70話 ACT18-4
「【エクスプロージョンバックキル】」
シキとガインの最大出力のスキル発動後に、最大カウンター攻撃として発動された、確率で一撃必殺の起こす敵の背後に瞬間移動して攻撃する【バックキル】、爆発を仕込ませたダガーで相手に大ダメージを与える【エクスプロージョンダガー】の二つを組み合わされた特殊な最大スキル。その最大暗殺スキルの発動を、無情にも、リンカは、気を抜いた状態で背後から、自身がその攻撃を受けることになり、シキは、その悲惨な光景を目の当たりにすることになった。
「リンカーーー!!」
シキの叫び声と同時に起きた爆発によって、シキの声は、その体と共に、吹き飛ばされることになる。
シキの背中に押されるように一緒に吹き飛ばされるサラ。そんなサラへの気遣いの余裕すらなく、シキは吹き飛ばされた後にすぐ立ち上がり、爆発の後の煙にまみれたリンカの場所へと急いで向かう。
煙の後の向こうにある場所にリンカは倒れている。
シキは、AH世界を完全に理解しているわけではない。VBCヘッドセットを使ったアバター創出キッドから、そのアバターだけで行くことができるデジタル仮想世界。人々が進化の先に求めたリアルな人体ステータスを大幅に超えた動き、魔法等のスキルセットは、より現実感のあるアバターに付随されるからこそ、人々に興奮をもたらせた。そんな環境であったはずだった。
その思想から始まった世界は、いつの間にか帰化プレイヤーと呼ばれる、プレイヤーと相反する存在と、その帰化プレイヤーに与えられる特殊ジョブやステータスやスキル発動によって、差別化がされていった。まるで帰化プレイヤーがプレイヤーの進化であるように。
そこに対抗するように、シキを始めとする、特殊なスキル発動を持ち合わせる事が可能となったプレイヤー達。当初、特殊なスキル発動は、帰化プレイヤーの"それ"とは違い、全くの新しいスキルというよりは、既存のスキル同士のスキルの融合、組み合わせにより生み出された。
それにより、特殊なスキル発動、と言う言葉を使う。
また、シキだけかと思われた特殊なスキル発動の所有者達は、マリア、リンカと増えていった。
この特殊なスキル発動も、もはや、帰化プレイヤーの特殊スキルと同等レベルの特異性を持ち、また唯一性を持っている事を、そのスキルを持っている本人達は、根拠を持たずと認識している。
つまり、シキの【ファイアーマジックアロー】【ファイアーフロストマジックアロー】【アイスマジックシールド】にしろ、リンカの【パリィスラスト】【パリィスラストスラッシュ】は、そのプレイヤーが持つ、唯一性の特殊な発動スキルとなる。
そう、【エクスプロージョンバックキル】を発動できる唯一性を持つプレイヤーが、マリアであると現時点では言い切ってしまえるように。
マリア?なぜ?リンカを?
今だ、状況を完全に整理できない状況だが、今はとにかく、リンカの傍に行き、安否を確認したい。すかさずリンカに駆け寄るシキ。
「大丈夫か?リンカ?」
「あはは。もう、我ながら、情けない。いかなる状況においても、ありとあらゆる状況を想定しておきなさい。って言われていたのに・・・」
「今は、そんな事はいいから、大丈夫なのか?」
「きっと大丈夫じゃ、ないですよ」
シキは、状況確認よりも、先に、聞いたことのある、いや、ここでは聞きたくなった声色から発せられる返答を、シキは耳にする事になる。
「マリア!!」
「ただいま戻りました。シキさん」
「お前、何やってんだよ」
シキは、どこか自分でも気づいているその答えを、マリアに求めてる。
「ぬはは、笑止」
マリアの後ろに立つその姿は、先ほどまでシキと最大出力のスキルで戦い、マリアとの個別戦闘に移っていたはずの暗黒騎士ガイン。
「ガイン・・・」
「この状況において、マリアに行動の意味を問うことに、なんの意味があろうて」
「お前・・・」
「もう、何も望むまい。貴様の想いは、この瞬間を持って、綺麗に散りさるのだ」
ガイン、マリア以外にもう一人の姿を探してみるシキ。
あいつは、あいつはどこにいったんだ。この二人がいるなら、そこに居なくてはいけないはずの"あいつ"の姿が見当たらない。その状況に焦る気持ちだけが先立つ。
「シキさん、誰をお探しですか?セリカさんなら、ガイン様に屠られましたよ」
次回も月曜日19時に投稿します。




