第三十四話
俺も冒険者達の後を着いて行こうとすると、組合総長に呼ばれた。
「何だ?」
「すまない」
__は?
「倭国の者であるお前を、この国の問題に巻き込んでしまった。本当に、申し訳ない」
組合総長の後ろの女性達も頭を下げる。
__……この国の問題、か。
__やッぱり、人為的なモノなンだろうな。
__此処は、気づかない振りをする方が良いか。
「……そういうのはこの戦が終わッてからだ。此処まで関わッちまッたンだから、と俺はさッき言ッた。仮に俺が戦死したとしても、言質は取ッたンだから、良いンだよ。それと、戦の指揮者が戦中にそう軽々頭下げンな。士気が下がンぞ」
「ンじゃな」と組合を出る所に、再び話しかけてくる組合総長。
「何だ」
「お前は、人の上に立つ人間だな?」
「……昔の話だ」
__今は違う。
__元の世界に戻れるかどうかは、俺達の手に掛かッてるンだからな。
今度こそ組合を出てルチアの下へ向かう。
「戻ッた」
地上で冒険者達が動いているのを見て言う。
「私達はどうするの?」
「そうね……。普通に混ざっていたら、味方を巻き込みかねないわ」
「あァ。こンだけ魔物が居たら、流石に疲労が溜まるだろう。限界を感じて結界を張ろうとするまでは、此処から遠距離攻撃だな」
俺の言葉に頷き、魔物達を見据える三人。
「ンじゃ、葛葉、解け」
「りょーかい」
幻影が解け、俺達の姿が見えるようになる。
「ルチア、殺れ」
ルチアが頷き、光線息吹を放つ。
それは、前に見た邪竜のそれとは比べ物にならない程の威力だった。
地が揺れ、割れ、溶ける。
其処に居た魔物のみならず、周囲に居た魔物まで消し飛ぶ。
そして、その息吹に一番驚いていたのはルチアだった。
「何でお前が一番驚いてンだよ」
『い、否、此処まで威力が上がっているとは……。……若しや、ユキシ。我の背中に翼はあるか?』
「あるぜ?」
『ほ、本当か?!』
__あー。そういうことか。
「何々? どういうこと?」
「龍種のみならず、全種族で共通の事なンだが、翼が生えると神種になれンだ」
「え、神様?!」
「まァ、そうなンだが、違う。神種ッつーのは、本物の神じャあない。神に近い存在ではあるがな。人族が、それ以外に呼ぶ名が無かッたからそう呼んだッつー言い伝えだ」
__しッかし、翼がある事に気づいていなかッたとは……。
「ルチアちゃん、凄いんだね!」
『う、うむ……。人の姿では、必要ない時は消えるらしく、着替えた時は気づかなかった……』
「戦の最中に仲良くお喋りかよッ!」
地上から飛んで来る人型の何か。
それは大剣を勢い良く振り抜いた。




