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《雄峰王之逆鱗(マウンティガスケイル)》〜必殺、バカガード〜



「ぐお……お……おおお…………!」



ミルシィ・スターライトの放った《白金剣聖(プラチナブレイド)》は、抱え上げられていたイギル・イーガーにはかすりもせずに、一太刀で《食尽王鼠(イーターラット)》の上半身と下半身を分断させた。

地面に落ちたイギル・イーガーは、うめき声とともにゆっくりと落下していく《食尽王鼠》の姿を視認し手応えを感じる。



「や………やった……ぞ………!」



「……………ふぅ。」



ミルシィ・スターライトも、イギル・イーガーの言葉と同じ感想を持って、小さく安堵の息を吐いた。

周囲の兵士達も、わっと一斉に喜びの声を上げようとする。


だが、希釈されたかの様なか細い時間の流れの中、ミルシィ・スターライトの耳に、『声』が、聞こえた。ーーーーーーーーーー




「…………『ハハッ』。」




ーーーーーーーーーーッ!

ミルシィ・スターライトは瞬時に反応し声の出処に視線を向けるが、あまりにも『遅すぎた』。

前述したように、戦場において僅かな硬直は即座に『死』へと直結する。


『胴体を両断されて生きていられるわけがない』、『例え辛うじて生き残ったとしても反撃など不可能』、その様なかすかな油断が、ミルシィ・スターライトの動きを鈍らせたのだ。



「やっと、隙を、見せたな。」



《食尽王鼠》の冷徹な声と共に、ミルシィ・スターライトは隆起した《食尽王鼠》の拳に、吹き飛ばされた。




ーーーーーーーーーー◯ーーーーーーーーーー




「ガッ…………!?」



ゴキゴキゴキッと骨の砕ける音を立てながら、ミルシィ・スターライトの身体はまるでトラックと正面衝突したかのように数十メートル程吹っ飛ばされ、そのまま地面を数回バウンドしながら転がり、ようやく止まった。

イギル・イーガーは、何が起きたのか理解すら出来ずに、吹き飛ばされたミルシィ・スターライトから拳を放った《食尽王鼠》の方に視線を変えると、そこにはーーーーー




「いやァ、危ない、危うく死ぬところだったよ。ハハッ。」




ーーーーー胴体を両断されたはずの《食尽王鼠》が、『無傷』でその場に立っていた。

イギル・イーガーも、周囲にいた兵士達も、血を流しながら地面に屈伏すミルシィ・スターライト本人ですらも困惑していた。

確かに《食尽王鼠》は、ミルシィ・スターライトのアタックスキル《白金剣聖》によって両断されたはずだった。

なのに何故か《食尽王鼠》は平然とした様子で、ミルシィ・スターライトをニタニタと下卑た笑みを浮かべながら見やっている。



「困惑してるようだねぇ〜、勇者サマ?どうして防御不可能の《白金剣聖》を喰らって、僕がピンピンしてるかってさぁ?ハハッ!」



「う………ぐ…………!」



ミルシィ・スターライトはどうにか起き上がろうとするが、《食尽王鼠》はそれを右手を前に出して制止する。



「やめときなって、僕がチョッピリだけど殺す気で殴ったんだ。

あのタイミングからの僕の一撃を受けて、原型を保ってたってだけでも化け物じみた回避能力だよ、君。」



「………《白金剣聖》は………回避行動も防御行動も許さない絶対攻撃…………何故無傷で………………。」



「アレ?気になる?気になっちゃう?ハハッ!」



ミルシィ・スターライトから思わず口に出た疑問に、《食尽王鼠》はステップを踏むように上機嫌で笑顔を見せた。

その笑顔は一切の爽やかさを感じさせない下品なものだった。



「別に目にも留まらぬ超スピードで『再生』したとか、《白金剣聖》を『防いだ』とか『回避』したとかじゃあないんだよ。

単純に、君の《白金剣聖》の効果を、僕の《異能(スキル)》の効果で、『無かったこと』にしただけなのさ。


君の《白金剣聖》の『先攻の権利』の様にね。」



「………馬鹿なっ!?………ミルシィ姫の《白金剣聖》は最強の『概念級(コンセプトクラス)』!!それを無効化できるスキルなど……………


…………………『まさか』………!?」



ミルシィ・スターライトと《食尽王鼠》の会話に割って入るように、他の兵士の肩を借りてなんとか立ち上がっていたイギル・イーガーは、自身の言葉を言い切る前に、ある『結論』を導き出していた。

悪夢のような『結論』を、導き出していた。


そのイギル・イーガーの表情を横目に、目尻を歪ませた《食尽王鼠》は涎を撒き散らし、周囲すべての人間に聞こえるように叫んだ。




「ぷ………ククク………………!!

