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ゲーム世界に転生して最強になった俺、なぜか青春だけ攻略できない  作者: 愛川 唯々
第2章

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第23話:僕の生きる道

毎日、20時に更新します。

 ~影山シュウト視点~


 僕は犯罪組織の仲間になってから、犯罪者として行動するようになった。


 仕事は僕のユニークスキルからすると簡単なものばかりだった。


 取引中の見張り。

 盗む場所の情報収集。

 盗みの時の隠密。


 僕のスキルは思った以上に犯罪に便利だった。


「影山、そっちどうだ?」


「はい、人は来てません!」


「よし、わかった! 信じてるぜ!」


 そんなやり取りだけで嬉しかった。


 学園で組んでいたパーティーでは、あまり聞いたことのない言葉だったからだ。


 最初は警戒されていた。


 当然だろう。

 いきなり仲間にしてくれ、と言ったのだから。


 それでも一緒に行動するうちに、少しずつ距離は縮まっていった。


「影山、メシ食ったか?」


「まだです」


「じゃあ行くぞ」


「え?」


「腹減ってると、頭回らねぇだろ」


 そんな些細なやり取りを積み重ねていった。


 ーー誰かが自分を気にかけてくれる。


 それだけのことが、僕には妙に嬉しかった。


     ◇


 リーダー達のことも少しずつ知った。


 家族の話。

 昔の話。

 どうして犯罪をしているのか、とか。


 全部ではないが、断片的には聞いた。


 仲間達の家族には、エリクサーが必要な重い病気を抱えている人がいるらしい。


 エリクサー、は高い。


 普通の探索者では、一生かけてもお目にかかれないだろう。

 だから金が必要なんだ、とリーダーは言った。


「まぁ、諦められなくてな」


 そう言って笑う。

 無理をしているようにも見える。


 やっていることは犯罪だ。


 それでも、家族を助けたいと思っているその姿は、僕には眩しく見えた。


 仲間が欲しい。


 ただそれだけの僕よりも、ずっと立派に見えた。


 僕は、便利だから仲間にしているだけなのかもしれない。


 それでもよかった。


 僕もこの人達の役に立ちたいと思えた。


     ◇


 日々は過ぎていった。


 荒事になることもあるので、ダンジョン攻略をして強くなることも必要だった。

 攻略階層は伸びたし、レベルも上がった。


 組織の中でも顔を覚えられるようになった。


「影山のおかげだな」


「お前便利すぎるだろ」


「敵より先に敵見つけるなよ」


 笑いながら言われる。


 気付けば、次の仕事の日を楽しみにしている自分がいた。


 もちろんしていることは、犯罪だ


 本当に良くないことだ。


 そんなことくらい分かっている。


 それでも。


 こんな日々が続けばいいと思ってしまっていた。


     ◇


 だから、黒峰が僕の前に現れた時。


 頭が真っ白になった。


 まただ。

 また黒峰だ。


 進級試験の日もそうだった。


 僕が必死にしがみついていたものを、黒峰は簡単に壊していった。


 そして今も。


 やっと見つけた居場所をまた奪おうとしている!


「僕は仲間と楽しくやってんだよ! お前が邪魔すんなよ!」


 気付けば叫んでいた。


 譲れなかった。


 ここだけは失いたくなかったからだ。


     ◇


 そして。


 全部終わった。


 黒峰は強すぎた、僕では勝負にもならなかった。


 僕の努力も。

 僕の仲間も。


 全部なくなったと思った。


 床に転がりながら思う、終わったんだな、と。


 学園にも居場所はなかったのに、今の場所も壊された。


 僕は、どこへ、行けばいいんだ。


 そう思っていると、

「余計な奴を連れてきやがって!」

「使えるかと思って入れてやったのによぉ、恩を仇で返しやがって!」

 ボスの怒鳴り声が響く。

 そして、

「お前なんか入れなきゃ良かった!」


 口が開けなかった。


 開いたところで、なんと言えばいいか分からなかったが、視界も滲んでいった。


 やっぱり。


 利用されていただけだった。


 僕は、


 ーー仲間、じゃなかった。


 この居場所を守りたいと思ったのに。

 ここは僕の居場所じゃなかった。


 そんな事実に打ちのめされていたらーー


「そんなこと言わないでくださいよ!」


 そんな言葉に思わず顔を上げる。


 リーダーだった。


「影山がいたから、俺たちはここまで来れたんですよ!」


「影山がいなかったら、とっくに捕まってました!」


「お、おれもそう思います!」


「影山がいなかったら、俺は前に捕まってたしなぁ」


 リーダーの言葉で、メンバーからも声が上がる。


 頭が追い付かなかった。


 なんで。


 僕のせいなのに。


「影山は、俺たちの仲間だろ!」


 その言葉で胸の奥の何かが崩れた。


 僕は、確かに居場所を手に入れてたんだ、と気づけた


     ◇


 本当の仲間が出来た今ならわかる。


 黒峰は最初から僕を見下していなかった。


 僕が勝手に比べて。

 勝手に嫉妬して。

 勝手に敵だと思っていただけだったんだ。


 それなのに。

 最後は止めてくれた。


 犯罪者になった僕を見捨てなかったんだ。


 仲間と同じで、対等に見てくれてたんだ。


     ◇


 連行されながらも空を見上げる。


 これから裁かれる。


 罪は消えない。

 やったことは消えない。

 簡単には許さることはないだろう。


 それでも。


 前だけは向けていた。


 もし黒峰が来なかったら。

 もし捕まらなかったら。


 僕はずっと進めていなかった気がする。


 仲間のためにと言いながら、自分で自分を都合のいい道具として見てた気がする。


 だから今度があるなら、ちゃんとやり直したい。


 罪を償って、仲間の隣で胸を張れるようになっていたい。


 そして。


 もう一度みんなで会いに行くんだ。


 黒峰に。


 その時は自慢しよう。


 ここが僕の居場所なんだ、と。



読んでいただきありがとうございます。


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