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28話 ACT8-2

 ジャイアントベアーの討伐報酬としてジャイアントベアーの毛皮の素材、武器のジャイアントベアーナックル【装備スキル:雄叫び】をドロップする。


 シキはその場でジャイアントベアーナックルを装備する。


「す、すごい・・・。近接戦闘も中距離魔法攻撃もできて、最後は、魔法と近接の組み合わせ攻撃・・・」


 シキの本気のバトルシーンを始めてみたリンカは驚きを隠せずにいた。


「これが本当の俺の攻撃十八番パターン」


「マリアって子があなたにレベルアップを40まででいいと言った理由がわかった気がするわ。今のレベル25ですらこんな動きできるんだもの。他のプレイヤーとはレベル補正相当効いている気がする。やはりプレイヤースキルなのかしら。悔しいけど同じレベルになった時に勝てる気がしないわ」


「お、そ、そうか。さんきゅー」


 シキはリンカからここまでべた褒めされるとは思っていなかったので少し照れてしまう。

 対するリンカは褒めたかと思えば、その後は少しだけ難しい顔をし始めて何も言わずにそのまま歩き始める。

 しばし無言の二人。勝気なリンカにとってシキのようなプレイヤースキルは相当悔しいのかもしれない。

 シキはそんなことを思いながら特に声をかけずについていく。


「ねえ、、、シキ」


「なんだ?」


 リンカがシキをあなたと呼ばずに呼称で呼ぶ時には、他愛のない会話ではない何かが違う時。


「近接戦闘が得意なのはリアル世界で武道をやっていたことにおけるプレイヤースキルって言っていたと思うのだけれども、だったらなぜファイター系統の拳闘士の方向を目指さなかったの?」


「なんでだろうな?」


「え?、なんでって自分で決めたんでしょ?」


「いや、サラが決めた」


「サラが決めたって・・・。今からでも遅くないからファイターにジョブチェンジしたら?」


「いや、いいんだ。俺はウィザードが気に入ってる。俺も最初、なんで?とは思ったけど、結果論だけどな。特殊なスキル発動ももしかしたらウィザードにならなかったら得られなかったかもしれないしな。だからこのままでいくよ」


 サラが選んだウィザードというジョブを大事にしたいんだと言う気持ちは言わないでおく。

 シキにとってはサラの決めた事を縁起事にしておきたい気持ちも少なからずあった。


「あなたとサラって子の深い関係はわかったわ。おノロケご馳走様」


 シキの根拠のない説明にリンカは呆れつつも少し羨ましそうに返してくる。


「ちげーって。ただの幼馴染だよ。ただ、幼馴染だけど俺を色々導いてくれるすげーいい奴」


 からかい半分でおのろけ指摘をした際のシキの反応が気に入らなかったのか、「むー」と心の声が聞こえてきそうな表情になりツーンとし始めるリンカ。


「特殊なスキル発動じゃ私も得たいからどうやって得たのか教えて」


「もちろんそれがわかればいくらでも教えてあげたいんだけど、マジで俺もわかんねーんだ」


「ふーん。そう」とそれ以上聞かなくなったリンカを見て機嫌が悪くなっているのは一目瞭然だった。

 なんとかしてあげたい気持ちはもちろんあるが、こればかりはどうしようもない。

 色々考えに考えて一つの案を思い浮かべるシキ。


「マリアに聞いてみようか。俺とマリアは少し特殊なスキル発動の形態が違うんだ。俺は通常とは違う使い方。プレイヤースキルのステータス補正をするような特殊なスキル発動。マリアの場合は俺も一度しか見ていないけど、スキルとスキルを組み合わせたスキルだった。その取得方法を聞いておこうぜ」


「そうね」とツレない返事をしつつ、その後の足取りの軽さや表情の柔らかをみれば機嫌がよくなっているのがわかった。

 今のリンカにとっては特殊なスキル発動を持っている事が特別なのではなく、シキやマリアとの関係性を考えていくと自分だけが特殊なスキル発動を持っていない事に劣等感を感じているようだった。

