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第11話 高橋美咲篇-2

今、私は『五』に尋ねた。


「あなたはいつ、私も怜司を殺しに来たのだと気づいたの?」


『五』が淡々と言った。


「あなたがそのメッセージを見て、まったく反応しなかった時から。あなたはおかしいと思った」


「私のような人間は、殺意に対する感覚が、あなたの想像以上に鋭い」


「本当に確信したのは、入ってきて、あの二つのワイングラスを見た時だ」


私は沈黙した。


そう、私は警察で嘘をついた。


嘘というよりも、語り方を少しだけ誤魔化した。畢竟、私のような一般人が警察に嘘をつけば、すぐにバレることがわかっていたから。


私はただ、物語の上でちょっとした目くらましをしただけだ。


どうせ私はアマチュア小説家なのだから。


私は、一条紗耶が私たちが飲んだ後のワインが残るキッチンで麦茶を淹れ、怜司に渡し、それから怜司がソファで眠り込んだ、と話した。


これは事実だ。


しかし実際のところ、怜司を眠らせたのは麦茶ではなく、ワインだった。


私はワイングラスに薬を入れていたのだ。


警察には、基本的に真実を話した。


しかし、一つの段落を隠した。


それは、『五』が河原で遺体を捨てている間に、私が目を覚ましたことだ。


『五』は私が目を開けたのを見て、慌てた様子もなかった。


彼女は歩み寄って言った。「一時間後に、警察を呼べ」


「あなたは?」


彼女は何も言わず、背を向けて遠ざかった。


私は彼女の背中に向かって、ある場所を叫んだ。


「ここが私の家よ。あなた、来てもいいわよ」


今、『五』は私の家のソファに座っている。


彼女は私に、明日香の祖母と一条紗耶との物語を語った。


私は彼女に、明日香と私との物語を語った。


外の遠くで、サイレンの音が響いた。


私たちはどちらも知っていた。これが最後の時だ、と。


警察がこのマンションを包囲していた。


彼らは今にもなだれ込んでくるだろう。


そして『五』は、まったく予想だにしなかった行動に出た。


彼女は私の首を片手で絞め、骨専用ナイフを反手に構え、私の首元にぴたりと突きつけた。


私は怖くはなかった。ただ、少し不思議に思って尋ねた。


「何をするつもり?」


彼女が言った。「紗耶への預け物があるの。届けてくれるかしら。それと、人の肩は痛みが一番少ないわ」


私は突然、理解した。


『五』が私の家に来たのは、隠れるためではなかった。


彼女はとっくに自分の結末を決めていて、逃げるつもりなどさらさらなかったのだ。


彼女が来た理由は、私の容疑を完全に晴らすためだった。


警察は遅かれ早かれ私のところにたどり着く。


私が被害者ではなく、殺人未遂の加害者だと彼らは気づくだろう。


だから『五』は来たのだ。


彼女がやるべき最後の仕事。


それは、私を被害者にすることだった。


彼女は私を引きずり、一歩一歩と外へ出て行った。


陽射しはちょうどよく、空は穏やかだった。


彼女がナイフを掲げ、私の肩に向かって突き立てた。


そこは、痛みの少ない場所だった。

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