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シーン3:【魔王と妖精の共演、完璧なるバックアップ】

私が首を傾げると、リシェラは翠緑の瞳を輝かせ、巨人の背後――黒い太陽から伸びている何十本もの太い光の帯(魔力供給ルート)を指差した。


「巨人が再生する瞬間、炉心と巨人を繋ぐ一番太い『主脈』に魔力が集中するわ! 私がその主脈の波長を完全に解析・同調して、座標を割り出す。……そこに、ゼノヴァルの『空間断裂』を叩き込んで供給を一瞬だけ完全に遮断するの!」


「なるほど。で、私はどうすればいいの?」


「決まってるでしょ! 供給が断たれて巨人が『ただの岩とマグマの塊』になったそのコンマ数秒の間に、あんたのその規格外の暴力で、巨人の顔面コアごと、背後の炉心をぶち抜くのよ!!」


リシェラが、拳を握りしめて力強く叫んだ。


「……ッ、ははははっ!」


私は、その作戦を聞いて、思わず声に出して笑ってしまった。

完璧だ。

私が何も考えずに、ただ目の前の目標を全力で殴り飛ばすことだけを前提とした、私専用の(そして非常に理にかなった)イカれた作戦。


「……面白い。数百年ぶりに、他者と『連携パーティープレイ』というものをしてみるか」


ゼノヴァルも、赤い瞳に獰猛な光を宿して不敵に笑う。

最強の魔王と、古代の妖精、そして悪役令嬢。

誰がどう見ても世界を滅ぼす側のパーティが、世界を救うために息を合わせようとしているのだ。


「ギォォォォォォォンッ!!」


私たちの余裕の態度に激怒したのか、巨人が両腕を組んで突進してきた。

まるで巨大なダンプカーのような、質量による単純にして最悪の押し潰し。


「クローディア、巨人の足を止めろ! 再生(回復)を使わせるんだ!」

ゼノヴァルが叫ぶ。


「任せなさい!」


私は真っ向から突進してくる巨人に対し、逃げるどころか、自らも全速力で突っ込んでいく。


「どすこいッ!!」


『魔力圧縮・金剛壁ダイアモンド・ウォール』。

私は両腕をクロスさせ、全魔力を防御に極振りして、巨人の突進を正面から受け止めた。


ズガァァァァァァァァァンッ!!!!


凄まじい衝撃音と共に、私の足元の石畳が数十メートルに渡って深々と抉れ、私は後方へズリズリと押し込まれる。


「……ぐっ、重いわね、このデカブツ……!」


骨が軋み、筋肉が悲鳴を上げる。

だが、絶対に押し負けない。私は歯を食いしばり、体内の魔力炉を暴走寸前まで回転させて、巨人の前進を完全に停止させた。


「今よ!」


巨人の動きが止まった瞬間、私は防御に回していた魔力をすべて右足に移動させ、巨人の膝の関節に向かって超強烈なローキックを放つ。


バキィィッ!!

「ギギャァァッ!?」


巨人の右足が粉砕され、三十メートルの巨体がバランスを崩して膝をつく。


「リシェラ!!」


「捉えたわ! 座標X-45、Y-12、Z軸マイナス3……主脈に魔力が集中するわ!!」

リシェラが上空から、巨人の背後にある太い光の帯を指差して叫ぶ。


巨人が粉砕された右足を再生しようと、炉心から莫大な魔力を吸い上げ始めた。

その光の帯が、最も強烈に輝いた瞬間。


「『空間断裂ディメンション・カッター』!!」


ゼノヴァルが両手を交差させ、空間そのものを切り裂く漆黒の刃を放った。

リシェラの完璧な座標指示により、漆黒の刃は寸分の狂いもなく、炉心と巨人を繋ぐ『魔力の主脈』をスパンッと切断した。


「ギ、ギィィィ……!?」


魔力の供給を断たれた巨人が、再生を途中で止められ、痙攣するように動きを停止する。

周囲の熱量が急激に下がり、巨人の身体を構成していたマグマが急速に冷えて黒い岩盤へと変わっていく。


「今だ、クローディア! 猶予は一秒もないぞ!!」

ゼノヴァルの絶叫が王城の地下に響き渡る。


「言われなくても、分かってるわよ!!」


私は、膝をついた巨人の顔面コアに向かって、最後の一撃を放つための極限のモーションに入った。

ここで仕留め損ねれば、再び魔力のパスが繋がり、巨人は無限に復活する。

この一撃に、私の持てるすべての力(暴力)を注ぎ込む。

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