第四十一話
空いていたのは二部屋。
「ごめんなさいね。どちらも二人用の部屋なの」
「いや、大丈夫だ。白雪、良いか?」
頷く白雪。
「ンじゃ、俺と白雪、葛葉とルチアで頼む」
「まぁまぁ。慣れていらっしゃるのね」
少し、探るような目を向けてくる女将。
「……まァ、何年も一緒に居るからな」
「まぁ! 幼馴染みなのね! 羨ましいわぁ」
女将が頬に手を当ててくねくねと体を揺らす。
「あ、あの……?」
「あっ。ごめんなさいね。若い子見ちゃうとつい……。ほら、私おばさんだから」
そう言いながら番号札付きの鍵を渡してくる女将。
「いや、お姉さンだろ。まだまだ若いぜ?」
「ありがとう。……じゃあ、狙っちゃおうかしら。ユキシ君、良い男よね」
すすす、と寄って来るのをさり気なく避け、二階へ逃げる。
「あらあら、逃げられちゃったわね……」
「……女将さん。雪紫は、渡しませんので」
「ふふっ。私も案外本気かもよ?」
「えぇ。分かっています。分かっているからこそです。雪紫は、渡しません」
バチバチと睨み合う白雪と女将。
「白雪、俺にはお前しか居ねェンだから、そンな闘争心燃やさなくても良いンだぜ? 俺としては……お前が取られるンじャねェか心配だ」
食堂で飯食ってる冒険者達を見れば、その殆どが白雪達を見ている。
「も、もうっ……!」
顔を赤らめて恥じらう白雪。
「あらあら。熱々なのねぇ。……初めてはいつ?」
「えっ?!」
「ぶっ!」
「ん”っ?!」
女子組が驚く。
「すンげェド直球だなァおい。……あれは確か……」
「答えなくて良い!」
白雪が恥故か爪楊枝を飛ばしてくる。
「何でンなモン持ッてンだ?」
人差し指と中指で挟んで止めると、小さく拍手が起きた。
「ほら、さッさと部屋行くぞ」
「……えぇ」
「はーい」
「うむ」
階段を上がって来る三人。
「お前達はそッち。俺達はこッちだ」
扉を指差しながら鍵を葛葉に渡す。
「りょーかい」
「後は、ここでな」
頭を指差し、頷いたのを確認してから部屋に入る。
「あら、案外広いのね」
「みてェだな。はァ、疲れた」
羽織りを畳んで机に置き、寝台に寝転ぶ。
「もう。……はい」
小瓶を渡してくる。
蓋を開け、一気に飲み干す。
「ン……。……ッふう。やッぱ美味ェなァ」
「そう?」
「あァ。……さて」
念話を白雪、葛葉、ルチアに繋げる。
『これからの事を決めンぞ』