 リンカの気持ちも考えれば、どこかで取得できる機会を得てあげたい。

 そうは思いつつもマリアが特殊なスキル発動ができるシキを探していた事や、特殊なスキル発動を得ていないリンカが潜入できないという言い方をしていた事を考えると特殊なスキル発動を得るのは容易ではなさそうである。

 それは今、リンカに言うとヤブヘビなので言わないでおく。





 しばらく《ウェストイースフォレスト》を引き続き探索する。

 出てくるモンスターを温存も兼ねて通常攻撃で回してくシキとリンカ。

 ようやく探索をし続けて水辺に近づく。


 水辺を探索しつづけ、【マジックアロー】を水辺に投げつけたり等して、水辺に刺激を与えているとお目当てのケルピーが現れる。リアル世界にいる馬の2周りもでかい体で背中に魚のヒレが付いていて尻尾は魚の下半身のような鱗になっている薄水色のモンスター。


 ここで一度HP回復薬とMP回復薬のビンをシキとリンカは飲む。


「ようやく出てきたか」


「今まで戦ってきたモンスターよりは強敵そうね」


 そう言うとリンカはケルピーのサイドへ走って近づき、小剣で突きをいれてダメージを与えるがケルピの尻尾がリンカに反撃を加える。


「キャ!!」


 鱗の尻尾がリンカを吹き飛ばすが、吹き飛ばされた先にシキは移動し飛ばされたリンカを受け止める。


「大丈夫か?」


「う、うん、ありがと」

 

 受け止めたリンカから離れ今後はシキがケルピーに攻めていく。

 正面に向かってきたシキにケルピーは口を大きく開けて、水の塊を吐き出す。

 シキは水の塊をジャンプして交わし、着地タイミングにあわせてかかと落としをケルピーの顔に食らわせ、着地にあわせて左フックをケルピーに食わらせ少しだけ後ろに飛ばす。


 そこへリンカが【ダブルスラッシュ】と呼ばれる空を切りつけた波動を飛ばすスラッシュのダブル攻撃となるスキルで小剣を振り落とす。


「ブグー」


 ケルピーはダメージこそへれどそこまで大きなダメージともならず、シキ、リンカが近づいてきたのを見てスキルを狙ってくる。


【水精魔術】


「ヴァヒーン」


 雄叫びにも似たうなり声とともにケルピーの周りに現れる先ほどの何倍も大きく無数に現れた水の塊がシキとリンカを襲ってくる。


「リンカ、あぶな」


 まるで海の波に飲み込まれ上下左右がぐるぐるになった状態でシキは瞬間でリンカをかばうように覆いかぶさるが二人とも吹き飛ばされた。


「っふぁ、はぁ、はぁ、リンカ大丈夫か?」


「大丈夫。それよりシキ、HPゲージがやばいわよ。攻撃かばってくれるのはうれしいけど、それで死んじゃったりしたら後悔にしかならないから自分の事もしっかり考えて」


 みるとシキはHPゲージが緑色、黄色を通り超して赤色まで減ってきている。シキはHP回復薬を2つ、リンカはHP回復薬を1つ飲む。


「そうだな。悪い。意識しておく。それでどうする?様子見攻撃とはいえ、ケルピーのHPゲージ全然減ってないな」


「そうね」


 警戒しながら口頭で戦術を話し合いたかったシキとリンカに向かってケルピーはすさまじい速さで突っ込んでくる。

 突っ込んできたケルピーにあわせてシキとリンカは左右に飛び離れる。


(パーティーチャットで会話しましょう)


(了解)


 パーティーチャットはパーティー全員でやりとりが聞こえてしまうが常時接続されているためにリアルタイムでのやりとりを求められる時には適している。


「【マジックアロー】」


 掌から生み出した気の塊をシキはケルピー向かって投げつける。

 ケルピーは簡単に交わし、その流れでシキに突っ込んでくる。


(俺が食い止めているうちに最大出力で攻められる準備してくれ)


