでる公園で待ち合わせしよう。そこで全部話す」
その答えを出すために場所を指定し、
『んー…。あぁ、わかった』
迷いのあるような唸り声をした後、その人物はすぐさま落ち着きを取り戻して、答えた。
「切るね」
そう言い残し、返答をわざと待たずに一方的に通話を切った。
「…ねぇ、誰と電話したの?」
通話が終ったのを見計らい、浮雲は小鳥遊にそう訊いた。
それに小鳥遊は答える。
「私のヒーローだよ」
電話の先にいるそのヒーローに小鳥遊は一つの希望を載せながら、靴を履き、目的地へと駆けだした。
5
走り、走り、出来るだけ時間がかからぬように急ぎ、完全に夜になり人通りがばったりと減った公園に二人はたどり着き、街灯が余り当たらないところのベンチに座る暗闇に紛れ顔まではよく見えない人物を見つけた。
二人はその人の近くまで行こうとしたが、小鳥遊はその人物まであと二メートルほどの距離で気付いた。
「この人、もしかして…」
その呟くような小鳥遊の声に反応し顔を上げたその影はゆっくりと立ち上がり、街灯が当たる正面の場所まで歩き、その姿を明確に照らした。
その影は男で、小鳥遊は少し知っていて、浮雲はよく知っていた顔の人物で在り、出会う人間で現状、最悪な人物だった。
「ほー、そっちからきてくれるなんてねぇ、嬉しいよ」
その男は両手を広げてそう言う。
そして、浮雲はその男に言う。
「パパ、どうしてここにいるの?」
パパと呼ばれる男が彼女たちの前にいるこの事実に戸惑って、ただ問い掛けるように。
「んー、それはなぁ、君たちを連れ帰るためにはどうすればいいか、それを考えるために、小鳥遊華蓮、君がここによく来ているという情報をもとに待ち伏せしつつ考えていたからだよ」
舌を伸ばし自らの口の周りを男は舐め、ニヤリと笑みを浮かべつつ、そう答えた。
そして、一歩、二人に近づこうとした瞬間、
「これ以上は近付かないで」
小鳥遊は睨みつけるような目で、その男をみつつ、浮雲を守るように前に出た。
「いいねぇ、可愛いよ。短い期間で友情が出来たんだ、微笑ましい。それに睨む顔も可愛い。でも、何ができる?」
それでも男はそういいつつ、期初君悪い笑みを崩さず、歩き寄ってくる。
その姿はまさに恐怖そのものだった。
浮雲はその恐怖から、逃げる方法を忘れ、前に立つ小鳥遊に縋りついた。
小鳥遊も恐怖で体中が小刻みし震えていたが、あの時、自分を背負い必死に走ってくれた三滝のことを思い出し、その震えた体を構えさせて言った。
「カネマサが来る。お前なんかすぐ倒しちゃうよ!それまでは僕のやり方でお前の相手をしてやる!」
そして、小鳥遊は再生者の力を振り絞り、一瞬で男の懐に入り、顎に頭突きを食らわせ地面に倒すと、また一瞬で、浮雲の元へと戻り、浮雲には十に書くこの公園内の公衆トイレに隠れるようにと伝え、浮雲がそこに全力疾走で見買うのを見送って、男に視線を向け直した。
男は顎を抑えながら立ち上がり、こちらを睨みつけている。
そりゃそうだよな、小鳥遊はなぜか楽天的な思考でそう思った。
そして、その思考の最中、男はポケットからけん銃のようなものを取り出し、乾いた音をそれから鳴らしたと思えば、薬莢の臭いと拳銃のようなものからの煙が見え、それと同時に腹部の側面を掠るように鋭い痛みが走った。
そして、そこを見ると、服は削られた様に破れ、決して少なくない血が流れていた。
その瞬間、小鳥遊は自分が拳銃に撃たれた事と男の持っているそれが拳銃だという事がはっきりとわかり、痛みが全身に走った。
「―――――――――――――――――――――――――――っ!?――――!!!!!」
小鳥遊はその場に膝をつき蹲り、声にならない悲鳴を上げ、男を見た。
「主人に反抗するとはいい度胸だよ。…いいだろう、外でやるのは初めてだが、遊んでやるよ」
その視線に答えるように男はそういって、引き金に再び手をかけ、小鳥遊の体の一部に狙いを定めた。
その瞬間、痛みに支配される寸前の思考で、自分がこのまま、男に負け、好き放題されたらどうなるのか考えた。
自分が汚れた身になるのはもうすでに予想はついていたが、彼女はそんなことは頭の隅にしかなかった。
カネマサがどんな気持ちで自分を見るのか。
浮雲はどうなるのか。
クナイはどんな気持ちになるのか。
自分じゃないことを考え、一つの結論にいたり、それを実行する。
「へぇ、立つの。痛いのに立つの。…良い子だぁ、ますます遊びたくなるおもちゃだってことがわかってきちゃったよ」
そう、それは再び立ち上がる事。
それを決意した瞬間、痛みは完全に脳から遮断され、ただたちあがる事だけが能を支配した。
そして、立ち上がって、小鳥遊は男を見据えて言う。
「私のやり方で頑張る、そう言ったから、私は兼政が来るまで絶対にお前なんかに負けたりしない」
こんにちわ、含水茶吹です。
今回は長いです。
分けては短い繋げては長いという会だったので繋げました。
今回は小鳥遊が戦うという回でしたがいかがだったでしょうか。
小鳥遊がほかの十歳代の子供より頭がいいのは理由があるのですがまだそこは言えません。
そんな飛び抜けた思考力を持つ彼女が誰かを守るために奔走するという、一章後半の対比です。
普通の思考力は一章、二章では飛び抜けた思考力という対比には少し差を出すのに時間を掛けましたが、結構楽しくかけたと思います。
あと、ちょっと読みにくい点が多々あるのは情報戦という点もあり、地の文の量が膨大になったため、僕の技術が追いつかなくなったという作者側のミスにあります。
許してください、次回はアクションとかそういうのによっているからわかりやすいですよ。
閉めの方なんですが、セリフで終わるって、なんかかっこいいなと思い、そうさせていただきました。
そういうのって、僕はカッコいいと思うんですけど、どうなんですかね。
では、今回はここで〆させていただきます。
また次回お会いしましょう。




