【第二章 登場人物紹介】
【主人公陣営(セレスティーヌ軍)】
■セレスティーヌ・フォン・ランカスター(セレス)
十八歳。「銀光」の二つ名を持つ剣の達人。
ランカスター公爵家の令嬢にして聖騎士団団長。圧倒的な武勇と美貌から「戦女神」と称えられていたが、その実態は戦術を知らぬまま英雄視されていた少女だった。
王都陥落の敗北を経て己の未熟さを認め、カイルの指導のもと真の指揮官として成長を始める。現在は八千を超える混成軍「セレスティーヌ軍」の総大将として、仲間を守る覚悟を胸に戦場へ立つ。
■カイル・フォン・ヴァルデン
二十九歳。代々軍略家を輩出してきた名門ヴァルデン男爵家当主。
セレスティーヌ軍の軍師。
かつて王国軍で活躍した戦術家だが、上層部との対立から軍を追われ、領地で農政に力を注いでいた。
冷静かつ合理的な軍略家であり、セレスの才能を見抜き再起へ導く。
■ミリア・ルヴェール
二十八歳。セレスティーヌ軍幹部。
代々下級騎士の家系に生まれ、努力だけで現在の地位まで上り詰めた実力者。厳格だが面倒見が良い。
かつて横暴な貴族から部下を守った際、セレスに見出され副官となった。
カイルとは士官学校時代に恋人であった。
■エミール・リンドバーグ
十八歳。カイルの甥であり、セレスの副官。
年齢に似合わぬ腕前を持つ双剣の使い手で、素直で真面目な性格だが、遠慮のない物言いをすることも多く、時にはセレスやカイルに辛辣な言葉を向けることも。
■フェリックス・フォン・ダミアン
二十九歳。セレスティーヌ軍幹部。
ダミアン男爵家の次男にして紅蓮騎士団団長。カイル、ミリアの士官学校時代の学友。長斧槍の使い手。
豪快で陽気、女性好きで軽口を叩くが、軍事的才能は本物。騎馬槍部隊による突破戦を得意とし、率いる紅蓮騎士団は高い突撃力を誇る。
■ルナ
エレフィン族シルヴァ氏族族長イルーシアの娘。
セレスに救われたことをきっかけに外界への強い興味と戦意を抱き、聖騎士団に同行することを選んだ。弓術の才能を持ち、エレフィン長弓部隊を率いる。
■ルーク・バーナード
セレスティーヌ軍幹部としてアルクリーズ兵四千を率いる大隊長。
規律を重んじる実直な軍人で、メイルドック辺境伯の信頼も厚い。
生真面目でセレスティーヌ軍の常識人。
■バスール・ドゥルガ(旧名:バス・ドゥ)
ドゥルガニア出身。元王国軍勲功記録騎士隊隊長。
人を欺き、潜入し、敵の内側から崩すことを得意とする工作の専門家。ベスティア領奪還戦後、カイルにその才能を買われ、セレスティーヌ軍の密偵組織を率いることとなった。
【ローゼンベルク王国関係者】
■アルベルト・フォン・メイルドック
六十代半ば。メイルドック辺境伯。王国西部を守る歴戦の宿将。アルクリーズ城を拠点とし、一万以上の兵力を有する。
現実主義者でありながら、若き将たちの才能を正しく評価する柔軟さを持つ。セレスとカイルに深い信頼を寄せている。
■アドリアン・ローゼンベルク
ローゼンベルク王国王太子。
王都陥落後、王国第二の都市ルミナリアで臨時政府を率いる。
優雅な振る舞いと巧みな弁舌で人心を惹きつける一方、強い名誉欲と支配欲を秘める。セレスを第二王妃として迎え、自らは「解放王」として歴史に名を刻むことを夢見ている。
■シャルル・フォン・ロシュフォール
王国有数の大貴族であるロシュフォール侯爵。
王国第二の都市ルミナリアを治め、王都陥落後は臨時政府の実権を握る。
政略と権力闘争に長けた老獪な政治家。ランカスター公爵家と対立しており、王太子を巧みに利用しながら王国中枢の権益を狙う。
■ライネル・フォン・ベルガー
王国の子爵で将軍の一人。ロシュフォール侯爵配下の宿将で、カイルの元上官。
実直で規律を重んじる武人。軍規を巡ってカイルと対立し、彼が軍を去る原因となった。しかしその実力は高く評価しており、戦場では功績を公平に認める度量も備えている。
■ギルベルト・フォン・マーロンド
マーロンド伯爵家当主。
かつて王立士官学校で教鞭を執り、カイル、ミリア、フェリックスらを育てた恩師。
政治的派閥争いを嫌う実直な人格者で、王国屈指の戦術家でもある。
アルテール平原では質の低い混成軍を任されながらも、防御戦術によって帝国軍を食い止める。
■ウルリッヒ・フォン・エーベルバッハ
エーベルバッハ子爵家当主。
眉尻の下がった困り顔から「やる気のない将軍」と揶揄されることも多いが、実際は無駄な損害を嫌う堅実な用兵で知られ、兵からの信頼は厚い。
アルテール平原の戦いでは王国軍最右翼を担い、帝国の猛将ザイデンの猛攻を粘り強く耐え抜いた末、ドルクハルト敗北の報を機に反攻へ転じ、ベルクマン軍を退却へと追い込む決定打となった。
