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ゲーム世界に転生して最強になった俺、なぜか青春だけ攻略できない  作者: 愛川 唯々
第1章

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11/25

第10話:そりゃ見返りは欲しい

20時に更新します。

 翌朝。


 家に帰ってきてから、装備を脱いで風呂に入った後。


 まだ寝る気も起きずグダグダとしていたら、朝になっていた。


 テレビをつけると。


『昨夜未明、魔石化病専門病院にて”奇跡”が起きました!』


 こんな風にどこのニュース番組でも、朝から大騒ぎしていた。


『患者全員の魔石化の症状が完全消失』

『上空では天使が降臨した現象も確認され―――』


 専門家っぽい人達が、真剣な顔で議論している。


『神話級アイテムの可能性が―――』

『未知のダンジョン現象では』

『国家規模で調査を―――』


「いやぁ」


 俺は牛乳を飲みながら、ニュースを眺めていた。


「上手くいったな」


 完璧である。


 神代に直接渡してない。

 正体も隠してる。

 でも神代妹は助かった。

 そして患者全員が治った。


 どこもかしこも、完全に今回の件は“奇跡”扱いだ。


 エリクサーを使っての治療だったとしたら、トータルで”兆”くらいの金額になるかもしれない。


 そんなことを誰にも何も言わずに、行うなんて奴はいないだろう。


 だったら、天使も居たし奇跡、ってことにしちゃおうぜってことだよね。


 ここまでしたら、俺に対して誰も好感度が上がることはないだろう。


 いやー、よかったよかった。


「………」


 ふと。

 胸の奥が、少しだけチクリとする。


「……誰も俺って気付かないんだよなぁ」


 いや、当たり前なのだが。


 むしろ気付かれたら、困る。


 困るんだけども。


「………まぁ、いいんだけどよ」


 でも。

 ほんの少しくらい。

 ちょっとくらいは。


 ――俺がやったって、褒められたいなぁ。


「……いや、何考えてんだ俺は!」


 流石に自分で自分に引いた!


 だって、俺自身が誰にもバレないように色々と仕組んだんだぞ!?


 それなのにちょっとはバレて褒められたい、とか!


 自己矛盾の塊かよ!?

 承認欲求お化けなのか!?


 ……いやでも、人間だし。


 多少は、そんな考えも仕方ないとは思っているけども。


 でもなぁ。


「……いやいや、自分で決めたことだし! これで満足だ! よし、やることやったし今日はもう朝から寝ちゃおう!」


 嗚呼、めんどくさい。


 我ながら本当に面倒臭い!


 でも。


「……はぁ」


 誰か褒めてくんないかなぁ。


    ◇


 夢を見ていた。


 大きい病室。


 老若男女、沢山の人がベッドに横たわっている。

 皆、身体のどこかが魔石化していた。


 そんな状況で。

 何故か、神代やクラスメイト達が、俺の行動を見守っていた。


 そして寝ている患者達に向かって俺は、エリクサーを振りかけていく。


 エリクサーのおかげで患者は見る見るうちに治っていった。


 神代含めてそれを見ていた人達は、割れんばかりの大声で俺を称賛していた。


 口々に、

「凄い!」

「流石!」

「ありがとう!」

 と、言っている。


 そんな称賛を受けた()()()()()()姿()()()()()はこんな事を宣っている。


『やれやれ、俺は目立ちたくないのになぁ……』


 そんな事を言いつつも、とても幸せそうな顔をしていた。


 ――そこで俺の夢は覚めた。


「……最悪だ……」


 前世も含めて俺史上最悪の夢を見てしまった。


 幸せ、ではあったかもしれない。


 みんなが“黒峰ユウマ”じゃなく、

 ――“俺自身”を称賛してくれる。


 それは。


 自分が今本当に望んでいることかもしれない。


 だから。


 今との落差がひどくて死にたくなる。


 いや、もしかしたら。


 今回の魔石化病の件も。


 エリクサーを公然と使っていたら、あれくらいの光景は実現していたかもしれない。


 ただ。


 あんな。


 俺の顔がエリクサーにでも見えてるような人達と仲良くしようとは思えない。


 結局、俺ではなくエリクサーが凄いんでしょ?

 ってやつだ。


 というか。


「いや、マジできっつぅ!? 何が、目立ちたくない、だよ!? バリバリ目立とうとしとるやんけ!? うわぁ、恥ずかしいわぁ……」


 自分の夢で悶死しそうだった。


 前世の年齢分、併せて20歳にもなる奴が見ていい夢じゃないだろ!?


「……ううぅー、あー、ダメだ! 頭冷やすか」


 俺は火照った頭を冷ますべく、冷水のシャワーを浴びようと風呂場に向かった。


 時間を見ると、周回の疲れで1日近く眠っていたようだった。


 シャワーを浴びたら、また暇になるしまた学園に行ってみよう。


     ◇


 朝。


 またみんなに嫌な顔されながらも、学園に登校してきて教室の前まできた。


 本当に夢との落差がひどい。


 ……我、英雄ぞ?


 流石に、ここまで嫌われていると、自分の行動を自慢して回りたい欲が出てきてしまう。


 いや、しないけどな。


 単純にダサいし。

 好感度も上がりそうだ。


 そんな風に思って、教室の扉を開く。


 すると。


「………?」


 何故か俺の席に神代が座っていた。


 え、なんで?


 何がどうなってるの?


 え、もしかして、これって!?


(――“好感度”の仕業か! マジか、結構頑張ったのに、やっぱりゲームシステムには叶わないのかなぁ……いや、それとも、オメェの席ないから! ってこと!? それはそれで何で!?)


 俺はあまりの急展開に心臓が止まるほどの衝撃を受けた。


 ゲームシステムからは逃げられない。


 そんな考えが頭を過ぎる。


 どれだけこちらが頭を捻ろうと、結局ゲームシステムの手のひらの上なのか。


 そんな絶望的なことまで考えてしまう。


 それとも。


 神代への件で何か恨まれている可能性もある。


 どちらにせよ、最悪の結果しかないだろう。


 とりあえず、こういった時は落ち着かなければ。


 ホームルームが始まるギリギリまでトイレで時間をつぶしていれば、教室に戻る時には自分の席に戻っているはず。


 前世の知識を活かして、トイレに向かう。


 ……こんな前世知識の活かし方は嫌だなぁ。


読んでいただきありがとうございます。


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