第18話:俺がきた!
20時に更新します。
夜。
人気のない工業地帯。
俺たちは目的地から数百メートルほど離れた建物の屋上にいた。
目の前には巨大な倉庫。
大型トラックも何台か停まっている。
周囲には見張りもいた。
そして。
俺の追跡アイテムは、ずっとあそこを示している。
どうやら俺の情報に問題はなかったようだ。
「……まさか、本当に君の情報が正確だったとは」
支部長が双眼鏡を覗きながら一人ごちる。
「ええ、だから言ったでしょう?」
俺は頷く。
すると支部長は難しい顔になった。
まぁ、信じられないよなぁ。
俺だって深層のアイテムを実際に見てなかったら信じてない。
ホント便利なんだよなぁ、アイテム。
結構、用途は多岐にわたるし、その中でも深層のアイテムは破格だ。
なお。
青春には全く役に立たなってない模様。
解せぬ。
今のところエリクサーは便利だけど、お金がたくさん入ったジェラルミンケースでビンタしているようなもんだしな。
その後、簡単に作戦を説明した。
とはいえ、難しいことはない。
俺が先に突入する。
協会側は外にいて離れながら、ゆるーく包囲。
俺が魔法で合図する。
協会側は包囲を狭めながら、逃げた奴を捕まえる。
それだけだ。
なお。
支部長は最後まで反対していた。
そりゃ、高校生が犯罪組織にカチコミするなら止めるよな。
でも、俺の方が強いしなぁ。
ダンジョンが世界の中心だから、若くても強い奴は出てくる。
こればっかりは、しょうがない。
というか。
元々は一人で来る予定だったからなぁ。
むしろ逃げた奴を捕まえるのに、協力してくれてるだけありがたい。
前回みたいに取り逃がしたくないし。
正直言えば、ただそれだけをやってくれればいいのだ。
「じゃあ、合図したらお願いしますね」
俺がそう言うと、支部長がこちらを見た。
「それで、合図とはどんな合図なのだ?」
「爆発です」
そう説明した。
大きめの魔法を一発。
それを見たら追い込み漁の開始。
逃げた奴を捕まえる。
単純明快だ。
支部長達は何とも言えない顔をしていた。
なんか、こいつ力技ばかりだなって顔してる。
俺だって毎回力技じゃないですよ?
……あれ。
結構してる気がするな。
病院では天使を出したし。
試験では相手を全員吹っ飛ばしたし。
最近なんか、エリクサーでごり押ししている。
「…………」
俺って思ったより脳筋?
いやいや。
違う違う、今までは微妙だけど今回は違う。
これは合理的判断だ。
相手は犯罪者。
今回は犯罪者を捕まえるための最適解を出したのだ。
だから。
逃げる前に倒す。
完璧だな。
…多分。
……きっと。
………おそらく。
…………大丈夫ですよね?
少しだけ不安になる。
だが。
ここまで来て帰る選択肢はない。
俺は倉庫へ視線を向けた。
影山。
あいつも、あの中にいるのだろう。
「……ったく」
思わず呟く。
犯罪者になるなら。
もっとそれっぽい奴がなれよ。
なんでお前なんだ。
不良キャラとかいただろ。
それも嫌だけど、あっちがなるなら納得できるのに。
ゲームでは黒峰と同じように、モブっぽかったくせに。
そんなところで個性出すなよ。
もっとこう。
普通にゲーム通りモブキャラやっててくれよ。
なんでよりにもよって、犯罪者ルートを開拓したんだよ。
そんなことを考えながら。
俺は屋上の縁へ立った。
距離は500メートルないくらい。
問題ない。
「じゃあ、行ってきます!」
支部長から静止したような声がした。
……聞こえなかったことにする。
どうせ、もう止まる気はないし。
俺は少し強めに地面を蹴る。
次の瞬間。
景色が一気に流れた。
風が頬を叩く。
倉庫がみるみる近付いていた。
見張りが何か叫んでいた。
遅い。
今回は、隠密なんてしゃらくさいことはしない。
協会の支援?を受けている公式な作戦だからな。
だったら。
派手に行こう。
俺は拳を握る。
そして。
倉庫の巨大な鉄扉へ向かって――思いっきり振り抜いた。
(あ、請求とかどうなるんだろう!?)
そんなことを思ってしまいながら、扉をフッ飛ばして倉庫の中へと入った。
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