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act.41 閑話お悩みモニカちゃん③

 ヴィクトリアに相談したいことは、ずばりイグナールとの関係性についてである。今日会ったばかりの彼女にこんな重要なことを相談してもいいものだろうか。いや、今日会って数日後には別れることが分かっているからこそいいのだ。


「ねぇ、ヴィクトリア……えっと……」


 とは言っても、どう切り出したものだろうか。単純に恋愛相談としてでは欲する答えを得ることはできないだろう。なぜなら彼女には同年代の友人がいない。つまり、同年代の男性との恋愛経験はないと予測ができるからだ。


 それにヴィクトリアの性格――今日見ただけの第一印象――なら、思いをぶつけてしまえ、当たって砕けろ、押し倒してしまえと言われてお終いかもしれない。モニカが求めているのは彼女のその妖艶さ、男女ともに魅了する魅力の秘密である。


 勇者ディルクと魔界に行けなかったイグナールの当面の目標は単純に強くなること。だからこそ己に宿った力の解明に現在奔走している。モニカのアピールが躱されたのは、そればかりに夢中で色恋などにかまけている暇はないと考えているのだろうと予測していた。


 だが、イグナールがヴィクトリアを見る視線は、ちゃんと年相応の男子そのものだった。このことから、モニカとしては業腹であるが、きっと自分自身に色気が足りないだけなのではと考えが至る。


 だからといって不躾に、何を食べたらそんな体になれるの? とか、何をしたらそんな色気が出せるようになるの? などとはさすがに聞けない。


「先程からなんじゃモニカ。遠慮せず言いたいことがあれば好きに言えばよいぞ?」


 先程……それだ!


 彼女の下着姿に目を奪われ、当初にあった目的を見失っていた。


「ヴィクトリアの魔法で土の壁を作ってくれない? そして、よかったら一緒に水浴びをしましょう?」


 裸の付き合い。少しばかり彼女よりも貧相な体を見せるのは恥ずかしいが、これがヴィクトリアの魅力に近づくには最も手っ取り早い方法かもしれない。


 ヴィクトリアはこの提案を快諾してくれた。そうして土塊の小屋から出ると、木にもたれ掛かり眠るイグナールが見える。彼のことだ、覗きなどという不貞を働くとは考えられない。それにヴィクトリアの生み出したゴーレムのおかげで、久々にゆっくり眠れているのだ。そっとしておいてやろう。


 火の番をしているマキナに事情を説明し、緊急事態やイグナールが起きて二人を探すようであれば伝えてくれと頼んだ。


 外へ出るというのに、まったく気にせず下着姿で堂々とイグナールの前を横切るヴィクトリア。眠っているとはいえ、モニカにそんな真似はできない。よほど自分に自信があるのか、はたまたイグナールのことなど意に介していないのか……


 そんなヴィクトリアを見ながら、手ごろな木の棒に油を染み込ませた布を巻いて松明を作るモニカ。そしてイグナールとマキナがいる仮拠点から少し離れたところで、程よく開けた場所を見つけた。


 そこでヴィクトリアが三方を土の壁で区切っただけの簡単な浴室を作ってくれる。丁寧に松明を設置できる場所も設けてくれている。あんな小屋でさえ作ってしまう彼女からすると朝飯前であろう。土属性魔法は主に魔力を流し込んだ土を操る魔法が多い。


 その気になれば、炎魔法や水魔法のように自ら生み出すこともできるのかもしれないが、広い湖や海上でないのであればそんな必要はない。主流な用途としては畑仕事や土塊の人形、ゴーレムの作成である。


 旅人であるモニカには畑を作る必要はないし、ゴーレムの作成と操作に関しては魔石の魔力では心もとないうえに、センスや魔力量以上に作成の経験値がものを言う。なのでモニカも知識としては知っているだけの代物だった。


 しかし、ヴィクトリアが見せたような旅での生活を豊かにする使い方があるのならば、少し学んでみてもいいかもしれない。さすがにあんな小屋を作ってしまうのは無理だろうが……


「『我に眠りし力よ、我が意思に従え』『揺蕩う水よ、形を成し顕現せよ』」


 モニカは簡易浴室の中に巨大な水弾を作り出す。ヴィクトリアに呼びかけた水浴びとはこのことだ。


「ほう、モニカは水属性の魔法使いだったのか」


 感心したような口ぶりでモニカの作り出した水弾を眺めるヴィクトリア。


「それでは世話になろうかのう。見つけた川が小さかったからのう。今日は諦めとったよ」


 ヴィクトリアは着けているビスチェとパンツを外し、森の中で全裸となった。壁の上部に取り付けた松明の灯りに照らされた彼女の裸体は、素直に美しいと感じた。ドレスや下着で装飾された彼女も綺麗だったが、一糸纏わぬ姿も絵になる。


 モニカは書物で読んだ知識しかないが、美しく長命だという森の守り手、ヴィクトリアがエルフだと言われても頷いてしまいそうだ。


「さぁ、何をしておる。せっかくじゃ、裸の付き合いといこうではないか」


 そんなヴィクトリアの裸体を見た後に裸を晒すのはとても恥ずかしいが、言い出しっぺはモニカなので逃げ出すわけにはいかない。モニカは意を決して衣服を脱ぎ始める。

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