表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/15

第9話

藤原詩織が見たのは、『五』が反手に骨専用ナイフを握りしめ、高橋美咲の首に突きつけたまま、彼女の家から出てきた時のことだった。


狙撃手の赤いドットが、すでに彼女の額を捉えていた。


その一瞬、藤原詩織は叫ぼうとした。


撃つな! 彼女は美咲を殺すつもりはない!


しかし、すでに遅かった。


ナイフの切先が高橋美咲の体に突き刺さる。


狙撃手が引き金を引いた。


弾丸が『五』の眉間に命中した。


十数年間彼女の傍にあった骨専用ナイフが地面に落ちた。


彼女が倒れ、その顔には、どこか安らかな微笑みが浮かんでいた。


藤原詩織は、事態が違うことに気づいた。これは彼女自身が仕組んだ結末だったのだ。


警察官たちがなだれ込んだ。


藤原詩織は、高橋美咲が毛布に包まれ、救急車に運ばれていくのを見た。


彼女の目元は赤くはれ、瞳には涙があった。


恐怖のせいのようでもあり、そうでもないようでもあった。


藤原詩織は呆然と遠くを見つめていた。


二十年ぶりに、テロリスト鈴木浩平グループの最後の一人が射殺された。


しかし、すべての手がかりは断たれ、藤原詩織は最後まで『五』と言葉を交わすことも、事件の来龍去脈を問い質すこともできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