 突っ込んでたケルピーの攻撃をかわし、さらに【マジックアロー】を投げつける。

 接近戦においてはケルピーの俊敏な動きや水系統の魔法のダメージが大きいと判断しシキは中距離攻撃に切り替える。

 MP消費との戦いであるがMP回復薬も常備しているので、ケルピーの攻撃を交わし距離ととりつづけ【マジックアロー】を投げ続ける。


 シキの攻撃パターンをみて戦略を汲み取ったリンカは最大出力の準備を始める。

 スキルの最大出力及び連続発動は体に大きな負担を与える。

 HPが減るわけでもなくMPももちろん使った分しか消費はしないが、体への負荷。

 まるで重力が重くなったような筋肉痛のような反動を受けてしまう。

 だからこそ最大出力は何度もできるものではない。

 シキも以前、【魔法攻撃力上昇(マジックパワーアップ)】を発動し【マジックアロー】を発動した後は体がしばらくボロボロだった。

 鉄仮面と戦っていた時のサラが苦しそうにしていたのはそれが原因なのだと後々に知ることになる。

 その最大出力を本来であればシキがやるべきだとは、自身もわかっているものの、その時間を確保するためにソードマンのジョブであるリンカが中距離攻撃ができないので、シキが惹きつける役をやることにする。

 そう言った会話をリンカとの間ではしていないものの、最大出力を求めることと、その間、敵をひきつける作戦をとりHPを減らしづらい中距離攻撃パターンをシキがとっていた事でリンカにはすべてが伝わった。


(本気の本気でいくから、その後フォローしなさいよ)


(もちろん。頼むぜ)


「【コンセントレーション(集中)】 」


 リンカの周りが気のオーラに包まれる。


「【攻撃力上昇(オフェンシブアップ)】」


 小剣の周りにオーラが包まれる。


「【サンドオーバー】」


 リンカの周りに砂を巻き起こすことで敵の攻撃対象から外れる事ができる。


(今よ)


 リンカの言葉に合わせてシキは突っ込んでくるケルピーに自ら向かっていき


「【マジックアロー】」


 気の塊を宿した右拳を走ってスピードをつけた体で左足に全体重の重心を振りかぶって乗せ投げつける体制でおもいっきり右ストレートをぶちかます。

 そこにケルピーはあわせて【水精魔術】をぶつけてくる。


 水の塊と気の塊を宿した右拳の二つの大きな衝撃が爆発を起こす。


 大きな衝撃に吹き飛ばされるシキ。ケルピーもノックバックする。そこへ最大出力したリンカがケルピーの前に現れ


「【スラスト】」


 小剣の突き及び出血持続を起こさせるスキルをケルピーに打つける。


 同時にケルピーは水の塊を口から吐き出すが、【サンドオーバー】によって攻撃をかわす事ができたリンカは


「【パリィ】」


 カウンターダメージを与えその衝動で確実にケルピーの体制を崩させるスキルを発動し、ダメージを受けやすい状態を作り出し


「【ダブルスラッシュ】」


 最大出力の切りつけるダブル波動の攻撃を小剣で振りかざして打つける。


「ヴァギャーーーーーーー」


 ケルピーのHPゲージは激しく減るが0にいくまでを想定していたがギリギリのところで止まってしまう。


(やばい)


 力を使い倒したリンカはそこで体を崩してしまい、ケルピーに踏みつぶされそうになる。


 その瞬間。


「【マジックアロー】」


 ザシュ!!


 シキは【マジックアロー】を帯びた手刀をロングソードのような形にし、その鋭利な気の塊で体を投げ出しケルピーに飛び込み大きく振りかざし切りつける。


 振りかざされた手刀に切りつけられたケルピーはHPゲージを0にし、叫び声とともに光の粒子になりその体を散らせた。

次は明日の19時に投稿します。

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