表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/155

99話 ACT19-29

「まさか?」


 バトルモードを解いて二人の状況を確認しようとするシキ。


「そのまさかだよ。貴様にとって自身の変化を試す為の時間の使い方でも、俺様にとってはさらなる臣下を生み出す儀式の時間でしかなかったのだ。サラに少し想定外の動きをされ困ったものだが、今まさに二人の臣下の誕生の瞬間となったわけだ。さあ小童よ、俺様と貴様、どちらのイデオロギーを世界が求めているのか再び二人の俺様の臣下を交えて語り尽くそうではないか、もはや貴様に猶予などはなくなってくるぞ、ぬはははは」


 両手を広げ大空に向かって叫ぶガインの下に、【ボディイン】から解放されたリンカ、倒れていたサラが戻る。


 リンカは【ボディイン】の呪縛から解放される事なく、プレイヤーとしての立場は消滅し、その姿は帰化プレイヤーへの変化を遂げた姿になっていた。格好は変わらずグレーのノースリーブに大きめな襟、薄い紫のミニプリーツスカート、黒と紺が交互に入った線のニーソ、グレーのショートブーツを履いていたが、黒かったロングヘアーは真紅の深みが入った赤髪になり、ややつり目の瞳の奥は澄んだ緑でエメラルドのようだった。


 サラも帰化プレイヤーの洗脳状態にまた戻ってしまっているようだ。エルフ種族を連想するような淡い黒のアームフォーマー、ニーソブーツ、スカートを履いていて、上半身は無地の白で体のラインがしっかり分かるノースリーブの姿に、髪の色はそれがまるで剣であれば覗き込んだ時に光が反射する鏡のように鮮明な銀色で、体の色は透き通るような白い肌から褐色の肌色になり、瞳はリンカの髪の色のように真紅の深みが入って赤い。


「貴様の余裕がどこまでこの状況にて通じるか楽しみよのう。さてこの状況をどう楽しもうか?」


 かつての仲間であるマリア一人との戦いでさえ苦戦していたシキを数の優位性でさらに追い込む事への愉悦か、先ほどまでの苛立ちがすっかり収まったガインは声高らかにシキに問いかける。


 だがシキは味方を全員洗脳されようと、一人で多数と戦わなければいけない状況であれど、決して狼狽えない。


「変わらないさ、セリカだけじゃなくて、マリアだって救えたんだ。タイミングが悪くなければサラだって救えたはずだ」


 どれだけ仲間を洗脳されようとも、シキには彼女達の気持ちに寄り添って救ってきた結果がある。シキの自信に満ちた態度に、ふん、っと鼻で笑うガイン。


「では、せっかくなのでリンカ、お前がまずは相手してやれ」


 リンカは今起きている状態をちゃんと理解できていないのか、ややぼーっとした表情をしながら暗黒騎士の仮面をかぶっているガインが指差すシキをガインの顔から指へと流れて見る。


「わかったわ。彼が私達の敵なのね」

「そうだ」


 リンカとガインのやりとりをみてシキは思う。どうやらリンカはサラと同じ状況に陥ってるようだ。自分の意思で帰化プレイヤーになる事を受け入れていない、いや、そもそもマリアも全面的に受け入れていたわけではないだろうが。


 最後の最後まで拒否しつづけたプレイヤーが帰化プレイヤーになる場合は、その反動で記憶を失うようだ。リンカの反応を見る限り明らかにシキをシキとして認識していない。


 そんな仮説を頭に過ぎらせていたシキの元にリンカは両手に小剣を出現させて迫り来る。


「【攻撃力上昇(オフェンシブアップ)】、【集中(コンセントレーション)】」


 パッシブスキルでリンカのステータスを高めて攻撃を仕掛けてくる。ここまで常套手段だ。両手剣を×切りにしてシキへを挟み撃ちかけてくるリンカにシキは両腕の籠手で防ぐ。


「リンカ、お前はなんの為に戦うんだ」


 反撃を仕掛けてくる事もなく、いきなり問うてくる敵に違和感を感じるリンカはすかさず、籠手で防御された両手小剣を元に戻し再び攻撃を繰り返す。


「【クアドラプルスラッシュ】」


 【ダブルスラッシュ】は一回剣で斬り込んだ波動を同時に二つ発動させるスキルだ。さらに四重を示す【クアドラプルスラッシュ】は両手剣で斬り下ろす事によって、そこから二つづつ発動される斬り込んだ波動が四つとなる。リンカは籠手との衝突タイミングで弾いた両手の小剣をその反動で大きく振りかぶり、シキに迫り来る。


「【マジックアロー】」


 さすがに目の前で発動された四つの斬り込んだ波動を、通常攻撃や通常防御で対応するにはHPが大きく削られると判断したシキは、一番MP消費量が少なく大きいダメージを与えられる【マジックアロー】を拳に纏い【クアドラプルスラッシュ】に打つける。


「!!」


 リンカは、【クラドラプルスラッシュ】を【マジックアロー】を覆った拳で殴られたその瞬間に危険を察知した。


 その衝撃たるや閃光のように【クラドラプルスラッシュ】をすべて弾きとばしリンカ目掛けて突き抜けるが、リンカはその場でギリギリ交わす。光線のように放たれた【マジックアロー】は大地を削り込みながらその先へと向かっていった。


次回も月曜日19時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