第23話:僕の生きる道
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~影山シュウト視点~
僕は犯罪組織の仲間になってから、犯罪者として行動するようになった。
仕事は僕のユニークスキルからすると簡単なものばかりだった。
取引中の見張り。
盗む場所の情報収集。
盗みの時の隠密。
僕のスキルは思った以上に犯罪に便利だった。
「影山、そっちどうだ?」
「はい、人は来てません!」
「よし、わかった! 信じてるぜ!」
そんなやり取りだけで嬉しかった。
学園で組んでいたパーティーでは、あまり聞いたことのない言葉だったからだ。
最初は警戒されていた。
当然だろう。
いきなり仲間にしてくれ、と言ったのだから。
それでも一緒に行動するうちに、少しずつ距離は縮まっていった。
「影山、メシ食ったか?」
「まだです」
「じゃあ行くぞ」
「え?」
「腹減ってると、頭回らねぇだろ」
そんな些細なやり取りを積み重ねていった。
ーー誰かが自分を気にかけてくれる。
それだけのことが、僕には妙に嬉しかった。
◇
リーダー達のことも少しずつ知った。
家族の話。
昔の話。
どうして犯罪をしているのか、とか。
全部ではないが、断片的には聞いた。
仲間達の家族には、エリクサーが必要な重い病気を抱えている人がいるらしい。
エリクサー、は高い。
普通の探索者では、一生かけてもお目にかかれないだろう。
だから金が必要なんだ、とリーダーは言った。
「まぁ、諦められなくてな」
そう言って笑う。
無理をしているようにも見える。
やっていることは犯罪だ。
それでも、家族を助けたいと思っているその姿は、僕には眩しく見えた。
仲間が欲しい。
ただそれだけの僕よりも、ずっと立派に見えた。
僕は、便利だから仲間にしているだけなのかもしれない。
それでもよかった。
僕もこの人達の役に立ちたいと思えた。
◇
日々は過ぎていった。
荒事になることもあるので、ダンジョン攻略をして強くなることも必要だった。
攻略階層は伸びたし、レベルも上がった。
組織の中でも顔を覚えられるようになった。
「影山のおかげだな」
「お前便利すぎるだろ」
「敵より先に敵見つけるなよ」
笑いながら言われる。
気付けば、次の仕事の日を楽しみにしている自分がいた。
もちろんしていることは、犯罪だ
本当に良くないことだ。
そんなことくらい分かっている。
それでも。
こんな日々が続けばいいと思ってしまっていた。
◇
だから、黒峰が僕の前に現れた時。
頭が真っ白になった。
まただ。
また黒峰だ。
進級試験の日もそうだった。
僕が必死にしがみついていたものを、黒峰は簡単に壊していった。
そして今も。
やっと見つけた居場所をまた奪おうとしている!
「僕は仲間と楽しくやってんだよ! お前が邪魔すんなよ!」
気付けば叫んでいた。
譲れなかった。
ここだけは失いたくなかったからだ。
◇
そして。
全部終わった。
黒峰は強すぎた、僕では勝負にもならなかった。
僕の努力も。
僕の仲間も。
全部なくなったと思った。
床に転がりながら思う、終わったんだな、と。
学園にも居場所はなかったのに、今の場所も壊された。
僕は、どこへ、行けばいいんだ。
そう思っていると、
「余計な奴を連れてきやがって!」
「使えるかと思って入れてやったのによぉ、恩を仇で返しやがって!」
ボスの怒鳴り声が響く。
そして、
「お前なんか入れなきゃ良かった!」
口が開けなかった。
開いたところで、なんと言えばいいか分からなかったが、視界も滲んでいった。
やっぱり。
利用されていただけだった。
僕は、
ーー仲間、じゃなかった。
この居場所を守りたいと思ったのに。
ここは僕の居場所じゃなかった。
そんな事実に打ちのめされていたらーー
「そんなこと言わないでくださいよ!」
そんな言葉に思わず顔を上げる。
リーダーだった。
「影山がいたから、俺たちはここまで来れたんですよ!」
「影山がいなかったら、とっくに捕まってました!」
「お、おれもそう思います!」
「影山がいなかったら、俺は前に捕まってたしなぁ」
リーダーの言葉で、メンバーからも声が上がる。
頭が追い付かなかった。
なんで。
僕のせいなのに。
「影山は、俺たちの仲間だろ!」
その言葉で胸の奥の何かが崩れた。
僕は、確かに居場所を手に入れてたんだ、と気づけた
◇
本当の仲間が出来た今ならわかる。
黒峰は最初から僕を見下していなかった。
僕が勝手に比べて。
勝手に嫉妬して。
勝手に敵だと思っていただけだったんだ。
それなのに。
最後は止めてくれた。
犯罪者になった僕を見捨てなかったんだ。
仲間と同じで、対等に見てくれてたんだ。
◇
連行されながらも空を見上げる。
これから裁かれる。
罪は消えない。
やったことは消えない。
簡単には許さることはないだろう。
それでも。
前だけは向けていた。
もし黒峰が来なかったら。
もし捕まらなかったら。
僕はずっと進めていなかった気がする。
仲間のためにと言いながら、自分で自分を都合のいい道具として見てた気がする。
だから今度があるなら、ちゃんとやり直したい。
罪を償って、仲間の隣で胸を張れるようになっていたい。
そして。
もう一度みんなで会いに行くんだ。
黒峰に。
その時は自慢しよう。
ここが僕の居場所なんだ、と。
読んでいただきありがとうございます。
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