そぉぉぉォォぉぉォォォォだよォォぉぉ!!僕も『概念級』スキルを使ったんだよぉぉぉ!やっと気づいたかこのマヌケがぁぁぁぁァァァぁぁぁぁぁッ!!ギャハハハハハははハハハハハははハハッ!!!」




ミルシィ・スターライトを含めた全員の表情が、固まった。




ーーーーーーーーーー◯ーーーーーーーーーー




「『領域王級エリアキングクラス』のスキルが使えるんだぜェェェぇぇぇぇぇぇぇッ!?『もしかしたら『概念級』のスキルも使えるかも』くらい思わなかったのかよダボがよぉぉォォォォ!!!


そ・れ・と・も『魔物が『概念級』なんて希少スキル持ってるはずない』なぁ〜んてタカを括ってたのかァァァぁぁぁぁァァァ?勇者サマよぉぉぉォォぉぉォォォォ!!


甘えーーーンだよォォぉ、バァーーーーカッ!!ギャハハハハハはははハハハハハッ!!」



「ぐ………そん………な………! まさ……………か…………!?」




ーーーーーーーーーーアシストスキル《鈍刀病(ソードペステレンス)

《食尽王鼠》がミルシィ・スターライトに対して発動させた『概念級』スキルである。


その効果はただ一つ、あらゆるアタックスキルを伴う現象を、『無効化し、無かった事』にしてしまうということ。

条件として『一度でもそのアタックスキルを目にしている』、『ある程度対象の体力を消耗させていなければならない』ことがあり、発動条件がかなり厳しく限定されているため、イギル・イーガーの先程放った《巨人之大槌(タイタンハンマー)》の様な、全くの所見の攻撃に対しては全くの無力なスキルであるのだが、こと一度でも目視さえしてしまえば、ミルシィ・スターライトの『神をも斬る』と謳われる《白金剣聖》による必殺の一撃であろうと、その全てを帳消しにしてしまうことが可能なのである。


ミルシィ・スターライトは《食尽王鼠》にたどり着くまでに幾度か《白金剣聖》を使用していたため、《食尽王鼠》の『分裂体』にそのスキルを目の当たりにされており、尚且つ、集団戦の経験値が低いミルシィ・スターライトにとって、仲間を守りながらの侵攻は予想以上に彼女の体から体力を奪っていた。

《食尽王鼠》による仕込みはすでに、ミルシィ・スターライトたちが彼の前に立つまでに完了していたのである。


つまりミルシィ・スターライトは、初めからーーーーーーーーー



「ハハッ!ハハハハハッ!それじゃあさぁ!!先ずはその厄介な右腕から……………」



ーーーーー《食尽王鼠》の策略の上で踊らされていたのだ。



「…………………貰うよォォぉぉォォォォぉぉォォォォッ!!ハッハァァァぁぁぁぁァァァ!!」




《食尽王鼠》は、《猛獣王之筋骨(ライグーンビルドアップ)》の効果で隆起した両脚をギチギチと折り畳みながら力を込めると、一息にミルシィ・スターライトに突っ込んでいった。

目にも留まらぬ速度での攻撃の発動に、身動きの取れないミルシィ・スターライトはぐっと息を飲んだ。

そしてーーーーーーーーー




「あっと、すいません。ちょっとストップストップ。」



「…………うぇッ!?」




ーーーーーーーーーーミルシィ・スターライトの目の前に突如現れた『白い全身鎧の男』の鎧に、《食尽王鼠》は勢いそのままに顔面を強打した。












食尽王鼠(イーターラット)の作成(?)スキル

アタックスキル

猛獣王之雄郡(ライグーンソルジャー)

猛獣王之鋭爪(ライグーンクロー)

ディフェンススキル

雄峰王之迷彩(マウンティガカモフラージュ)

アシストスキル

月輪王之暴食(ルモーナグラトニー)

猛獣王之筋骨(ライグーンビルドアップ)

猛獣王之咆哮(ライグーンシャウト)

鈍刀病(ソードペステレンス)

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