■リカルド・フォン・キース
キース伯爵家当主。
約一万二千の兵を率いる王国軍有力諸侯の一人。
王太子アドリアン派に属する伯爵で、理想よりも現実と結果を重んじる実務家。戦場でも政治でも慎重な判断を好み、独断専行するカイルには厳しい視線を向けている。
■フェルナン・フォン・ユリウス
王国の子爵で将軍の一人。
ミラージュ侯爵の配下の軍人。
■ランカスター公爵
セレスの父であり、王国有数の大貴族。娘を英雄として祭り上げることで政治的価値を高めようとしていた節があり、戦場に立つ本当の意味を教えなかった人物でもある。
王都陥落後、消息不明となる。
■フィリップ・ローゼンベルク
古い歴史を持つローゼンベルク王国の君主。
セレスを聖騎士団長に任命した人物。
王都陥落後、消息不明となる。
【グランゼイド帝国】
■エルム・クロウ(エレノア・クロムウェル)
元は王国軍の聖騎士団副団長。
士官学校ではカイル、ミリア、フェリックスの先輩にあたり、温厚で面倒見の良い女性だった。しかし王国の陰謀によって左手と片目を失い、祖国に見捨てられた末に帝国へ亡命。
現在は帝国軍士官として王都急襲作戦やバルガ砦攻略を立案。アルテール平原では自らセレス暗殺を試みるが失敗。マクシミリアンに命を救われ、撤退を命じた。
■マクシミリアン・フォン・カシュタイン
カシュタイン子爵家嫡男。
帝国陸軍士官学校を首席で卒業した若き天才軍人。
神速の機動戦を得意とし、『疾風のマクシミリアン』の異名を持つ。
林道の戦いでカイルの策とセレスの武勇に敗北した後、エルム・クロウの部隊へ配属される。
当初は彼女を疑っていたが、バルガ砦攻略を経て実力を認め、現在では強い信頼を寄せている。
■エルンスト・フォン・ベルクマン
グランゼイド帝国第二騎士団団長。
帝国屈指の宿将。戦場全体を俯瞰する優れた判断力と豊富な実戦経験を持ち、冷静沈着な指揮で数々の戦場を勝利へ導いてきた名将。
アルテール平原の戦い初日では、混乱するザイデン第三騎士団を即座に援護し、帝国軍の総崩れを防いだ。豪放な武人というよりは、堅実さと経験で戦場を支配する老練な将軍。
■ドルクハルト・イェーガー
グランゼイド帝国 第二騎士団所属。
『鉄砕』の異名を持つ帝国屈指の猛将。身の丈ほどもある巨大な大剣を自在に操る豪傑であり、ベルクマン将軍の腹心として最前線に立つ。
戦術よりも純粋な武勇を信条とし、「目の前の敵をすべて叩き潰す」ことを何よりの喜びとする武人。
■ブルーノ・ザイデン
グランゼイド帝国第三騎士団団長。
猛将として知られる帝国屈指の武人。豪胆かつ攻撃的な指揮を得意とし、亡命者を激しく嫌悪している。
アルテール平原では王国軍右翼を圧倒し半包囲を仕掛けるが、フェリックス率いる紅蓮騎士団の奇襲によって作戦を崩され、大きな損害を被った
■シュナイゼル
グランゼイド帝国第三騎士団副団長。
ザイデン将軍の腹心。包囲部隊四千を率いて王国軍右翼へ迂回を試みるが、フェリックス率いる紅蓮騎士団の奇襲とルーク隊の追撃によって潰走し、本隊まで混乱へ巻き込む失態を演じた。
■バスク・ダグラー
グランゼイド帝国第五騎士団団長。
アルテール平原の戦いに参戦した。
■ギジェ・フォン・シューマッハ
シューマッハ伯爵家当主。
アルテール平原の戦いで帝国軍左翼を担った将軍の一人。
■ヨアヒム・ケストリッツ
グランゼイド帝国第六騎士団団長。
アルテール平原の戦いに参戦した。
■ヴィルヘルム三世
グランゼイド帝国皇帝。
冷徹かつ野心的な支配者。帝国の拡張を着実に進めている。
■ディートハルト
グランゼイド帝国軍第一騎士団団長。
武人気質で知られる帝国随一の名将。
エルム・クロウと共にウィンドル平原の戦いでセレスティーヌ率いる聖騎士団を破り、王都ローゼリア陥落を成し遂げた。
【その他勢力】
■イルーシア
エレフィン・シルヴァ氏族族長。
誇り高く厳格な指導者。娘ルナの命を救ったセレスとカイルに深い信頼を寄せ、族の戦力を王国へ提供する決断を下す。
五十名の長弓部隊を聖騎士団へ派遣し、実質的な同盟関係を結んだ。
【歴史上の人物】
■ヒルデガルド・フォン・シーデルランド
百年前に王国を救った伝説の英雄。
一介の騎士から伯爵へと成り上がった。
表向きは「聖女将軍」として語られているが、実際は冷徹な策略家でもあった。
セレスの憧れの存在だった。
■戦女神エイリーン
大陸で広く信仰される戦の女神。
ヒルデガルドはその生まれ変わりと伝承されている。




