第三十二話
「取って来た!」
子供達の手には、思い出の物であろう品々が。
「よし。ンじゃ、この巾着に入れて腰に下げてな」
人数分の巾着を渡すと、大事そうに仕舞う子供達。
「ルチア、行けるか?」
「任されよ」
ルチアが少し離れた所で変身し、乗り易く身を低くしてくれる。
子供達を先に乗せ、俺達も乗る。
「良いぞ」
__契約した事によって、ルチアの言葉は分からねェが、俺の言葉は分かるようになッたらしい。
『了解した。ヴァルルで良いのだな?』
「あァ」
俺達の周りに結界を張り、飛翔するルチア。
物凄い速さで景色が流れる。
少し経つと、ルチアが念話で話しかけて来た。
『モンスターの大軍が見えたぞ』
俺も目を凝らして見てみる。
そこでは、想像を絶する数の魔物が歩を進めていた。
「マジかよ……」
「どうする? 多分、あんなに多いとは思ってないよ?」
「だよな。……信じて貰えねェかもしれねェが、伝えに行くか。ルチア、頼む」
ルチアは頷き、更に速く進んだ。
数分後、薄らと街が見えて来た。
「葛葉、見えないように頼めるか?」
「了解」
葛葉が妖力を使ってルチアを見えないようにする。
「ンじゃ、俺は説明しに行ッてくる。なンかあッたら念話でな」
「えぇ」
「分かった」
「ルチア、一瞬だけ結界解いてくれ」
それだけ言って飛び降りる。
門兵に話しかける。
「おい」
「なんだ?」
「魔物の大軍を見た。報告頼めるか?」
「大軍?! ちょ、ちょっと待っててくれ」
慌てて走って行く門兵。
少しすると、大男を連れて戻って来た。
「待たせた。お前、冒険者か?」
「あァ。組合証、いるか?」
「見せてくれ」
組合証を出し、見せる。
「Sクラス?!」
「ほう。その服装といい、倭国の者か」
「御名答」
「俺はこのヴァルルにあるギルド本部のマスターだ。見たものを話してくれ」
頷き、見たものを話す。
「成る程な……。貴重な情報をありがとう。しかし、空からとは、何が召喚獣なんだ?」
「言ッてもややこしくなるだけだ。ンま、そういう事だから、早急に準備する事を勧める」
「あぁ。そうだな。お前はどうする? こっちとしては、防衛戦力として確保したいところなんだが?」
__ふむ。
「……ここまで関わッたンだ。今更知らン振りは出来ない。後二人も戦力に加えておいてくれ」
「その二人の階級は?」
「S」
「了解した。協力に感謝する」
そう言って軽く頭を下げる組合総長。
「あァ。後、途中の村で保護した子供達が居るンだが」
「分かった。直ぐに受け入れの準備をしよう。一応住民の避難はさせている。誰かが預かってくれるだろう」
「助かる。ンじゃ、連れて来るわ」
『嵐魔法・風飛』を発動し、上空に戻る。




